第4話  風の王女が変

「母上が言うように、ここは、安全なダンジョンみたいだよ」


 三層は、砂ねずみのドリィに偵察させて、危ない魔物はこれ以上出てこないと分かったアベルとタケルの兄弟は、四層に降りる階段を、見つけて降りていった。


「ドリィに、お礼を言ってよね。タケル」


「言わないよ。アベルだって、大みみずはぼくがいなけりゃ、泣きどうしじゃないか!!」


 ……と言っても、ここはドリィの役どころだったが、アベルがドリィばかり誉めるので、アンローラが拗ねてしまったのだ。


<私にやらせなさい、アベル>


 タケルは、驚いた。

 精霊が人間に命令してくるなんて、聞いたことがない。


「大丈夫なの!? 変なものつれてこないでよ!」


<そんなことしないわよ! この階層を調べてくれば良いんでしょ?簡単よ!!>


「タケルがドリィばかり、可愛がるから、拗ねたんだね」


「お兄ちゃんて呼べ~!!」


 二人のいつものような喧嘩が始まると、風の王女が、半透明の顔色を真っ青にさせて、アベルのところに戻ってきた。


<キャ~!!なんなの?このダンジョン、岩の中から人が出て来たわ~!! あれが魔王なの!?>


「アンローラ、どうしたの?」


<アベル~!! 早くここを出た方が良いわ!! 奥に変な棒を持った布を被った美形のお兄さんが二人いるわ~!! 魔王が、二人いるなんて聞いてないわよ!>


 アベルとタケルは、顔を見合わせた。


「どゆこと!?」


「どうゆう事なんだ!?」

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