第12話 勧誘

「どういうことだ??」


俺はまだおきたばかりで頭が回らない。

魔王? 魔王は1000年前に死んだのではないのか?

しかも、俺が魔王軍の軍師だと!?


「ふーむ、寝起きで頭が回っておらぬか。

 先ほどの言葉通りである。

 魔王軍の軍師にならないか?」


やはり、俺を勧誘しているようだ。


「まず聞きたいことがある。」


「なんだ?」


「魔王は死んだはずではないのか?」


「いや、生きている。

 人間たちは勝手に死んだこととしているがな。」


人間たちの歴史が間違えているのか!?

だとしたらなぜ人間と魔物の間で戦争が起きずに平和なのだ!?


「なぜ魔王は人間に何もしてこない??」


「魔王様は弱っておられる。

 今はまだ人間と戦える状態にない。

 こうして人間の手を借りたいくらいであるのだ。」


なるほど、弱っているからこの世界にはスライムしかいなかったのか。

スライムほどの低位の魔物しか生成できないのだろう。


「では、なぜ俺に仲間になるよう求める?」


「そなたの能力、魔物と交尾し増やすことのできる能力が我らには必要であるからだ。

 魔王様おひとりのチカラでは十分に魔物を生成しきれない。

 そこでそなたのチカラが必要なのだ。」


確かに、俺は一人でスライムの帝国を築き上げた。

魔王にとっては、魔物を勝手に増やしてくれてありがたい存在だったのかもしれない。


「なるほど、理解した。」


理解はした。しかし、どうしたものか?

俺はそもそも人間だ。

魔王軍に属してしまったら二度と人間界に戻れないのか?

はたまた、魔物の姿に変わってしまうのか?

わからない。

だが、人間の世界に未練があるのだろうか。

否、あるはずがない。

俺はついこの前に人間界を敵にまわしたではないか。

そうだ、俺はもうすでに魔王側に属していたのかもしれない・・・。


「お前の言う通り、俺は魔王軍に加わろうと思う。」


「はーい♡ ご主人様♡」


「え? ええええ!?」


さっきと様子が違うんだが!?

シャドウとかいったっけ!?


「シャ、シャドウさん???」


「なんですかあ?」


「なんで急に様子が変わるんでしょうか???」


「だってえ、ラル様、かっこよすぎなんですものーーー!」


ま、まさか、こいつも俺のチャームにかかってんのか!?

しかし、さっきまではちゃんとしてたじゃないか。


「ラル様が魔王軍に入るなら、わたしはあなたの部下、しもべですからね♡」


他社には冷静だけど自社の先輩にはデレデレ系の方ですか!?


「お、おう。そうか。いったん落ち着こうか?」


「いったん、おちちつこうか?

 ラル様ったら、えっちなんですね///」


ちがーーーーう、そんなこと言ってねーーー!!!


しかし、プリムがいない今、寂しい感じもする。

本当におちちついてみようか・・・。


ツンっ・・・


「んっ///」


お互いに発情のフェロモンを感じる。

シャドウと目が合う。

シャドウが目をつぶるので俺はキスした。


「こっち、、、来て」


なんと、シャドウは影の中に身をひそめることができるらしい。

俺もカゲツカイにメタモルフォーゼして影に入る。

二人だけの空間の完成である。


俺とシャドウは濃密な時間を過ごした・・・。


---


プリムがいなくなったというのに、俺のムスコは元気すぎて何だか申し訳ない。


「誰に似たのやら・・・。」


「何か言いました? ラル様」


「いや、何でもないよ。

 それより、魔王軍に入ったものの、何すればいいんだ?」


そう、俺は魔王軍に入ったものの、スライム帝国は半壊してしまったのだ。

魔王にしかられやしないか。。。


「まずは、魔王様にお会いしましょう!」


シャドウはそう言うと、影の中に入り、手招きをする。

俺もシャドウとともに影に入る。

影から影へ移動し、瞬く間に長距離移動ができるらしい。

便利な能力だ。

当然だが、移動中はずっとイチャイチャしている。

なにせ、影の中は誰にも見えないのだから。


「さあ着きました!」


いつの間にか魔王の住処に到着していた。

古びた城だ。

ところどころ戦の傷跡がある。

かつて、ここで勇者との激戦が繰り広げられたのだろう。


「ここに魔王がいるのか。」


「はい、かつての勇者との死闘が繰り広げられた場所の一つです!

 さあ、こちらです。」


俺はシャドウに案内されるがまま移動した。

城の中をずんずんまっすぐ進むと、大きな扉で立ち止まった。


「ここが玉座の間です、さあどうぞ。」


魔王に会うとなると緊張する。

まあ、向こうからのスカウトだ。

あまり気負わずに向かうとしよう。


ギィィー


重たい扉を開けた。

すると、待ちかねていたかのようにロウソクが順にぼっぼっと付いていく。


「待ちかねたぞ、ジェラルドよ」


野太い声を期待していたが、なんと女性の声ではないか。

ロウソクの灯が次第に魔王の顔を照らす。


魔王は二本の角に白髪ショートヘア、赤い瞳、色白の超絶美少女であった。


「魔王様がこんなに美少女だったとは・・・。」


「はっはっはっ!

 開口一番がそれか?

 面白いやつじゃ!」


「しかも、こんなに美男子とはなあ。

 我に生殖という概念はないが、そちとならば試してもよいかもな!」


魔王にも俺のチャームが効いているだと!?

恐るべし俺のチャーム・・・。


「しかし、人間の俺が魔王軍に入ってよかったのでしょうか??」


「敬語はやめい。

 それに、わが名はヴェルナ・ヴォイドウィッチ。

 ベルと呼ぶことをそちには許そう。」


「わかったよ、ベル。」


「確かにそちは人間じゃが、魔物の心を解せるじゃろう?

 しかも、魔物を家族にしよった、じゃろう?」


俺のスライム帝国のことはお見通しのようだな。


「ああ、この間、ほとんど壊滅させられちまったが。」


「そうじゃろう、そうじゃろう。

 でだ、褒美をやるから、一仕事せんかのう??」


褒美か、まあ仕事内容によるな。


「いいだろう、それはなんだ?」


「まずは褒美じゃ。

 褒美じゃが、、お前の家族を生き返らせようぞ!!」


なに!? 魔王はそんなことができるのか?

プリムやスライチロウとまた生活ができるのならばどんなことでもしてみせよう!!


「次に仕事じゃが、、わしの子らを作ってほしい!!」



<<作者あとがき>>


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