山口霊神社

 そこは隠神刑部達の棲家である。

 「よし、着いたぞ」隠神刑部はウメを降ろして

 「あぁ、あぁ、あぁ。凄く綺麗な場所」ウメは喜んだ。

 「そうかぁ?」

 「そうなの!鳥達の声が聞こえるし、なんと言っても声の通る!」ウメは嬉しそうに言い

 「何か歌っていいかしら?」

 「歌えるの?」櫻は心配したがウメは歌うと

 「冬の寒さもあと少し

 春の息吹が近づいてくる

 雪解け水は

 静かに流れ出す


 待ち焦がれていたみんなとの再会

 待ち焦がれていたみんなとの約束

 春の光に包まれ

 みんなとの影が重なり合う


 梅の花が咲き乱れる

 この景色をみんなで眺めよう

 みんなでこの瞬間が

 永遠に続けばいいのに


 冬の寒さもあと少し

 春の息吹が近づいてくる

 雪解け水は

 静かに流れ出す


 待ち焦がれていたみんなとの再会

 待ち焦がれていたみんなとの約束

 春の光に包まれ

 みんなとの影が重なり合う


 梅の花が咲き乱れる

 この景色をみんなで眺めよう

 みんなといるこの瞬間が

 永遠に続けばいいのに」

 ウメは歌い終えると皆んな唖然とした。もちろん上手かった、いや、上手すぎて手を叩くのを忘れるほど。

 「『梅花の唄』でオリジナルです。どうでしたか?」ウメは顔を真っ赤に染めて、いや、全身真っ赤に染めて聞く。

 (どうしよう!穴があったら入りたい!)

 すると(ワァ〜、ピー、ピー)妖怪達褒め称えた。

 「ウメちゃん、えぇ歌声してはるわ」

 「おおきに」ウメは櫻の真似をすると

 「あ、真似をされてるな?」櫻はウメに抱きつく。

 「ウメさん、最高やで」

 「ファンや」玉と太郎は褒め称えた。

 「隠さんは、、、泣いてるね」ウメは隠神刑部を泣いてるのをわかった。ただ悲しくて泣いていない、嬉し泣きだ。

 「ウメさんは良かったって隠神刑部は言うてるよ」芳一は隠神刑部に代わって言うと

 「誰がえぇ言うたんじゃ、すご〜くえぇ!天才!」隠神刑部は泣きながら褒めた。珍しく。

 ウメは喜んで「良かった」とだけ言った。

 櫻と高林坊はウメの気付かんとこでニヤニヤとする。

 そしたら「何?」ウメは櫻と高林坊の方を向く。

 櫻と高林坊は顔を合わせて「ウメちゃん。もしかしたら見えるの?」櫻はウメに聞く。

 「いいえ、見えないです。ただ、心の声が聞くのです」ウメは心臓を指して言う。

 「ウメちゃん、ほんまに見えてないん?」

 「ん〜。本当に見えてないのですが、一瞬の空気かな?敏感になるのです」ウメは答える。

 「なるほど。失礼だか目が見えない分、第六感が目覚めたと言うことか。そしたら妖怪だったり、人だったり、物の位置は入るのか?」高林坊はウメに聞く。

 「音を鳴らすと物の位置や人の位置まである程度わかりますが、それが人なのか妖怪なのかはわかりません。そして顔まで触ってみたら形である程度わかります」ウメは櫻と高林坊に答える。

 「音を鳴らすとな。益々不思議な子じゃ」高林坊はウメに関心する。

 「そこまで!さぁ、お風呂入ろうか?」

 「ハイ!」ウメと櫻はお風呂に入っていたが

 「さてとっと」

 「ちょっくら脱ぐか」太郎と玉は脱ぐ準備をしてたが

 「太郎、玉、何をしてるのかな?」隠神刑部は釘を刺してある棒を持って二匹をズタボロにして磔にした。

 芳一も行こうとするが「やめとけ」高林坊は言う。

 「ちょっと覗くだけじゃ」

 「隠神刑部は玉と太郎に激怒してるぞ!」高林坊はボソッと芳一に言う。

 「隠さん。茶目っ気やん」

 「洒落しゃれやん」太郎と玉は吊るされながら言ったが

 「ウメ達が出てくるまで、吊るされろ!」隠神刑部はプンプンと怒り

 「な⁈」高林坊は芳一に言い、芳一はそっと隠れた。

 (フシュー)隠神刑部は玉と太郎の磔と同時にウメ達、女性が安心するため風呂場を監視する。(うわ〜、玉と太郎がやられた)男性達は隠神刑部と高林坊が見張っているので近づけずにいた。

 その頃、女性達は露天風呂で浸かった。

 「ウメちゃん、行こうか」

 「ハイ」と裸のウメは櫻の(プニッ、プニッ)としてる物を触った。

 (プニッ、プニッ)とウメは遊んでいると「もう!ウメちゃん、どこ触っているのよ」櫻はウメの手を退けて、代わりに自分のやつに触る。

 (小さい)ウメはしょんぼりとするが

 「ウメちゃんは小さいからな、大きくなったら胸は大きくなるよ」と櫻は言うが

 「十八」とウメはボソッと呟き、益々しょんぼりとし、櫻はどうしようと思った。

 そしたらウメはつまずき「あ!」櫻も「あー!」風呂の中へダイブする。

 すると「僕じゃなかったら大怪我するとこだったよ」河童の河子が上手にウメの体を受け止める。

 「ありがとうございます」

 「いえいえ。櫻が爆乳すぎるんだよ」河子もペッタンコ。ウメを入れてあげた。

 「ありがとうございます」ウメは河子に礼をする。

 「ハイハイ。ごめんね〜ウメちゃん」櫻も入浴したが

 「ウメ、大丈夫か⁈」

 「ウメさん、大丈夫ですか?」

 「ウメさん、敵ですか?」隠神刑部達は慌てふためくが

 「出て行け!」櫻と河子は隠神刑部達に物を飛ばして出て行く様に言う。

 「もうっ!」櫻はまた入浴する。

 「フフフ。本当に賑やか」ウメは笑う。

 「あぁ〜、疲れたわ〜」櫻は答えると

 「櫻さん、惚の字は何のこと?」ウメは聞くと

 「ウメさん、惚の字知らへんの?」河子はウメに聞く。

 「この子は惚の字知らへんの。惚の字はな、惚れたってことやで?」

 「惚れた?誰にですか?」

 「隠神刑部やん。隠神刑部はウメちゃんに惚れてるんやで?他の人はいざ知らず、この櫻の目は誤魔化せんやんで!」櫻は目がキラキラとして

 「隠神刑部、ウメさんに惚れてるん?」河子も目がキラキラと輝いて、ウメの真っ赤な顔になっている。

 「それやったらいいんやけどな、両思いやねん!」櫻は言うとウメは沸騰しそうになったが

 「ウメさんは隠神刑部は惚れとるからな〜。顔はいかついけど、性格はいい奴やからなぁ〜、知らんけど」河子も頷く。

 「な、なんですか⁈惚、惚れてるなんて⁈」ウメは真っ赤な顔をしてかみかみで言ったが女性人にはバレバレだった。

 「ウメちゃん、バレバレ」

 「ゔ〜、櫻さん、言わないでよ」ウメは懇願したが

 「言わない、言わない。男性人は鈍感やから」櫻は笑う。

 「ただ、高林坊は気づいてた、言わんけど」櫻は高林坊のことは信用していた。

 「櫻さんは高林坊と何かあるの?」ウメはニヤニヤとしてたが

 「ちゃう、ちゃう!そんなことはないわ〜、ウチは笑えへんのは好みではありません。ウチが古参やけど、ウチより古参なんよ、高林坊は。もしかしたら一番かもしれんなぁ〜」櫻はウメを見た。

 「さぁ、出よか?男性も入るからなぁ」河子は櫻とウメに出るように促す。

 「うん!」ウメも促く。

 出たら「おぅ、出たか」高林坊は櫻に言うと

 「これ、何?」櫻は呆れながら聞くと

 (フシュー)

 「よ!ウメさん!」

 「助けてなぁ〜」玉と太郎は磔をしながら気さくに喋ったが

 「あぁ〜⁈」隠神刑部は玉と太郎に睨む。

 「うむ。隠神刑部が懲らしめるために玉と太郎がな磔されとる。それにしても別格じゃな、隠神刑部を守護神として見守るとは」高林坊は櫻に言うと

 「高林坊に任せてたからね、隠神刑部は面倒くさがるがウメちゃん居ったらね〜。ウメちゃんを見ようと方々来たが隠神刑部が見張るとは流石にびびってようこないね」櫻もニヤニヤと笑う。

 「ありがとう、隠さん」

 「礼なんていらん、役目だ」隠神刑部はウメを当然したまでと。

 「玉ちゃん、太郎ちゃん」ウメはニッコリと笑うと、急に

 「当分、磔いなさい!」プンプンと怒り櫻に寄っていて

 「帰りましょうか?」ウメは優しく言う。

 「プププ、磔いなさいだって」河子はプププっと笑う。

 少し歩くと「あ!そうだ、隠さん入れるのですか?」ウメは聞くと

 「大丈夫、隠神刑部の一番得意な技は化けることよ。普段はウメちゃんの身長ぐらい顔はあるけど、風呂入る時に化けてるん姿はウメちゃんより小さいよ」櫻は言う。

 「顔も?」ウメは櫻に聞くと

 「顔だけそのままな訳ないやん!ウメちゃん、天然やな、天然」櫻は河子と笑ったが

 「天然⁈何ですか?」ウメは何故笑ったのか困惑する。

 櫻と河子は一瞬ピタッと止まるが

 (ド、ハハハハ)二人共笑いが止まらなかった。

 (ヒィ〜)「天然言うのはな、周りからズレた発言のことを言うんやで〜、腹痛いわぁ〜」櫻が言うと

 「櫻。ウメさんが聞いたら本当に医者呼びに行かれるよってからに」河子も一緒になって笑う。

 そしたら「え⁈医者要らないのですか?」ウメは突飛のないこと言うて

 「もうやめて〜腹捩れて痛いわぁ〜」

 「もう許して〜」二人共地べたにうずくまりお願いした。

 「何を騒いでるんだ?」風呂を出たのはウメよりも一回り小さくした隠神刑部。

 「ほらね、隠神刑部は化けてる。ウメちゃん、屈んで腕を伸ばしてみ?」櫻はウメに前に屈んだ。

 「ほら、隠神刑部」隠神刑部は櫻に手を伸ばす位置まで持って行く。精神的に強制して。

 「やめろって!」隠神刑部はウメの手を伸ばすと

 (モニモニ)と隠神刑部は顔をもみくちゃに触ると

 「顔ですか⁈」ウメは驚くと

 「ほうぼよ、はまぜ(そうだよ、離せ)」隠神刑部をもみくちゃにされが離したら

 「もう一度だけ、顔を触らしてもらいないでしょうか?」キラキラとウメは言う。

 「絶対だぞ!」隠神刑部はキレ気味に言ったが

 (モフモフ)とウメは感動して「ギャー、可愛い〜!」ウメは隠神刑部を持つ。

 「おぃ」

 「ハイ?」

 「ハイじゃね〜だろ、櫻の服引っ張りながら、ワシを引っ張るってどう言うつもりじゃ」櫻がウメを引っ張り、ウメは隠神刑部を引っ張る。不思議な形。

 「まぁまぁ、隠神刑部。手を綱がしてあげ〜な〜」櫻はニヤニヤ。

 「バガやろ〜、手など繋ぐか〜」手を振り解き、全身真っ赤にして隠神刑部は言うが

 「そうですか」ウメはしょんぼりとする。

 「あ〜ぁ。ウメちゃん、可哀想」櫻はウメに引き寄せ、隠神刑部をチラッと見た。

 すると「違う、違う!そうじゃない、手を繋がれるのが苦手なんじゃ」隠神刑部はボリボリと頭を掻いて

 「じゃ、初めて繋ぐのですよ隠さん」ウメはニッコリと笑う。

 隠神刑部はボソッと(濡れ髪で益々可愛いじゃね〜か、それと)

 (めっちゃ喜んでくれてる)ウメは顔を赤くした。

 「ウメちゃん、良からぬことを思ってるの〜」河子は殿様口調でおちょけて言う。

 「思ってません!」ウメは慌てて言う。

 すると(クンクン)「いい匂いがする、納豆小僧達だな。行くぞ、ウメ!」隠神刑部は言うと手を振り解き、急いで(ピュ〜)と去っていく。

 「えっ⁈行くってどこへ?」ピタッと止まり急いで戻ってきて「料理が作ってる。行くぞ〜!」隠神刑部はウメを担いで走って行く。

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