十四話 考えることは同じみたいで
お金について
硬貨は鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、黒曜貨、月虹貨の順に高価になっていく。
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エレフェリア帝国帝都
第三皇子ルカルージュ=アルテール=エレフェリア
さあ。やってきました。二度目の帝都!
本当にびっくりしたよ。父様の部屋の隠し通路が、城の外に繋がってるなんて。俺、隠し通路の出口の目の前、一回目の外出の時に通ったはずなんだけど、全く気づかなかったんだよね。気づけなかったことが、少しだけショック。
今日は、城の外に出る方法を見つけたから出てきただけだ。特にやろうと思ったこともない。
外に行ける方法がある!わーいって感じでとりあえず出てきただけなのだから。
うん。何しようか。
やることがない! 冒険者ギルドに行くのはな……今の気分じゃないし。ほんと……何しようか。
そう考えていたとき、先に隠し通路から帝都に出て行った父様のことを思い出した。
そうだ! 父様と一緒に帝都に遊びに行こう!
そう、最初に考えていたことを思い出した。せっかく父様も、帝都に出てきているのだ。視察とは書き置きに書いてあったものの、きっと遊びに行っているんだ。視察というのは、そういうものだと俺は思っている。
思い立ったらすぐ行動! 早速父様を探そう。
俺は、帝都の人混みの中に足を踏み入れた。
◆◆◆◆
全然見つからない。なんなの?
父様、紛れ込みの達人じゃない? 索敵はしてるし、何回か、近くにいるってわかった時があったけど、毎回毎回全然見つからない。
ああ、そういえば、父様を探してる途中で、肉屋のおじさんに兎魔物を売った。通りかかった時に、たまたま魔物を売っている人を見たからだ。
もしかしたらと思って、収納してある兎魔物三匹を売ってみたら銀貨六枚になった。
冒険者ギルドに登録するには、銀貨三枚が必要だったから、余裕で足りる。これでいつでも登録できる。しかも、登録しても銀貨三枚余る。
初めてもらったお金。手にズッシリとくるお金の重さに感動した。
せっかくだから、お土産に、初めてのお金で何か買っていこう。
そう思い立った俺は、果物を一つくれた果物屋の女の人のところへ向かった。美味しかったから、また食べたいなと思ったのと、母様にも食べて欲しいなって思ったからだ。
「あれ? 久しぶりね。今日はどうしたんだい?」
果物屋の女の人が聞いてくる。
「えっと、お金を自分で稼いだから、お土産に買って帰りたくて」
「そうかい。うちの果物を選んでくれてありがとうねぇ」
「おすすめの果物はある?」
どの果物がいいか、俺にはわからない。だから、おすすめを教えてもらって、それにしようと思った。
「ああ、それだったら、アップルがおすすめかな? 値段も安いし、甘酸っぱくて食べやすいからね」
「じゃあ、それをえーっと……」
そういえば、兄弟何人いたっけ……。えーっと……一、二、三、四……ああ、お金が一気に減りすぎちゃうね。とりあえず、父様と母様と同じ母様の姉と妹にでいいか。で、俺も食べたいから五つ。
「五つください!」
「あい五つね。銅貨五枚だよ」
「お願いします!」
俺は、果物屋の女の人に一枚の銀貨を渡す。
「はい、アップル五つとお釣りの銅貨五枚ね」
「ありがとう」
女の人に渡された、銅貨とアップルを受け取る。
って、あれ?
「一個多いんだけど……」
「それはおまけだよ」
「いいの? ありがとう」
俺は六つのアップルが入った袋を手に持って、果物屋を去ろうとした。
「アップル一つ」
そんな声が、果物屋から離れようとした俺の横から聞こえてきた。
「はい、アップル一つ」
「代金の銅貨一枚だ」
「はい、いつもありがとうね」
俺の次に、アップルを買った人は、男の人だ。だが、フードをかぶっていて、姿がわからない。
だけど、声を聞けばすぐにわかる。さっき聞いたばかりの声だから。今まで全然見つけられなかった人の声だから。
「父様……?」
「えっ……、ルカ?」
フードをかぶった男の人が、俺の方を見て、俺の名前を呼ぶ。フードをかぶった男の人を正面から見ることができた。俺は背が小さいから、フードをかぶっていても、少しだけなら顔を見ることができる。
フードの中には、俺の見知った顔があった。やっぱり父様だった。
「と、とりあえず移動しよう……」
父様が、俺の手を掴んで、人目のないところに誘導する。
そして、そこでフードをパサリと外した。
「なんでルカがここにいるんだよ……」
「父様、それはこっちのセリフですが。ずっと探してたんです。なかなか見つからなくて困っていたんですよ」
「そりゃあ、隠れてたからな」
「…………」
隠れるんじゃないかなとは思っていた。父様から直接そう言われても、やっぱりそうかと思うだけだった。
今、俺が気になっているのは、なんで父様がここにいるかってことだ。父様も俺がなんでここにいるのか気になっているみたいだ。
「で、なぜ父様はここにいるんですか? 今は、自分の部屋で仕事中のはずですよね」
「ゔっ……」
俺にそのことを指摘され、父様は一瞬なんで知っているんだ!? という顔をする。
その理由は簡単だ。ラドルさんに聞いたんだから。父様に言うつもりはないけどね。
「なんでですか?」
俺は父様に再び聞く。
「いや……、帝城での仕事に飽きたからだよ」
「なるほど」
俺の考えてたことと全く同じだ。
親の考え方は遺伝するのだろうか。そう思ってしまう。だって、さっきも同じ果物屋に同じタイミングで果物を買いに来ていたし、父様も飽きたからと言って、帝城から脱走しているし。
「じゃあルカ、お前はなんでこんなところにいるんだ?」
「………………」
父様が俺のことをじーっと見つめてくる。
こうなると、言うしかないか……
「城の中の生活に飽きたからです……」
父様はまた、心配だから城の中にいろと言ってくるのだろうか。俺は何を言われてもまた外に脱走するつもりだけど。
「……考えることは同じなんだな」
外に出るのはダメだとは言ってこなかった。だが、俺が考えていたことと全く同じことを言ってきた。
おまけ
現在思っていること
ルカ:親に子供は似るもんなんだね
ラドル:騎士団は陛下と皇子の捜索をお願いします。
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