第4話 家族への報告は?(改)

 神さまへの感謝の言葉を述べた後、刈り取った部分を耕すことに決めたタイチ。

ゲームを思い出しつつ、鼻歌交じりに次々と鍬を振るっていきます。


 出来上がったばかりの畑に満足し、何を植えるかを考えていないことに今更ながらに気が付いたのは、もうお昼も過ぎたあたりのこと。


「さてと、せっかく作った畑には何を植えればいいんだ?」

(まあ、ゲームの仕様として考えるなら何を植えても芽が出そうな気がするけれども)


 呑気に考えているが、やってみないことには不明なままである。

一気に水田にとも考えたが、耕したばかり場所では水路まで少し距離がある。


 そんな悩みを抱えながら、改めてメニュー画面内を確認してみると、畑の部分に育てられる品目が表示される。

『米類・麦類・芋類・野菜類・根菜類・果実』いくつもの品目がでてくる。


「……もしかして、水田を作らなくてもいけるのか?これ」


 なんともアバウトな表示である。

メニュー画面がいくつも出てくるような加護であるならば、これも仕様に違いないと神さまに感謝しつつ作付けを決意する。


「一つ品目だけだと怖いから、色々試してみようかな」

と深く考えることを放棄し始めるタイチ。


 どこから種を集めるかなと思案したところで、メニュー画面内の『お店』表記に視線が釘付けになる。

「まさかね」と思いつつも選択してみると、この農村で育ててない物がいくつも表示される始末。


 さすが、加護の力。このままだと身の安全は、自己責任でお願いしますになること間違いなし。


 そして改めて自分の行動を思い出す。

「やばいね。簡単に畑を作れる力だけも目を付けられるのに、この地域にない食べ物を作れるなんて知れたら、絶対に権力者に捕まる流れだ……」

と顔に手を当てて天を仰いぐタイチ。


 まあ、人に言わなければ良いだけだし、畑を早く作れることだけ伝えれば何とかなるといいな~と気持ちを切り替えようとする。


------------------------------------------------------------------


 しかし、教会からの帰り道の出来事を思い出す。

『伝えられるようになった教えるから、待っててね』

『無理のない範囲でお願いします』


……言った。…言いましたよ。フェリスに!!


------------------------------------------------------------------


「ハハハハハッ………。教えるのも拙い。でも、言わなくてもいその内訪ねて来そう…。イヤイヤイヤ、来るよ!畑仕事の手伝いをお願いしてるじゃないか!


それにフェリスの加護は『豊穣の力』って…、神さま!!」


 ゲームという言葉で、加護の力を安易に考えた結果がこれである。

頭を抱えながら口から言葉が漏れ出してくる。


「マズイ、まずい、拙い。作付けしてない畑があるよ、ここに!!」


「待って、まって、マッテ?!メニュー画面って、これだけじゃないんだけどおぉ!まだ、1個目のメニュー画面だよ!あと、いくつあると思ってるの!!」

今更、焦り始めるタイチ。


 そんな叫び声が響いたのちにでた言葉は、さっきまで一緒に帰ってきた幼馴染の姿が頭によぎった為に出てくる。


「これはもうフェリスを巻き込むしかない!!(決意)」


 もはやパニックに陥り、後ろ向きな決意で方針を決めこむ。

実際すぐに巻き込むつもりもないが、一人では抱え堪えそうにない為に口から零れ落ちる。


「ハッ?!家族に伝えるのはどうしよう?!」


 そんな考えに至っても、もう遅い。

元からある畑から少し離れてはいるものの、ここに真新しく耕された畑が出来ているのだから。


------------------------------------------------------------------

ご覧いただきありがとうございます。


9/16 携帯でも読み易くなる様に修正しました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る