第7話
宮廷では王子が居なくなって手掛かりを掴めないまま数日が経っていることにいら立ちが見え始めた。森のほうに向かったことまでは分かっているが、森は国土の6分の1を占めるほど大きくうっそうとしていて、王子を見つけることは不可能と思えた。だがいつまでも病気と言っていてもいずれボロがでる。既に誰が漏らしたのか、王子失踪の噂も出始めた。
「僕が探しに行ってみます」
と申し出たのは、薔薇の王子だった。
「僕が初めての狩をすると言えば、大勢家来が付いて行っても不自然ではないでしょう?秘密の調査隊だけでは埒があきません。王様もご一緒だったらなおさら人数が多くても大丈夫。狩をすると見せかけて、大勢で捜索しましょう。国民も注目するでしょうから人目も多くなる。だれもトンボの王子が居なくなったことは知らないので、見つかっても王子だと思わないでしょう」
「良い考えだわ。私もじっとしてはいられないから、一緒に行くわ。王子に怪我でもあったら大変なので、狩と言っても弓や銃を使っては駄目。そうだわ一番珍しいトンボをとってきたものを優勝としたら良いと思うわ。もし王子が元気だったらトンボと聞いて隠れてはいられないと思うし」
王妃も賛同した。
こうして、王様と王妃と薔薇の王子とゼルダ王女とのトンボ狩大会が決った。もちろん王子の父君母君も同行した。
「トンボの王子の病気を快癒を祈願して、シンダバの森でトンボ狩り大会を催す。ただしトンボを殺してはならぬ。森を一周して一番美しくて珍しいトンボを持ってきたものを優勝とし褒美を使わす」
大人も子供も大いに盛り上がった。
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