第20話 七月の囁き

Vさんの職場の机には、古い卓上カレンダーが置いてある。

それは、1999年もので四半世紀も時間が経ってしまっている。

彼が勤める会社が移転したとき、居抜きのような形で入居したのだが、すでに決められた彼の席に置いてあったのだそうだ。

最初は捨てたのだが、何度捨てても、翌朝には彼の机の上に置かれている。

気味が悪くなり、燃やしても、ビリビリに破いても、翌日には元通りになっている。

監視カメラも確認したのだが、ある瞬間までは机の上には何もないのだが、誰かがカメラの前を通り過ぎたりして机上が見えなくなった次の瞬間には現れている。

しかも、決まって開いているページは七月。

同僚たちは口々にノストラダムスの大予言のことを囁いたが、そんなのはとっくの昔に過ぎ去って、予言は外れたものだとわかっている。

だが、そのページは赤の絵具で塗られていて、日付はほぼ見えないようになっているので、不気味さも相まって、何かを暗示しているのはないかと言われているということだ。

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