第2話

天羽剛は、前回のデジタル空間での戦いから数日が経ったが、依然として奇怪な現象が続いていた。彼のパソコンは、相変わらず時折エラーメッセージを表示することがあり、そのたびに剛は斬ヶ時を持ち出していた。しかし、エラーの発生が少しずつ増えてきたことから、剛は単なるシステムエラーではないと感じていた。


ある晩、剛がパソコンの前に座っていると、突然、画面が一瞬で真っ暗になった。次の瞬間、彼は再びデジタル空間に引き込まれた。目の前に広がるのは、無限に続くデジタル迷宮だった。高くそびえる壁が幾何学模様で彩られ、点滅するランプがその迷宮の内部を照らしていた。迷宮の中には、無数の光の線が交錯し、まるで迷路のように複雑な構造を作り上げていた。


「またか…」


剛は斬ヶ時を手に取り、周囲を警戒しながら進み始めた。迷宮の壁には奇妙なシンボルが浮かんでおり、それらのシンボルは時折点滅しながら不安定に変化していた。剛はこれらが何かの手がかりになるかもしれないと考えた。


「これが、あの影が言っていた『デジタルの深淵』か…?」


剛が迷宮を進むと、突然、前方に一つの大きなデジタルスクリーンが現れた。スクリーンには、次々とエラーメッセージが表示され、そこには見覚えのあるコードが含まれていた。スクリーンの前には、異様な姿をしたエラーの新たな形態が待ち受けていた。その形態は、光の粒子が集まり、どこか宇宙的な雰囲気を持っていた。


「このエラーが迷宮を作り出しているのか?」


剛が問いかけると、エラーはその光の粒子が揺らめきながら答えた。


「我は『デジタルの迷宮』の守護者、コードの迷路を維持する者…」


その声は、電子的なエコーを伴い、迷宮の壁に反響していた。剛は斬ヶ時を構え、エラーに対抗する準備を整えた。


「迷宮から抜け出さなければならない…!」


エラーは光の粒子を放射し、迷宮の壁に様々な障害物を作り出してきた。剛はその障害物を避けながら、エラーに近づいていった。エラーはコードの迷路を利用して、攻撃を繰り出してきた。剛はその攻撃を避けつつ、斬ヶ時で光の粒子を切り裂くように振り回した。斬ヶ時の刃が光の粒子を切るたびに、エラーの形態が変わり、迷宮の内部がさらに複雑に変化していった。


「くそっ…迷宮がどんどん難しくなっていく!」


剛は必死で迷宮の中を進んだ。迷宮の壁に刻まれたシンボルが急激に変化し、道を塞いでくる。それに対抗するため、剛は斬ヶ時の力を最大限に引き出し、光の粒子を切り裂きながら進んだ。迷宮の中心には巨大なスクリーンがあり、そこにはコードのエラーが集約されているようだった。


「ここが、エラーの中心か!」


剛はスクリーンに向かって突進し、斬ヶ時でその中心部を一閃した。刀の刃がコードを切り裂き、エラーは一瞬で消え去った。しかし、その消失と同時に、迷宮はさらに激しく揺れ動き始めた。壁が崩れ、光の粒子が暴風のように吹き荒れていた。


「どうする…!」


剛は必死で迷宮の出口を探した。迷宮の構造が崩れ、周囲が混沌と化していく中、剛は斬ヶ時の力を信じて進んだ。迷宮の中心部には、エラーの根源が存在していると確信していた。剛はその信念を胸に、斬ヶ時を振りかざして前進し続けた。


迷宮の中心部に到達すると、剛は再びエラーの姿を目にした。そのエラーは、迷宮全体のバグを集約した巨大な光の塊となっていた。剛は斬ヶ時を構え、全力でその光の塊に斬りかかった。刀の刃が光を貫き、エラーは瞬く間に崩れ落ちた。光の塊が崩れ、迷宮全体が一気に静まり返った。


「これで終わりだ…」


剛は息を整え、迷宮の出口を探した。迷宮の崩壊と共に、彼は再び現実の世界に引き戻される感覚を味わった。彼が目を覚ましたとき、パソコンの画面には正常なデスクトップが表示されており、エラーメッセージは完全に消えていた。


剛はパソコンを見つめながら、これからも続くであろう試練に思いを馳せた。斬ヶ時の力を使いこなすことで、彼はデジタル世界の奥深くに潜むエラーと向き合う覚悟を決めた。彼の冒険はまだ始まったばかりであり、どんな困難が待ち受けているのかは未知数だった。しかし、剛は斬ヶ時と共に、新たな挑戦に立ち向かう決意を固めたのだった。








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