第10話 襲撃犯

俺はすぐに身支度をし、スライチロウとともに貴族の別荘地周辺のスライムたちのもとへ向かった。

その道中だ。


「ジェラルド様!」


別のスライムたちの群れの一人だ。

見るからにボロボロで瀕死の状態であった。


「突如襲撃者が現れ、群れが、、、群れが、、、。」


意識がもうろうとしている。

俺はそいつをそっと寝かせ、群れの方角へ急いだ。


群れに近付くにつれ、馬車の音と男の叫び声がしてきた。


「オーラララララ!」


男が馬車に乗り、大斧を振り回し、スライム達を討伐しているではないか。


「お前!何をしている!」


俺はそいつを静止するよう声をかけた。


「んんー?

 スライムがしゃべりおったぞ、がっはっはっはっ!!

 パンっパンっパンっ!」


こ、こいつ。スライムを討伐しながら女を犯してやがる。

なんといううらやましい、ではなく、下劣な奴だ!


「お前が巨大スライムなのか?」


「あーん///」


「だったらどうする?」


「あー、あーん///」


「始末するまでよ!」


「あー、あー///」


くっそ、女の喘ぎ声で集中できず、戦いの先手を取られた。


ガキーン、ガキーン!!!


馬車で往復して攻撃してくる。

攻撃を受け止めるので精一杯だ。

一発一発が脳の先まで震えるほどに重い一撃。

それに加え、女の喘ぎ声で集中できない。


「がっはっはっはっ! どうした? その程度か!」


「あーーん///」


「スライチロウ、ここは撤退だ!」


俺が逃げる命令をした途端、その男の目つきが変わった。


「逃げるだと?

 逃がすわけがなかろうて!!!!」


一瞬だった、その男が馬車から飛び降り、瞬く間にスライチロウを切り捨てた。


「父上、ぐああああああああ!!!!!!」


「スライチロウ!!!!!」


「父上、お逃げください!!」


スライチロウが必死でその男の大斧にへばりつき、動きを止めている。

ここは逃げるしかないのか?

迷っている間にも奴はスライチロウを引きはがし、こちらへ来てしまう。

俺が奴に立ち向かったところで返り討ちに遭うのは明白だ。

俺は苦渋の決断をし、逃げることにした。


「スライチロウ、すまん!!!」


俺は敗走した。

振り返ることなく、少しでも奴から離れられるように。

少しでもスライチロウの思いに報いることができるように。


そして、プリムたちのもとへ逃げ帰ったのだ。


---


死に物狂いで奴から逃げたものの、プリムたちがいないことに気付く。


「プリム!プリムーーー!!!!」


叫んでも返事が来ない。

俺の叫び声がこだまするだけだ。


すると、木陰から物音がする。聞き覚えのある・・・。


「パンっパンっパンっ、あーん/// 」


「がっはっはっはっ!!!」



<<作者あとがき>>


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