クロガネという男
――ヴガレムル市の朝は空気が冷えている。
よく晴れた空の下。
身だしなみを整えて、黒髪に黄金色の瞳を持った男が屋敷の外に出た。日中こそ穏やかな気候で過ごしやすいが、朝夕はすこぶる冷えるのがこの地の特徴だった。
クロガネ・シヴ・シノムラに朝の日課はない。
これは純然たる安全上の問題である。
ルーチンワークを作ることは、最も暗殺の成功率を高めるリスクになる。
ナイフ、拳銃、狙撃銃、爆弾、毒物――この世には無数の暗殺方法があり、どの方法にも相応の成功の歴史がある。
新興貴族たる杖の貴族として、軍事貴族たる剣の貴族と対立しているクロガネには敵が少なくない。
であるからして、その日、クロガネが朝の散歩に出たのはまったくの偶然ではなく、とある人物と会話する時間を捻出するためだった。
領主の館、その庭園を散策する。
――広々とした庭園には一人の来客があった。
仕立てのいいシャツにズボン姿、短く整えられた灰色の髪、柔和な笑み――如何にも休暇を取ってやってきたベガニシュ人の高給取りといった風情。
朝の散歩という体で出会った紳士は、見たところ五十歳になるかどうかの壮年だ。
まだ青年と言っていい顔立ちのクロガネ――この男の経歴を考えれば年齢不詳と呼ぶほかない――と並ぶと、親子のように見えなくもない。
周囲はヴガレムル伯領の警護の兵によって固められており、狙撃ポイントとなる地点はことごとく掃除されている。
政争に敗れて表舞台を去っていった貴族やその家臣たちを巧みに取り込み、すっかりヴガレムル伯爵の忠臣に仕立てあげたからこそできる警護体制――とても立ち上げてから二十年も経っていない伯爵家とは思えぬ仕事ぶりだ。
それを知ってか知らずか、仕立てのいいシャツを着た壮年の紳士は、いささかも老いを感じさせない鍛え上げられた肉体で、胸いっぱいに空気を吸い込んだ。
「西ベガニシュは美しいな。特にこのヴガレムル市は気に入った。見事なものだよ、伯爵」
その男の言葉を受けて、クロガネは微笑んだ。
ベガニシュ帝国の貴族、ヴガレムル伯クロガネ・シヴ・シノムラとしての演技である。
あるいはエルフリーデ・イルーシャがその光景を目にしたならば、「なんで……わたしのときはあんなに無愛想なんですか?」と疑問を投げかけたかもしれない。
「ありがとうございます、閣下。この都市の発展が、お目に叶うものだったのならば無上の喜びです」
「いや、何。今回の訪問は個人的な旅行だ。休暇が溜まりに溜まってしまってね――休みを取るよう陛下に諭されてしまった。家内もヴガレムルが気に入ったようでね、綺麗な街だとよろこんでいるよ」
「光栄です」
クロガネが柔らかな笑みで応じる。
「ヴガレムル伯、貴殿に私利私欲がないことはわかっているとも。その点では……私欲をむさぼり、この国を食い尽くそうとしている大貴族たちと志が異なることは、このヴガレムル領の発展ぶりを見れば明らかだ」
民を富ませ、インフラを整え、多くの労働者を養いながら先端技術を研究して――性能とコストに優れた工業製品を軍用品、民生品問わずに生産して潤う街。
それが工業都市ヴガレムルのもう一つの顔である。
十五年前の征服戦争で早期に陥落し、歴史ある街並みが破壊されることを免れた都市は、帝国に併合されながらも繁栄を謳歌していた。
それは旧バナヴィア王国に殉じた民から見れば売国奴と誹られる行いなのかもしれなかったが――皮肉にも、この街が今現在、富んでいればいるほど、そういった人々の情念は過去のものとして忘れ去られていく。
帝国に併合されたヴガレムル領が発展していることそのものが、ベガニシュ帝国にとって格好のプロパガンダの材料なのだ。
その都市の行政を統括し、企業連合体ミトラス・グループを率いる代表――それがヴガレムル伯爵クロガネ・シヴ・シノムラの現在の肩書きだった。
彼は純粋なその経済力と国防に食い込んだ事業――最新兵器であるバレットナイトの生産と維持に欠かせない基幹部品の調達――によって、大貴族たちに劣らぬ影響力を持つに至った新興貴族だ。
ゆえに彼と閣下と呼ばれた男がこうして会っているのは、別段、不思議なことではなかった。
不意に、問われた。
「果たしてエルフリーデ・イルーシャは、公爵家に刃を向けてまで確保する価値があったのかね?」
意外な問いかけではなかった。クロガネはまったく表情を変えず、目の前の男に対して視線を向けた。
陸軍内部で多大な影響力を誇る将校、改革派を率いる盟主に等しい将軍。
その表情こそ穏やかだが、眼光は鋭かった。
「これから先、帝国内では争いが増えることでしょう。貴族領の私兵、その尖兵となっている民間軍事会社による小規模な武力衝突……そういった情勢下で必要とされるのは、少数で他を圧倒する武力です」
「君に足りないのは、そういう武力を司る存在ということか」
クロガネ・シヴ・シノムラは爵位を金で買った男である。十五年前の征服戦争で急に降って湧いた利権であるヴガレムル領を、当時の皇帝は大貴族の手に渡したくなかった。
中央集権化を進めたい皇帝と官僚たち、既得権益を維持したい大貴族たち――その綱引き合戦の果てに、皇帝は征服した領土と爵位を企業連合体ミトラス・グループの代表に与えたのである。
少なくとも大貴族たちの力が増すことはなく、その矛先が当分、余所者に向くならば好都合というわけだ。
まったく生け贄に等しい貧乏くじだが、この十五年間、驚くべきことにヴガレムル伯爵はその地位を保ち、むしろ帝国への影響力を増やすという離れ業すらやってのけていた。
クロガネは前歴不明の男である。
少なくともベガニシュ人でもなければ、生粋のバナヴィア人でもないことだけはわかっている。大陸南方の民であるとか、ベガニシュ帝国が征服していない小国の出身であるとか、噂はいろいろあるがはっきりしない。
社交界ではそれが異文化情緒あふれる謎の貴公子、という評価に繋がっている。そこらの下級貴族よりよほど、ベガニシュ語やベガニシュ文化に精通しているせいだろう。
とはいえ余所者には違いなく、その手のものが行った今回の監獄襲撃は、かの監獄の運営に噛んでいた大貴族を怒らせるには十分な凶行だった。
「元々、エルフリーデの件は奪われた我々の落ち度だ。その件はこちらでもフォローしよう。しかしあの襲撃はどう取り繕っても貴族同士の私闘としか言えん――近いうちにドゥガリオ公爵からの報復があるものと見たまえ」
元々、エルフリーデ・イルーシャの才能を見いだし、その妹ティアナ・イルーシャを保護していたのは、彼ら改革派の手のものだったのだ。
大陸間戦争が本土決戦に移り、ベガニシュ帝国側が反撃に転じるまでの劣勢の間、激戦区を転戦させられていたのも彼らの差配である。
結果として敵国の遠征軍を撃退できたのだから、そういう意味で改革派の戦略眼は正しかったのだが――これが面白くなかったのが貴族派と呼ばれる勢力だった。
ティアナ・イルーシャの扱いが露骨に軟禁から監禁に変わったのは、改革派と貴族派の陰険な権力闘争の余波であり、結果として改革派は英雄の妹を守り切れなかった。
その後、貴族派がエルフリーデにどういう仕打ちをしたかは、言葉にするまでもない。つまるところ元を正せば、眼前の将軍の派閥が、エルフリーデの歩んだ過酷な道の元凶だったのである。
そういうろくでもない事実関係を口にするほど、クロガネは野暮ではなかった。
目下の敵は改革派ではない――ベガニシュ帝国の既得権益を享受する大貴族、上級貴族たちの盟主たるドゥガリオ公爵ガトア家。
かの皇帝陛下の意向すらはねのける大貴族が、報復に向けて動き始めている。
将軍からの忠告は、耳に痛いものだった。
「あるいは君がこの試練を乗り越えられるならば――我々の同志として共に立ち上がる日が来るかもしれんな」
怖いぐらいに澄み切った空の下、二人の男の間に沈黙が降りた。
ベガニシュ帝国は長く続いた戦争を終わらせた。しかし新興国であるガルテグ連邦に攻め込まれたことで、その軍事的威信は大きく下がってしまった。
皇帝や軍部はその責任を貴族派に求めている。大陸間戦争を主導した公爵たちは、政治的には窮地に立たされているのだ。
それゆえにどういう動きをしてくるのか読めなかった。
灰色の髪をした壮年期の英雄――そう、相手はベガニシュ帝国にとっての英雄なのだ――は、クロガネの顔を見ている。
ヴガレムル伯クロガネ・シヴ・シノムラは、如何なる感情も乗せず、忠告に対してこう答えた。
「もちろん、私はここで終わるつもりはありません――カール・トエニ将軍閣下、奥様によろしくお伝えください」
ベガニシュ帝国で皇帝に重用される平民出の大将軍――かつてバナヴィア王国を滅亡させた征服戦争でその辣腕を振るった男――に対して、クロガネは
何も問題はない。
すべては彼にとって手段でしかない。
エルフリーデ・イルーシャを手にしたことも、ベガニシュ帝国の爵位を得たことも、何もかもが。
◆
朝食ってなんだっけ。
エルフリーデ・イルーシャは今、長年、自分が慣れ親しんできた慣習と食事の概念を破壊され、アイデンティティの危機に陥っていた。
ヴガレムル伯爵の屋敷、その食堂の長テーブルの上にずらりと並んだ料理はどれも魅力的で、それぞれが一品だけでも十分にごちそうと言える代物だ。
チョコレートを練り込まれたパン。温かくて香りのいいお茶。バターをたっぷり使ったふわふわのプレーンオムレツ。低温調理された塊から切り出したロースト肉。挽肉にハーブを練り込んだ腸詰め。そして極めつけに新鮮な生野菜のサラダ。
どれも美味しい。大変口に合う。それは確かなのだが。
「白パンにチョコレートを詰めるなんて……背徳的だ……」
エルフリーデ・イルーシャは貴族の食事に打ちのめされていた。ティアナを助け出すまでの準備期間、滞在していた別邸の食事も悪くなかった――堅焼きのパンにハーブ入りのバターを塗って食べるのがエルフリーデのお気に入りだ――けれど、ここヴガレムル伯爵領のお屋敷で出される食事はどれもずば抜けている。
香りのいいお茶が美味しいのはもちろんのこと、ロースト肉の焼き加減なんて最高(しっとりと火が通った肉の舌触りときたら!)だし、まさかパンにチョコレートを詰めるなんて大胆な発想があるとは思わなかった。
ちなみにエルフリーデが一々、呆然としている間にも、妹のティアナは無言でパンを千切って口に運んでいる。流石は我が妹、こんなときでも行儀がいいし最高に可愛い。
豪華で美味しい朝食に対して、エルフリーデの口からこぼれ落ちたのは、嘘偽らざる本音である。
「……やはり、貴族は悪なのでは……?」
「ふふっ、エルフリーデ様はご冗談がお好きなのですね」
ティーカップにお茶を注いでくれたのは、エルフリーデ付きのメイドでアンナという。エルフリーデと同じぐらいの年頃の少女だ。地元出身のバナヴィア人だという彼女は、このお屋敷のことについて尋ねれば何でも答えてくれた。
クロガネ・シヴ・シノムラ卿の評判はすこぶるいい。使用人の福利厚生もしっかりしていて、毎日の食事は美味しいし、おやつも出るし、休暇だってしっかり取らせてくれる。
もちろんお給金もきちんと支払ってくれるし、これ以上なく素晴らしいご主人様ですよ、とはアンナの言である。
話を聞いていてなんだが、エルフリーデは妖精に化かされたような顔になっていた。
アンナの話の中に出てくるヴガレムル伯クロガネは、自身の雇っている使用人や企業の従業員への福利厚生を重視し、その健やかな暮らしを第一に考えるような人物である。
それでいて領地の発展にも大きく貢献している腕利きの実業家――立派な大人物という感じがした。
――わたしを犬呼ばわりしてくる男の逸話とは思えないな。
それじゃあまるで、クロガネがただのいい人ではないか。
エルフリーデはその両目に映る贅沢な朝食をじっと眺めた。うん、やはり幻覚ではない。一度は失明しかけた左目の調子もばっちりである。
そういえばミリアムは元気でやってるかな、と元部下のことを考える。最後に会ったときは3321独立竜騎兵小隊の解体に対して憤り、上官に食ってかからんばかりの勢いだったけれど。
ミリアムは頭がいい子なので、きっと折り合いをつけているだろう――そのようにエルフリーデは戦友を信用していた。
朝食の席ということでエルフリーデの格好はとてもシンプルだ。白いシャツに黒色のジャケットを羽織り、ネクタイを締めてスラックスを履いている。
華美に過ぎず、かといって古くさすぎない男装の趣。エルフリーデは今やクロガネの部下である。しかしメイドではないのでメイド服は論外だし、執事でもないので執事服を着るわけにもいかない。
ならば動きやすくフォーマルな格好がよかろう、と彼女は男装を選択していた。働く女性というのも当世では珍しくないし、これが一番無難だろうという判断である。
凜々しくて素敵です、とはメイドのアンナの談である。
ちなみにエルフリーデの妹ティアナは、大変可愛らしいワンピースドレスを着ている。誰のチョイスか知らないが、ティアナの可愛らしさをわかっている最高の衣装だ。
一言で言い表すなら、エルフリーデはいい空気を吸っていた。
ヴガレムル伯爵の屋敷は大変自由な家風らしく、時間内であれば朝食はいつ食べてに来てもいいことになっていた。
そういうわけなので朝が早いクロガネとは顔を合わせない日も多く、この日もそのように時間が過ぎていくかと思われたのだが――そうはならなかった。
足音。食堂のドアが開かれる。
冴え冴えとして研ぎ澄まされたナイフの刃を思わせる、長身の美男子――この屋敷の主クロガネ・シヴ・シノムラ。
従者ロイ・ファルカを伴う姿は、すでに彼が仕事をする時間であることをうかがわせる。
「エルフリーデ・イルーシャはいるか?」
呼び掛けられ、エルフリーデは席を立とうとしたのだけれど。
「ああ、食事を続けろ。用があるのはそのあとだ」
「は、はい……?」
いや、屋敷の主人が自ら出向いておいてそれは鷹揚すぎる。
この男――ひょっとしてエルフリーデを犬呼ばわりしなければ、たぶんいい人なのでは、という気がする。
よし、冷静にこれまでの経緯を振り返ってみよう。
貴族どもの陰湿な悪意によって死地に送り込まれたエルフリーデを自ら身体を張って助け(まずここが無意味にリスクが高い)、妹の救出のためのあらゆる人員と資材と情報を手配し、その後の暮らしの保障までしてくれた。
すごい。大恩人である。
はっきり言って白馬の王子様みたいな存在だ。
冷静になってみると、自分はどうして恩人にこんな不躾な態度を取っているのだろうか。エルフリーデ・イルーシャは我がことながら、自分自身の感情がわからなくなってきた。
いや、八割ぐらいは反感を煽るような物言いをするクロガネが悪いのだが。
やや混乱してきたエルフリーデがそれでも皿の上の料理を平らげると、クロガネが口を開いた。
「今日はヴガレムル市内を査察する。お前もついてこい」
エルフリーデは本格的に混乱した。
栗毛の少女が目を丸くしていると、クロガネは例によって不機嫌そうな表情で言葉を付け加えた。
「エルフリーデ・イルーシャ、お前は今やヴガレムル伯領の騎士だ。それが街の要所一つわからぬようでは格好がつかない」
「ええっと……つまり支度しろ、と?」
「そうだ」
補足するようにクロガネの従者――金髪碧眼の青年ロイが口を開く。こちらは大変いい感じの黒のスーツ姿、見るからに貴族の従者という感じだ。
「予定では夕刻までかかりますので、外行きのつもりで準備していただけるとよろしいかと」
相変わらず表情が読めないプロの笑顔である。
エルフリーデの理解するところでは「うちの旦那様に恥をかかせない格好をしてくださいね」と言外に圧力をかけられている。
なるほど、とエルフリーデは納得した。
どうやら先日、メイドのアンナにカタログを押しつけられて、服の採寸までされたあと衣服を届けられたのは、こういう事態に備えるためだったらしい。
当日にいきなり予定を押しつけてくるのはだいぶ面倒くさいな、という気持ちになったが――その一方で、少女の脳裏を横切ったのは「これって一種のデートでは?」という疑念だ。
不味い。
まったくの想定外だ。
真顔になって硬直した姉を横目に、妹はわなわなと震えだした。
「お姉ちゃんが……デートするの……? えっ、この街滅ばない? 空から裁きの炎が落ちてきたりする?」
ティアナ・イルーシャはこの世の終わりみたいな表情になった。何故か終末神話で語られる天の業火まで発動確定らしい。
自分のデートらしきものは、神罰が下るレベルらしい。
どうして妹からそんな罵倒めいた懸念が飛んでくるのか理解できず、エルフリーデは戸惑いながら尋ねた。
「ティアナ、お姉ちゃんに対してどういうイメージを持ってるのか訊いていい?」
「なんか情緒がおかしくなった人を作る変なお姉ちゃんだけど……」
「わたしの評価が不当に低い……あれ、低いのかなこれ……?」
話の焦点がずれまくった姉妹の会話は、どこから突っ込んだらいいのかわからないほど軸がぶれていた。
「言っておくが、逢い引きではない。仕事だ、わきまえろ」
クロガネはにこりともせずに訂正してきた。若干、こちらは真面目な話をしているというニュアンスが含まれていた気がする。
エルフリーデは本気でイラッとしたので、微笑みを浮かべてキレるという器用な真似をした。
権力を笠に着てデートを申し込まれるのも本気で嫌だけれど、真っ向から否定されるとそれはそれで複雑なものがある、という複雑な心境――栗色の髪の乙女は、自分でも把握しかねる感情に襲われていた。
「――わかってます」
「ならば怒るな」
「もちろんです、ヴガレムル伯」
二人の会話に口を挟むものはいない。
これが使用人であるならば、主人に対する口の利き方がなっていないとたしなめられただろう。
しかしエルフリーデ・イルーシャの身分はあくまで、クロガネ・シヴ・シノムラと契約を交わした個人に過ぎない。
伯爵の騎士という身分は、明らかにこの屋敷の使用人の命令系統から浮いているのだ――そういうわけなので、メイドのアンナははらはらして見守っているし、ロイ・ファルカは無言で微笑んでいる。
伯爵様と姉のこれまた微妙な空気を読み取って、ティアナ・イルーシャは呆れかえった。
「お姉ちゃんってやっぱり罪深いんじゃない……?」
おそらく彼女の姉は、ややこしい人間関係を作る名人だ。
それぞれの縄張りと自意識に縛られて、面倒くさいことになっている年長者たちを、幼い少女はやや冷静な瞳で見つめた。
反論できる人間は一人もいなかった。
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