恋する乙女とおはよう
明愛が鼻歌を歌っている。鼻歌を中断して、明愛がこちらの起床に気付く。
「……あ」
布団の中でごそごそと近付く音。それから囁き声。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
明愛、耳元から離れて笑う。
「ふふ……それならよかった」
「すみません。本当は、早起きしたんですから朝ご飯でも作っておくべきでしたが……つい、あなたの寝顔を見てしまっていました」
「あ、えと、寝顔は見ていただけですよ。撮影とか録画とか、ほっぺつんつんとか、してないです。ちゅーなんて、出来ません、まだまだ勇気が……あは、あははっ」
苦笑から、気を取り直して爽やかな口調。
「おほん……さ、ご飯にしましょうか」
「朝ご飯、何にしましょう。未来のオーソドックスな『朝ご飯』はいかが? こちらとは少し違いますが、一度食べてみるとハマっちゃうかもです」
「それとも、朝からカレーにしますか? お父様も弟も好きなんですよねぇ、これ」
「あぁ、ご飯の前に、私の星に伝わる軽い運動というのもありです。……えー、地球で言えばラジオ体操、でしたっけ?」
「まだ眠いなら、いい夢が見られる催眠テレパシーもいいですね」
「ささ、ご飯にしますか? 体操にしますか? 二度寝にしますか?」
甘い囁き声。
「それとも…………私、にしますか? ……えへへ」
笑いと共に耳元から離れる明愛。
「さぁ、起きましょう? 眠いかもですけど、元気出して。気になることがあっても、大丈夫。……私が、ついてますから。今日もいい日になりますよ、ね♪」
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明愛とあなたとひみつの時間 高梨蒼 @A01_Takanash1
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