第15話 鍵穴
Oさん宅の隣の一軒家は、もうずいぶんと前に空き家になっている。
家族が住んでいたのだが、ひとりまたひとりと老衰や病気で亡くなっていって、気がつけば最後のひとりが子どもに施設へ入れられてから無人となった。
子どもは結婚してふたつ先の県に引っ越していたのだ。
日が経つにつれて廃屋となり、ボロボロの様相。
ある晩のこと、Oさんが仕事で遅くなった。家路を急ぎ、隣家の前を過ぎたあたりで悲鳴が聞こえたのだ。隣家の中から。
驚いて目を向けると、玄関に明かりが点いている。
駆け寄ると、ドアの取っ手から光が漏れている。鍵穴だ。
昔の海外の物件じゃあるまいし、とは思ったがOさんは恐る恐る、鍵穴を覗いてみた。
すると、向こうからも同じように誰かがこちらを覗いていた。
Oさんの記憶はそこまでで、次に意識が始まったのは、隣の家の前で気絶しているところを妻に起こされたところからだそうだ。
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