第56話 憑りつかれた少女を救え!先輩は聖女と共に悪霊を退治するそうです part3
隣のテーブルから漏れてくる声に、
思わず耳がそばだつ。
「何かに憑りつかれているらしい」とか
「悪霊が強すぎる」とか、
そんな不穏な単語が次々と耳に飛び込んでくる。
険しい口調で交わされる会話が、
どうにも不吉だ。
私はオカルトが苦手なのである。
ホラー映画ですら一人で観るなんて論外だ。
ましてや、
こんなリアルな話を聞かされるなど、
恐怖以外の何物でもない。
「俺たちレベルの除霊術じゃ、
娘に憑りついている悪霊には
太刀打ちできないな。」
「除霊が得意なSランク冒険者のアゼルですら、
昔挑んだけど成功しなかったって話だぜ」
「じゃあ、誰なら助けられるんだよ?」
呟き声に混じるため息。
どうやら隣のクレリックたちは、
悪霊を除霊できず1万G取られたのが悔しいようだ。
そんな会話を聞いてしまった私の心臓は、
すでに早鐘を打っていた。
ふと隣を見ると、
先輩がじっと私の顔を見つめていた。
目を輝かせ、
口元にはニヤリとした笑みを浮かべている。
――嫌な予感がする。
その表情だけで、
何を考えているのかが手に取るようにわかった。
「後輩ちゃん!!
私たちで悪霊をやっつけようよ!!」
そして案の定、
その口から飛び出したのは無謀すぎる提案だった。
「嫌っす!!
ダメっす!!
怖いっす!!」
私は嫌な時に発動する三拍子を絶叫しながら、
必死に首を振った。
だが、先輩は全く意に介さず、
目をキラキラさせながら興奮していた。
「でも、一億Gもらえるよ。」
なぜ先輩は、
私たちが悪霊を追い払うのを前提に
話を進めているのか全くわからない。
しかも、その顔には迷いのかけらもない。
どうやら本気でやる気らしい。
この世界の除霊はおそらくガチだ。
モンスターが本気で憑りついていて
光の魔術か何かで追い払うのだろう。
映画のような作り話とは一線を画す現実の危険。
それを考えるだけで恐怖で震えが止まらない。
それに、魔術すら使えない私たちが
どうやって悪霊を退治するというのだろうか。
プルルもニャンタも、
悪霊退治に関しては専門外のはずだ。
私たちの誰一人として除霊スキルを持っていない。
だが、先輩の頭の中ではすでに
「悪霊を退治する」という
結論だけが固まっているようだった。
「先輩?
人に憑りついた悪霊なんて、
どうやって退治するんすか!?」
たまらず問いかけた私の声に反応したのは、
ニャンタだった。
いつもの気だるげな声で、
尻尾をゆっくり揺らしながら口を開く。
「金はあるんだ。
この都市で除霊に必要な
アイテムを買えばいいだろ」
「ほら、ニャンタもそう言ってるし!
さっそく買い物に行こうよ!」
「ええっ!?
本気で除霊しに行くんすか!?」
先輩の勢いに押され、
結局私たちはレストランを後にした。
除霊アイテムを探すという目的を掲げつつ、
まずは宿探しも兼ねて街を歩き出す。
「またのご来店お待ちしてます!」
レストランの店員が明るい声で見送ってくれるが、
私の心は晴れない。
ちなみに私は、
悪霊退治に納得したわけではない。
そもそも、隣のクレリックたちでさえ
「除霊できない」と匙を投げていたのだ。
素人である私たちが、
市場で適当に買い集めたアイテムで
どうにかなるわけがない。
そんな簡単な理屈を思いつきながらも、
先輩の無邪気な熱意に流されて、
私は市場へ向かう足を止められなかった。
「おい炊飯器!
あそこに宿があるみたいだぞ
どうするんだ?」
「ほんとだ!
リアル宿だよ!
冒険といえば宿だよね!」
「悪霊退治のアイテム買う前に
宿の予約しとこうっす!」
この宿屋は、街の中心部に位置し、
多くの人々が行き交う広場の一角に建てられていた。
周囲には市場やレストランが立ち並び、
朝から晩まで賑やかな活気に満ちている。
下半分が頑丈な石材、
上半分が温かみのある木材で作られたこの宿屋は
バランスの取れた普通の宿という印象だ。
屋根は急な勾配を持つ瓦屋根で、
深い赤茶色の瓦が一面に敷き詰められていた。
入り口の両脇には石でできた柱があり、
その上に木製の看板が掲げられている。
看板には、『旅人の灯火亭』と
達筆な文字で彫られており、
金箔が施されておしゃれな感じである。
市場にも近くて人通りも多い
この宿屋に泊まれば安全で快適な夜を過ごせそうだ。
「宿のグレードとしては普通っすかね」
「市場やレストランがすぐ近くで
買い物や食事にも困らないし
人通りが多いから安心して過ごせるだろ」
「後輩ちゃん
もうここでいいんじゃないかな」
私たちは宿の中へと進んでいく。
宿屋の扉を開けると、
まず目に飛び込むのは広々としたロビーだ。
温かみのある木材を基調とした内装は、
外観と同じく親しみやすく、
落ち着いた雰囲気を醸し出している。
受付カウンターはロビーの奥に位置し、
深い色合いの木で作られており。
キャンドル型のランプが受付全体を優しく照らしていた。
カウンターの後ろには宿帳が整然と並べられており、
一人の若い女性が手際よく管理を行っているようだ。
その様子を見守るように、
年配の女性が傍らに立っている。
どうやらこの宿の女将とその娘らしい。
「いらっしゃいませ
旅人の灯火亭にようこそ」
二人が揃って柔らかな声で挨拶をしてくれた。
「すごいオシャレな宿っすね」
「私共の宿は初めてですか?
この都市でも
五本の指に入るほど人気の宿ですよ」
女将が微笑みながら案内を続ける。
その言葉を聞いた私は
「どこの宿でも似たような
セールストークをするんだろうな」とぼんやり考えていた。
だが、ロビーに目を向けると、
その言葉が嘘ではないことを示すかのように、
宿泊客と思われる人々があちこちに見受けられた。
皆が談笑しながら過ごしている様子に、
確かにこの宿が多くの人に愛されているのだと
実感させられる。
「一人一泊5000Gですので
二人で10000Gですね
ご飯の用意は別料金になります。」
「よかったら部屋を見てもいいっすか!?」
「はい!!
どうぞご覧になってください」
そうして私たちは部屋を見せてもらったが、
結局、宿泊を決めることは保留のまま外へ出た。
宿主たちは親切で人柄も良さそうだし、
宿も問題ないように思えた。
しかし、たった一つ、決定的な問題があったのだ。
私はその場に崩れ落ちた。
両手を空に突き出しながら、
人通りの多い道の真ん中で心の叫びを上げた。
「なんで部屋の中に
お風呂とトイレがないんすかぁぁ!!」
そう、文字通りの意味である。
この宿の部屋にはベッドしか置いていなかった。
いわゆる「寝るだけの部屋」だ。
さらに言えば、トイレは共同、
お風呂に至っては数百メートル離れた
公衆浴場を紹介された。
宿の女将は「部屋が残り少ないので早めにご予約を」
と親切に勧めてくれたが、
私にはどうしても受け入れがたい現実だった。
「私も気になってたんだよね
ゲームとかでも部屋には
ベッドしか置いてないもんね」
先輩が呑気に笑いながら言う。
ちなみに貴族や王族が止まるような
最上級の宿にしか部屋の中にお風呂がないらしい。
一般家庭では、
水に濡らしたタオルで
体を拭くのが日常の習慣とされている。
この世界では誰でも簡単な初歩魔法を扱えるため、
魔術で体を綺麗にすることもよく行われている。
たとえば、手のひらに微弱な浄化魔法を発生させ、
汚れや汗を浮き上がらせて拭き取ることで、
ある程度の清潔さは保てるという。
宿泊客は自分の持ち物や
宿で提供されるタオルを使って、
最低限の衛生状態を維持するらしいのだ。
どうしてもお風呂に入りたければ、
公衆浴場まで足を運ばなければならない。
しかし、その公衆浴場も
街の中心部や特定の場所に限られており、
宿からは数百メートル以上離れていることも珍しくなかった。
「嫌っす!!
シャワーがないと生きていけないっす!!
宿に泊まりたくないっす!!」
私は耐えきれず、
その場で大声を上げながら泣き崩れた。
涙と鼻水が滝のように流れ出し、
私の顔はまるで洪水の後の泥沼状態。
スケルトンに殺されかけた時も、
モンスターに食べられた時でさえ泣かなかった私が、
今ここで膝から崩れ落ちたのはただ一つの理由。
異世界の宿の個室には、
シャワーも浴槽も
トイレすらないという残酷な現実だ。
知らないうちに、
涙をボロボロと流しながら絶叫する私に、
周囲の視線が集まっていた。
子供たちは「何あれ!?」と指を差し、
大人たちは「どこのお嬢様が騒いでいるんだ」
といった様子でこちらを見ていた。
「ニャンタさん!
コテージ出してっす!
あそこが私たちの宿っすよ!!」
「わかったから泣くのを止めろ
夜には場所を探して配置してやる!」
「ありがとうっす
まじで感謝っす!!」
先輩が笑顔で私の肩を叩く。
「よかったね後輩ちゃん」
「大げさな奴だな
俺なんか
半年も風呂に入ってないぞ」
そうだ。よく考えてみれば、
わざわざお金を払って
宿に泊まる必要など最初からなかったのだ。
ニャンタが持つコテージがあれば、
シャワーのある生活を送ることができる。
私はようやく笑顔を取り戻した。
だが、その瞬間――。
「さて、
宿の心配はなくなったから
悪霊退治の準備を始めるぞ!」
ニャンタの声に現実へと引き戻される。
ホッとしたのも束の間、
悪霊退治に必要な道具をそろえるための
ショッピングタイムが始まろうとしていた。
「一体何買えば
人に憑りついた悪霊を
除霊できるんすかね!?」
「にんにくは必要だよね」
「多分それに効くのは
ドラキュラっすよ!?」
空を見上げれば、
太陽はまだ高い位置にあるものの、
傾き始めた光が建物の壁や路地に長い影を落としている。
昼間の鋭さを失った光は、
まるで夕暮れが近づく合図のように、
柔らかな金色へと変わりつつあった。
「ここが市場みたいっす」
「おっきなテントがたくさんあって
露店がすごい量並んでるよ」
「早くしないと
店じまいするかもしれねぇぞ
さっさと買い物しにいくぞ」
市場は都市の中央広場の右側に位置し、
広大な空間を覆うようにテントや露店が並んでいた。
大小さまざまなテントが色とりどりの布で飾られ、
それらが風に揺れるたび、
まるで虹色の波が打ち寄せているかのようだ。
木製の露店が並ぶ通りには、
香辛料やパンの香りが漂い、
遠くからは吟遊詩人の楽器の音色が聞こえる。
人々の笑い声や叫び声が混ざり合い、
活気に満ちた空間だ。
露店には山積みの野菜や果物、
きらめく宝石やアクセサリー、
そして不気味な魔道具や薬品を扱う品々が並んでいた。
多種多様な商品が揃い、
歩くだけで目を奪われる。
広場の中央にある噴水は、
まだ工事中なのか水が出ていない。
それでも周囲に並べられたベンチには、
休息を取る人々が座り、
手にした飲み物や食べ物を楽しんでいる。
「ここが市場みたいっすね。」
「ねぇ後輩ちゃん
二手に分かれて広場をぐるっと回ろうよ!
そのほうが効率いいよ!!」
「確かにそのほうがいいかもっすね。」
「ほら、小遣いをやろう
一人50万Gでいいか?
これで必要なもんを買っとけ」
ニャンタは、私たちのマジックバッグに
無造作にお金の束を押し込んだ。
どう見ても大金だ。
生活必需品を揃えるだけなら十分すぎるが、
使い方を誤れば一瞬で底をつく危険もある。
私は何を買おうか思案していたが、
すでに先輩は露店に向かって勢いよく走り出していた。
「じゃあ、お互い半周したら、
広場の噴水で合流ね!」
それを聞いて、
私は急いで声を張り上げた。
「先輩!!
ぼったくられないように
気を付けるんすよ!!」
私の声が先輩に届いたかどうかはわからない。
しかし、先輩は背中を見せながら
なぜか左手を掲げ、
人差し指だけをピンと立てるポーズを決めていた。
「なんすか
そのポーズ!?」
そうツッコミを入れた頃には、
露店の買い物客の間に消えていた。
「クルミが心配だから
念のためついていく
炊飯器も気をつけろ」
「わかったっす」
私もマジックバッグをぎゅっと握りしめ、
賑やかな露店街へと足を踏み出した。
頼もしいボディガード、
プルルもついている。
何があっても大丈夫なはずだ。
今晩の献立を考えつつ、
この世界の物価を知るためにも、
ゆっくりと品物を見て回ることにした。
「プルルも欲しいもの
みかけたら教えてっす」
私の肩に張り付いている
プルルが弾むように返事をした。
「プッ(わかった)」
市場には怪しげな魔道具らしき
品々が所狭しと並べられている。
どれも魔法的な効果を持っていそうだが、
私にはただのアクセサリーにしか見えなかった。
冒険者たちは腕輪や指輪を熱心に選び、
「これで冒険が楽になる!」と絶賛していた。
だが、私にはそれが本当に必要なものなのか、
いまいち理解できなかった。
ダンジョン産の武具も見かけたが、
特に惹かれるものはなし。
プルルが無反応なのを見るに、
ここに掘り出し物はないのだろう。
「いろんなものを売ってるっすね」
視線の先には、
野菜や果物を並べた露店がいくつも目に入る。
木製のカウンターには収穫物が山積みされ、
手作り感のある装飾が目を引く。
どうやら家で採れた品々を持ち寄り、
売りに出しているらしい。
なかには品揃え豊富な店もあったが、
その分価格は三倍近く高い。
遠方の村から運ばれてきた品なのかもしれない。
「うーん、
なんだか果物が食べたくなってきたっす!」
どこの露店もカウンターの背後には、
支柱と帆布で作られた大きな屋根が広がり、
日差しや小雨から商品を守っているようだ。
その下には大きなカゴや木箱が積まれており、
野菜や果物がぎっしり詰められている。
商品を引き立てるため、
カゴの中には柔らかな布や藁が敷かれており、
野菜や果物が傷つかないよう工夫されているようだ。
しばらく歩くと、
赤くて丸い果物が目に飛び込んできた。
「あれはもしかして
リンゴっすか!?」
露店の側面には黒板が立てかけられており、
『ピグゴリの地元産!新鮮な夏リンゴ特価!』
と力強く書かれている。
「露店めんどくせーな
でも売り切らないと
かーちゃんがうるせぇんだよな」
思わず聞こえてしまった店員の愚痴に、
接客態度の悪さを感じたが、
それでも私は甘くておいしいリンゴへの誘惑に勝てなかった。
「すみませんっす!!」
「らっしゃい!
このリンゴは新鮮じゃないけど安いよぉ!!
買ってきな!!」
衝撃的なセールストークに、
私は思わず言葉を失う。
他の店では「新鮮さ」をアピールして
値段を吊り上げている中、
彼は逆に「新鮮じゃない」と堂々と言い切ったのだ。
でも、どこで買っても
この時間帯の鮮度は似たり寄ったりだろう。
結局、味さえよければそれでいい。
「リンゴを4個ほしいっす!」
なぜ4個かって?
先輩とニャンタの分も買おうと思ったからだ。
私はなんて優しんのだろう。
「全部で2400Gだ」
バッグからお金を取り出そうとした瞬間、
札束を多めに手に取ってしまった。
お札の数字と絵柄をしつこく確認し、
念入りに2回めくってチェックしたうえで差し出した。
「まいどあり!!」
お釣りを受け取ると、
私は早速リンゴを食べてみることにした。
「甘酸っぱくて
美味しいっす!!」
「村だった時からの
特産物だからな
味だけは保証するぜ」
「リンゴもっと買うっす!!」
私は興奮気味に財布を取り出し、
さらにリンゴを山盛り購入した。
そんな私を遠巻きに見つめる男が、
不敵な笑みを浮かべていた。
「あいつ宿の前で大泣きしてた
金髪じゃねぇか」
私は購入したリンゴを、
バッグのなかに詰め込み終えると、
さっき食べていたリンゴを齧る。
リンゴの甘い香りに満足しつつ、
次のひとかじりを楽しんだ。
「あいつマジックバッグも持ってんのか!?
やっぱり世間知らずの金持ちの
嬢ちゃんだったか」
男はぐっと息を呑み、
袖の中から素早くナイフを取り出した。
ひも状のロープを切ってバッグを奪う算段だ。
「こいつはいいカモだぜ……」
バッグの紐に狙いを定め、
ロープを切断するタイミングを見計い、
全速力で突進。
私はリンゴをかじるのに夢中で、
そんな動きには気づきもしなかった。
「おい後ろ見ろ!!
危ないぞ!!」
「プラァ!!」
リンゴの店員の声が響いた瞬間、
男は勢いよく私に体当たりをかまし、
そのまま逃げて行った。
「なんなんすか!?
いきなりぶつかってきたっす」
「ここらじゃ
ひったくりも珍しくないんだよ
何か取られたんじゃないのか?」
慌てて荷物を確認するも、
何ひとつ取られた形跡はない。
「何も無くなってないっす!!」
「あいつ絶対スリだぞ!!
気をつけろよな」
だが、地面には無残に引き裂かれた
男物のシャツとズボンが散乱していた。
「なんで服が地面に転がってるんすかね?」
「プッププー(なんでだろうね!!)」
男は焦りを隠しながら、
スキル「ディスガイズ」を発動させる。
顔がみるみる変化していく。
彼には変装の才能があった。
幼いころからその力を使って、
スリや万引きで生計を立ててきたのだ。
しかし、今日ばかりは運が悪かった。
変装術に長けた彼は、
その力でこれまで盗みを繰り返してきた。
今日もいつも通りやれるはずだった。
「くそっ!
あいつにぶつかろうとした瞬間
急に何かに殴られた……!」
そこには、明らかに動揺した人々が、
目を丸くして俺の事を凝視していた。
「きゃぁぁ!!変態よ!!」
叫び声とともに、指を突き付けられる。
「な、何言ってんだ!?」
反論しようとした彼は、
自分の姿に気づいて息を飲んだ。
着ているのはパンツ一枚だけ。
「な、なんで服がねぇんだ!?」
足元に残った靴が滑稽さを際立たせる。
「この変態野郎が!!」
動揺する彼を見て、
冒険者風の男たちが素早く取り囲み、
腕をねじり上げた。
「や、やめろ!俺は違う!」
そう呟いたときには、
すでに縄でがんじがらめにされていた。
その後、彼のひったくりの余罪まで暴かれ、
男は哀れな末路を辿るのだった。
そのころ後輩ちゃんは
露店を巡っているうちに、
気づけば半周してしまっていた。
どうやら都市の中心部に
足を踏み入れてしまったらしい。
目の前には巨大な木製の建造物がそびえ立っている。
出入りする人々の姿から、
冒険者ギルドのような雰囲気を漂わせていた。
「でっかい建物っすね」
そのすぐそばでは、
悪霊退治に必要とされる聖水や護符が
山積みになった露店がひしめいていた。
大声で客を呼び込む職員たちが、
通りをさらに騒がしくしていが、
まったく売れてなさそうだ。
私はひと息つくため、
近くのベンチに腰を下ろし、
先輩の到着を待つことにした。
無敵先輩 ~冒険に巻き込まれる最弱な私、今日も絶体絶命っす!~ ネルルンセブン@7時間は眠りたい @nerurunn7
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