十六話 まさかの衝撃事実
お久しぶりです。
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俺は、ついていけていなかった話について、父様に説明してもらった。父様もあまりわかっていないみたいだったから、説明もいまいち分かりにくかった。
結局、俺も父様もわからなかったから、最終的には、それに気づいた串焼き屋のおっちゃんに説明してもらうことになった。
「はい。これから、先祖返りについての話をします!」
「よろしくお願いします!」
「おう! よろしく頼むぜ!」
俺と父様が串焼き屋の後ろで座り、その前に串焼きのおっちゃんが立つ。先生と生徒みたいな立ち位置になっている。
「……何でこんなことになってるんだろう」
思わず、敬語を使わず、素で話してしまった。
「なんでだろうな」
この状況について、父様もいまいちよくわかっていないみたいだった。
ということは、この状況について知っているのは串焼きのおっちゃんだけだ。そう思って、俺はおっちゃんの方を見る。それに合わせるように、父様もおっちゃんの方を見た。
おっちゃんが少しだけイラつきながら俺の疑問に答えた。
「お前らが全然わかってないからだよ!!!」
訂正。串焼きのおっちゃんはだいぶ怒っていた。
さらに訂正。くどくど怒られたからめっちゃキレてる。
◆◆◆◆
エレフェリア帝国帝都の串焼き屋
ルカルージュ=アルテール=エレフェリア
「つまり、俺は先祖返りだけど、さらに二重に先祖返りしたってことか」
「さっきと言ってること同じじゃねえか。それじゃあなんでさっき理解できてなかったんだよ」
「いや、驚きすぎたからなだけで。もう落ち着いてるので」
「そうか。じゃあルカ。お前は串焼き食って待ってろ。今度は、まだ理解できていないお前の父さんに説明してくるから」
「うん。
俺はもらった串焼きを口の中に入れる。
うん。すごく美味しい。
これが何のお肉なのかがすごく気になる。スジがなくて、柔らかくて、肉厚で、ジューシー。それで、油も焼かれて落ちてるから、ほんと、美味しい。
話しているけど、あえて空気を読まずに話しかけた。
「ねえおっちゃん。これって何の肉?」
「……ん? あ、これ? ドラゴン」
「えっ……?」
今からでも聞かなかったことにしたい。
こんな時に記憶を消す魔法が使えればいいけど、記憶消去の魔法はそんな都合よくできてない。
一つの記憶だけ消すなんてできない。もし使ったら、遡って一日の記憶が全部吹き飛ぶ。
失敗したら、ココはどこ? 俺は誰? みたいなことになってしまう。
ドラゴンの肉を食べたというだけで、そんなリスクを背負うことはしたくない。使うならもっと別のところで使うべきだと思うから、俺は記憶を消す魔法を使わない選択をする。
まあ、美味しかったよ。貴重な体験ができた。だけど……
「事前に教えてほしかったなぁ……」
「悪かったな」
最初から知ってれば、もっと味わって食べてたのに。
そう、食べ終わった後に残念だと思ったけど。
よく考えると最初に串焼きを焼いていた時の匂いと、今食べている串焼きの匂いは同じだ。
ということは……? と思ったから聞いてみよう。
「ねえ、おっちゃん。いつもの串焼きももしかして?」
「ああ、ドラゴンの肉だぞ?」
「それが、銅貨五枚?」
「いや、銅貨三枚」
「安くない?」
「安くないぞ?」
「おいルカ。こいつに、いや、エルフにそういうのは聞かない方がいい」
おっちゃんに突っ込もうとしたら、父様に止められた。
「なんで?」と聞く前に、教えてくれる。
本当に親ってすごいよね。エスパーなのかな? 当たり前のように心の中で思ってることを読んでくるんだけれども。
「こいつは金銭感覚がエルフ感覚だからな」
そういうことらしいけど、ちょっと待って。
再びストップ!!
できることなら一時停止したい!
止まった時間の中でじっくり考えたい!
エルフって……、通常のエルフって、ドラゴンが主食に食べられるレベルなの? そう思ったけど、これは知らない方が良かったことだよね。だって、人族の世界では、ドラゴンは高級品なんだから。
「エルフ感覚とは失礼な。まともな金銭感覚のエルフもいるよ。たとえば先祖返りなこいつとか」
こいつとは失礼な……!!
串焼きのおっちゃんが、俺のことを指差してくる。
おっちゃん! 別世界では、指で差すのも、こいつっていうのも失礼なんだよ!
「なあ、リベリオ。こいつはなんで怒ってんだよ」
「わからねえ。が、おおかた名前で呼んでほしいんだろうよ」
だからなんでわかるのさ。父様!
「んじゃあ、ルカ。これから少し重要な話をする。おっちゃんの話ちゃんと聞けるか?」
「聞ける……ます。子供じゃあないんだから」
「お前、十分子供だろう? まだ六歳じゃねえか」
精神……、いや、頭だけは子供じゃないもん!
父様もおっちゃんも失礼なんだから!
子供でも、どっちでもいいでしょ!
話聞ければ問題ないでしょ!
「ルカ。お前が先祖返りでハイエルフとして生まれたことは俺以外のエルフには絶対に隠せ!」
「なぜ?」
理由もなく隠せと言われても困る。
しかもあったばかりのおっちゃんだよ?
それに、だって、家族にも兄弟にもドヤ顔したいし、今だってはしゃぎたいの我慢してるし。
「もし、ハイエルフだということがバレたら、あっという間に魔法大国ユグドラシルに連れて行かれちまうぞ!」
「っ!!」
おっちゃんが暗い部屋で懐中電灯を使って怖がらせる時のような顔をして、そう驚かせてくる。
「ってことは……もしそうなっちゃったら、もう家族とも会えない?」
それだけは教えて!
大事なことだから!
「う〜ん。まあ、そうだろうな。ハイエルフは貴重だからな。王族だぞ? あの魔法大国の」
「ヒエッ……!!」
嘘でしょ!?
まさかの衝撃事実なんだけど!
おまけ
現在思っていること
ルカ:ガタ……ガタ……
おっちゃん:子供に言うことじゃねえよ! こんなこと!
皇帝リベリオ:今すぐラドルに伝えなければ!!
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