第3話 メニュー画面とは(改)

 タイチは、幼馴染のフェリスと別れた後、家に帰る前にもう少しメニュー画面を見ておこうと畑の近くで確認することにしました。


「さてと、『メニュー画面』っと。

 色々表示されてるけど、先ずは生活に直結する牧場物を見ようかな」


 いくつも表示されている中から、右上に表示されているメニュー画面に意識を向けると、自動的に目の前へ移動してくるではないですか。


「お、これは親切設計かな?いや、こんなにいっぱい表示されているのは親切じゃないかもしれないけど・・・。どう言う風に機能してるかもわからないし、とりあえず触ってみないと」


 メニュー画面内にある「もちもの」の中身を確認していきます。


「ん、持ち物の中には何もないね。やっぱり何かしら手に入れないと表示されないのかも?」


 そんな確認をしつつ、家の農具置き場へと移動するタイチ。

とりあえず、いつも使っている農具に手を伸ばす。


「お、画面上のキャラクターが農具を持つ表示に変わった。

これは、画面内に表示されてる農具へも変更できるっぽい。

へぇ~、一瞬で鍬から鎌へ変えられるのか。」


 すぐに装備の変更を確認し終えると、使う事へ興味が移っていきます。

使うことに気を取られたため、装備変更した農具が元の場所に置かれており、メニュー画面の中にも使った農具が存在していることに注意が行きません。


(取り合えず、メニュー画面をどけないと視界が悪いよね)


 タイチが視界の確保を思い浮かべると、メニュー画面は小さくなり視界の端へ移動するではないですか。


「こうやって開いた状態で使うのね。なるほど。よし!畑じゃないところの雑草刈りから試そうかな」


 意気揚々と畑から少し離れた開墾していない場所の雑草で実験することに。


「さあ、鎌を使うとどうなるかな?」


 鎌を使用すると、綺麗に土の地面が見えてくる。


「……………、ん、ん~~ん~ん~~、

なんで一握りの雑草を刈り取っただけで違う場所まで刈り取られるの?!」


 それもそのはず、刈り取った地点から、縦横50㎝の範囲で草が消えているのです。しかも、『牧草を手に入れました。』とアナウンスのおまけ付で・・・。


「牧草ってなに?!なんで、どうして、刈り取られてんの!って、持ってた筈の草はどこに⁇」


 思っていた以上にゲームに近い出来事が起きたため困惑してしまう。


「目の前の横一列で、30㎝位綺麗に刈り取れると嬉しいな位には思ってたけど、多いよ!!って、メニュー画面どこ?!」


 慌てつつもメニュー画面に意識を向けると、意図しないメニュー画面も一斉に目の前に広がります。


「あーー、牧場物のでお願いします…。ほかの画面は、視界の端で待機か、それともなければ、閉じててもらえます?」


 そう呟くと、希望した画面以外が閉じていきます。


「はぁ、焦るとメニュー画面も一気に来るのは怖いね…。とりあえず、メニュー画面の中に牧草が移動しているはず?どこだろう?」


 メニュー画面内にある『もちもの』を選択すると、刈り取った雑草が牧草へと変わっているではないですか。


「とにかく、この牧草を確認してみないと。」

と選んでみると、目の前に小山になった牧草が何もない所から現れます。


「~ん、ゲームの仕様的にこうなんだろうと思うことにしよう。深く考えるのは後回しに、理解できないに決まってる!」


 明らかに開き直りともとれる決意と共に次の作業へ進むことを決めるタイチ。


「よし!じゃあ牧草をしまって、もう少し刈り取りを続けようかな」


 結果、僅か5分足らずの行動で縦横10mの地面がお目見えです。


「移動するほうが面倒ってどうなんだろう…。とは言え、刈り取り作業がすごい楽になったのは嬉しいな。こうなると、鍬を入れても同じくらいの現象が起きるかな?」


 農具置き場へ鍬を取りに戻ろうとしますが、メニュー画面を再び確認すると先ほど装備変更をした鍬が表示されています。


「これは便利だね。さっそく鍬も試してみよう」


 同じような現象が起きるだろうな~と思いつつも鍬を振るうと、想像の通り一振りで縦横50㎝のふかふかな農地へ切り替わります。


「神さま、ありがとうございます!楽です、便利になります!!」


 この素敵な現象にタイチは空に向かって、メニュー画面の確認がまだある事を忘れ、感謝の言葉が飛び出したのでした。


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