第11話 喪失と出会い

「おめおめと逃げ帰ってきおったわ!」


またしても奴だ。まだ女を犯しているではないか。


「貴様! プリムたちはどうした!?」


「んん? スライムたちならほれ、ここだよ。

 お前たちの匂いをたどってここに行きついたんで、先にお邪魔させてもらったぜ。」


奴の馬車の荷台には袋が載っていた。

そう、魔物が死んだ後に残る魔素を詰める袋だ。

プリムたちがあの中に? ということはプリムたちはもうすでに・・・。


「貴様ーーーー!!!!!

 返せーーーー!!!!!」


「返らねーよ、死んじまったんだから。」


俺は我を忘れ、奴に突進する。


「おっと待った。交渉だ。」


俺は予想外のセリフに我に返る。


「なに!?」


「俺はよお、もっと強いやつを求めている。

 こんなちょいと強くなったスライムをいくら狩っても俺のレベルは満たされねえ。

 わかるな?

 巨大スライムはどこだ? お前か?

 連れてこい、そうすればお前の命はそれまで伸ばしてやる。」


たしかに悪くはない交渉だ。

巨大スライムは俺であり、他のみんなもあわさってこそだ。

つまりこの場にはいない。

交渉に乗れば、俺の命は伸びるし、こいつを倒すチャンスが生まれるかもしれない。


「まあいいだろう。

 巨大スライムは俺ではない。

 そして、奴を呼び出すには時間がかかる。

 少し待て。」


「よし、交渉成立だ。

 時間はいつでもいい、アブソルティアを襲いに来い。

 それが決闘の合図だ。」


時間制限なしか、こいつ何を考えているんだ?

ただの暇つぶしか何かとはき違えているのだろうか。

まあいい、こちらの都合にいいことは間違いないのだから。


「わかった。

 もういいだろう、ここは引き上げてくれ。」


「じゃあな、こいつらはもらってくぜ。

 がっはっはっはっ!!!!!」


一難去った。

しかし、プリム、スライチロウ、みんな死んでしまった。

俺はこの後どうしたらいいんだ。。。


家族のいなかった俺にとって、ようやくできた家族。

俺に愛を教えてくれたプリム、スライチロウたちはもうこの世にいないのだ。

俺はこの世界で生きていく意味があるのだろうか。

いっそ死んでやりたい、俺もあいつに殺されてしまえばよかったのだろうか。

考えれば考えるほどに、結論は自死しか出てこない。

こういう時はとにかく寝よう。

そして、明日考えよう。


俺はプリムと一緒によくいたテントに入り眠りに落ちた。


---


翌日。


「災難であったな。」


俺は寝ぼけまなこをこすりながら起きる。


「うわっ! 誰だ!」


目の前には見たことのない人物がいるではないか。

色白の肌に紫色の長髪、赤い瞳が不敵に輝く。


「わたしは魔王様に使える眷属、シャドウ。」


「そなたを魔王軍軍師に迎えるよう、魔王様より仰せつかった。」


<<作者あとがき>>


むごい展開ですが、大切なヒロインなのであとでちゃんと生き返ります!


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