天狗一族の修行の旅2

 天狗一族と岳は超重たい上着とまた超重たい下駄を履いる。

 一同ちょっとでも転けるような段差。ようやく第一番札所霊山寺りょうせんじに到着。

 (ゼー、ゼー)と新人天狗と岳は手を着く。だが「第一番札所だぞ!しっかりせー、今日中には二十番札所、最低限十五番札所は辿り着く」豪は新人天狗と岳に喝を入れる。

 仁王門をくぐって境内に入ると、まず見えてくるのが放生池だが優雅に泳ぐ錦鯉を見ると新人天狗と岳は殺意を湧き、一同お参り。

 「次行くぞ!」豪達は(ズドンッ、ズドンッ)と歩く。

 (ヒ〜、ヒ〜)と辿り着いたのは第二番札所極楽寺ごくらくじ。四十四段の階段を登り本堂を目にしたら本尊は、慈愛に満ちた素晴らしい顔と言うかも知れんが新人天狗と岳は(フッ、ご苦労様よ、八十六があるのわ)と言われてる気がした。

 「ハイ、次行くぞ!」豪達は(ズドンッ、ズドンッ)と歩く。

 第三番札所金泉寺こんせんじでは本堂でさっさと参拝して歩いて行くと「アレ、武蔵坊弁慶むさしぼうべんけいらしいぞ?」団子は鼻から見事な団子鼻。ぽとぽとと落ちたくるではないか?だが「弁慶って言うのはたいした事じゃないな?俺達・・の方が凄いよ!」岳は団子の方を見てニコッと笑う。

 「当然よ」団子も笑う。

 次は第四番札所大日寺だいにちじ、第五番札所地蔵寺じぞうじ、第六番札所安楽寺あんらくじにおいては参拝を終わったあと「ここでは南無大師遍照金剛なむだいしへんじょうこんごうと七回唱えると、願いが叶うと言われている。なんなら南無大師遍照金剛と七回唱え、もっと厳しくしてくださいっとお願いしてもいいぞ?」豪は笑う。

 「(早く地獄の苦しみから解放されます様に)」と新人天狗と岳は切に願った。

 降りて行ったら段々と興奮して来て高ぶりしている。

 (この高低差を感じやんとはな)。そう、この短い高低差はなんと十八メートルあるのだ。それを新人天狗達と岳は必死に登ってる。

 第七番札所十楽寺じゅうらくじを参拝して着く。

 そしたら「ここに本堂っと言う。が階段を三十六段登ったところにある大師堂を参拝する」豪達は歩いて参拝して帰る。

 第九番札所法輪寺ほうりんじ、第十番札所切幡寺きりはたじ、第十一番札所藤井寺ふじいでらと順調にこなす。

 だがここで驚愕する。「オィ、新人達。ついてこれるか?」豪と先輩達は歩いて行く。

 「オィ、何メートルあるんだよ?」岳はポツッんと居てる第十二番札所焼山寺しょうさんじ。その数標高九百三十八メートルの内八合目。第十一番札所藤井寺ふじいでらから遍路道はとても険しく『へんろころがし』と言う道が参拝者が折れる。

 八合目まで行くと「よぅ、隠神刑部の幹部、高林坊と天狗一族か」戦闘の神、大黒天。

 (ビュ〜)と高林坊は着地して「大黒天様、毘沙門天様、そして弁財天!お久しぶりでございます」高林坊は丁寧な言葉で挨拶した。

 すると「おっ⁈あれはもしや人間じゃないかな?」弁財天は高林坊に聞く。

 「ハッ、人間でございます。両腕を無くして新人と一緒にやらしているのです。参拝をしても宜しいかなぁ?」

 「ハイ、皆さんもくれぐれ怪我をせずに」毘沙門天と大黒天、弁財天と一緒に参拝する。

 高林坊は改めてお礼をして降りて行く。

 「あの高林坊が連れて行く人間。あれが化けたらウキウキとしないかい大黒天?」弁財天は大黒天に聞く。

 「さぁどうだろうな?果たしてそうなるのか祈っていてくれ毘沙門天」

 「わかった」

 一方で「優しかったな」団子は言ったが

 「大黒天?だったかな、あれはやばいよ、て言うか神の名前はやばいよ〜」岳は答える。

 「ちょっと遅いなぁ〜」一番後ろの高林坊は独り言の様に言う。すると「下駄を脱げ!そして白装束だ!急げ、もう昼だ!」豪達は早速白装束に着替えた。流れ落ちる滝の落差は四十メートル。滝の横にある不動明王を祀ったお堂で祈祷をささげ滝壺へ。

 「岩にもたれかかるなぞ言語道断だぞ、良いな!」豪は吠えると(ハッ!)と図太い声で返事をした。

 四十メートルの高さから流れ落ちる氷のように冷たい水のせいで呼吸をするのも精一杯だが、ダダでさえ重いのに水を吸い込んだ上着は新人天狗と岳は声を出したら倒れてしまう。

 「では終わりだ!新人、遅い奴は放っておけ!」豪達は急いで下駄を履き下へ降りた。

 新人天狗達と岳は一度脱ぐと履けるのは苦労するが放って行かれないと必死に喰らいつく。

 新人天狗は転びそうになるが「ばいじょうぶか?(大丈夫か?)」岳は必死に両腕がない代わりに噛む。

 「すまん」新人天狗は前に進める。その高低差約八百。それでも足を止めない。

 そしたら第十三番札所大日寺だいにちじを参拝。次、第十四番札所常楽寺じょうらくじでは「オィ新人!」豪は吠える。

 「ハイ!」

 「本尊ではな、五十六億七千万年の後まで、衆生の救済を考え続けると言われてる、未来仏であるらしいぞ!」豪達は言うとさっさと降りるが

 「(お前の演説がちょいちょいと時間を止めるんだよ〜!)」と喋るとしんどいので新人天狗達と岳は思ってまた歩く。

 第十五番札所国分寺こくぶんじ、第十六番札所観音寺かんおんじ、第十七番札所井戸寺いどじ、第十八番札所恩山寺おんざんじ、第十九番札所立江寺たつえじと過ぎて行き気がつけば夜。最後は第二十番札所鶴林寺かくりんじは数ある中の難所。

 「ここで一泊泊まる!よく頑張った!」豪は初めて褒めた。

 「ハイ!」新人天狗達と岳はウルウルとしたが

 「明日は朝六時に出発じゃ!」豪は新人天狗達と岳のウルウルとした感じを返して欲しい、と思い気絶する。

 ちょうど日付が変わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る