第2話 赤ん坊の手

同じ在日韓国人でも、高校時代の同級生は赤ん坊のような手でした。

彼は(全寮制)高校2年生の時、同室であった私に「オレは○ョンで、しかも貴族の家柄だ」と、実印まで見せて告白したのです。

なぜかといえば、その頃、ベットで眠る者を深夜集団で襲う「プレス(押し潰す)」という遊び(イジメ)が流行っていて、彼がその標的となる危険を察知し、私を通じて自分が在日韓国人である、と皆に知らせてほしかったからなのです。

当時、私は両班・ヤンパンという南朝鮮貴族の名称を知りませんでしたが、今にして思えば、「南朝鮮貴族」という、嘘やはったりばかりで汗水流して働かない人間の血を引いていた、ということなのでしょう。→ 中公新書「元寇」

両班と同じで、彼もまた人に嘘をつき、裏で舌を出しているタイプの人間であり、「汗水流して働くのはバカのすることであり、頭の良い人間は要領よく生きるもの。」という考え方でした。

これは、高校3年生の時、私の部屋に毎晩来て自分の話を語っていた彼を見て感じたことです。高校時代に知った「朝鮮貴族の性格」が、50年後の今、ネットや本で知る「両班・ヤンパン貴族」の情報と見事に一致したのです。

彼がなぜ、私の所に毎日来ていたのかといえば、高校3年生になると、彼は公然と「オレは○ョンだ。オレのおじさんはヤクザだ。」といいまくっていたので、誰もが表面上は親しく話しても、(心の中では)軽蔑・煙たがり・信用していなかった。

  それを彼もよくわかっていたので、「ホラばっかり吹くんじゃねえよ。」とか「お前、バカじゃねえのか。」なんて、本音で相手をしてくれる私の所へ来ていたのだと思います。

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