第16話 スケルトン軍団の襲来!先輩とコテージ防衛戦 part4

ライラとエリスを叩き起こし、コテージの外で作戦会議が始まった。

暁の幻影団のカイン、レオ、リア、エリス、ライラ、

そしてミラクル先輩と後輩ちゃんだった。


夜の闇につつまれ、

周囲には冷たい風が吹き抜けている、

目の前には、白い骨の軍団が静かに佇んでいた。


「スケルトンどもが襲ってこないな?」

 指揮官とか、

 誰かを待ってるんじゃねぇか?」


「じゃあ指揮官がやってくる前に

 叩いたほうがよくないかしら?

 こいつらのボスなんて厄介に決まってるじゃない」


「あえて恐怖を煽っているのかもしれないわね

 心理戦ってやつよ」


「今のうちに逃げるってはどうっすか?

 無理に戦わなくてもいい気がするっす」


「あいつらのスタミナは無限だし、

 夜にこの森を動くのは自殺行為だ

 ナイトヴェールで逃げるのもオススメできない」


よく見るとカタカタと笑っているように見える。

スケルトンがナメプして襲ってこない間に

何とか作戦を考えなければならないっすね。


「あの見たことない人がいるんっすけど

 銀髪のお姉さんが

 死んだと思われてたリアさんなんすか?」


「ああ、俺たちの仲間だ。

 オリハルコンの箱も彼女が持ってたらしい」

 あとは持ち帰るだけだな」


「リアっていいます!よろしくね!

 みんなも無事で本当に良かったわ」


私たちは、暁の幻影団がエルムンケンの森に来た目的は、

前回の大規模調査で行方不明になった

オリハルコンの箱を探すことだと聞いていた。


私はこの森を早く抜け出し、

人間が住む安全な都市や町に行きたいと強く思っていた。

もし森から脱出するなら、一緒に連れて行ってほしいっすよね、


「そういえば、なんでスケルトンは

 コテージにやって来たんっすかね?」


「ごめんなさい、私を追ってきたんだと思うわ

 でもあいつら、何もしてないのに

 しつこく追跡してくるのよ!」


この人が呼び寄せたんかい!と心の中で強く叫んだ。

それを口に出したところで、事態は解決しないからだ。

私はその思いをぐっと飲み込みだ。


「俺たちが全力でなんとかする。

 だから心配しなくていいよ」


私はカインの言葉を聞き、「あたりまえっす」と思った。

スケルトンを連れてきたのは彼らの責任だから、

全力で対処するのは当然の義務っすよ!


「今聞くべき事じゃないが、ヴァルガルムはどうなったんだ?

 お前が尻尾や頭突きを食らっても

 平気だったのを見たんだが、俺の気のせいか?」


レオが頭を押さえながら尋ねる。

彼は先輩に殴られて地面に叩きつけられ頭を強く打ち、

記憶が曖昧になっていた。


「あのヒュドラなら、

 モモナップルをあげたら、帰っていったよ」

「そうか、普通あんな攻撃食らって平気なわけないもんな

 お前らが無事でよかったぜ」


「レオ、一撃で倒されたとしても気にするなよ?

 元騎士団として接近戦に自信があるとはいえ、

 お前だってヴァルガルムの攻撃は耐えられないだろ」


彼はヴァルガルムに倒されたと勘違いしてるみたいっすけど、

実際には先輩のワンパンで倒れたんすよね、

私は、その事実を彼のプライドのために伏せておくことにした。


「それよりもスケルトンの集団を

 どうするか考えようぜ」


「ねぇ後輩ちゃん!

 スケルトンたった30体しかいないよ

 なんとかなるんじゃないかな?」


「先輩、30体もいるの間違いっす!

 それに見てくださいっす

 持ってる武器や骨の色も微妙に違うっすよ」


「金属の骨格を持つ

 スティール・ウォーカーがいるけど

 私の炎の魔法があれば倒せるわね」


「おい!なんか一体増えてるぞ、

 黄金の鎧を着たスケルトンが後方に現れた

 リアは奴らの数を正確に把握してくれ」


「ただのスケルトンっぽい白い骨(20体)

 内訳は弓持ち(10体)接近武器(10体)


 ボーン・メイジ(3体)

 スティール・ウォーカー(4体)

 黄金の鎧(1体) 

 計28体かしらね」


「あれ?先輩が数を間違えたんすか?」


「おかしいな、もう一度数えてみるね!

 キレイに整列してくれてるから

 間違えるはずないんだけどな」


先輩は指を折りながらもう一度数を確認している。

リアさんが提示した数字と数えた数字が一致しないことに気付き、

少し混乱しているようだった。


「ライラさんの鑑定で強さ見れないんっすか?」


「鑑定のスクロールは一個20万G(ガル)するの

 残りのストックは3つしかないわ」


異世界の通貨はG(ガル)って呼ぶんっすね。

日本円にするとどのくらいになるんだろう?

そんな疑問が浮かび、こっそりとニャンタさんに聞いてみた。


「ニャンタさん20万Gを

 日本円に換算するとどのくらいっすか?」


「日本円に換算するとぴったり20万円だな。

 簡単な計算で分かりやすいだろ」


異世界の通貨って

ややこしいイメージがあるっすけど、

単純に1ガルが1円なんすね。


これなら、買い物するときも迷うことなく値段を把握できるし、

金額を間違える心配もないっす。

異世界の市場で買い物するときも、安心してお金を使えるっすね。


「ねぇみんな、やっぱり30体いたよ

 変な弓持ってるのが2体いるもん」


「弓持ってるスケルトンが

 増えたくらい問題ないぜ

 俺たちにまかせとけ」


「生き残るためだ、

 やつに使おう。ライラ、頼む。」


カインが指示を出すと、

彼女はバッグから鑑定のスクロールを取り出し、

黄金の鎧を着たスケルトンを見据えながら唱えた


「鑑定」


スクロールが光を放ち、

相手の詳細なステータスが用紙に浮かび上がる。

「こいつは……」ライラが息を呑む。


モンスター: エンチャンデッド・ボーンジェネラル


レベル: 90/99

HP: 25,000

MP: 15,000

攻撃力: 3,000

防御力: 2,500

魔力: 2,800


状態異常耐性

毒: 無効

睡眠: 無効

麻痺: 無効

即死: 無効

呪い: 無効


属性耐性

火: 弱点 (40% 増加)

水: 30% 耐性

風: 50% 耐性

土: 60% 耐性

氷: 70% 耐性

光: 弱点 (40% 増加)

闇: 無効


スキル ネクロブラスト

    スケルトンリザレクション

    ダークコマンド

    ブラッドサクリファイス


「鑑定結果によれば、黄金の鎧を着たスケルトンは

『エンチャンデッド・ボーンジェネラル』です。

 戦闘力の数値を見る限り、我々でも倒せそうです」


「ネームドモンスターかよ

 ただのボーンジェネラルじゃねぇぞ」


「俺もあんなスケルトンみたことない

 これは一筋縄ではいかなそうだな」


「でも、鑑定の結果は鵜呑みにはできないわ

 表示されてる数値は、あのスケルトンの能力だけよ!

 あの黄金の鎧や光る剣は厄介そうよ?」


私たちも鑑定結果を見せてもらったが、

ヒュドラのレベル365の数値を見た後では

あのボーンジェネラルがひどく弱いモンスターに見えた。


何しろ、ヒュドラのHPの12分の1しかなく、

攻撃力も防御力も半分以下だ。


スキルにはサクリファイスがあるっすけど、

暁の幻影団が確認して対処可能と言っているので、

倒せない相手ではないんだろうけど、やっぱり不安が残る。


先輩ならワンパンで倒せるんじゃ?一瞬そう思ったすけど、

やっぱり戦闘のプロである冒険者たちに任せるほうが安全っす。

素人の私より、専門家の判断を信じるべきっすよね


「あの、ニャンタさん、

 暁の幻影団の人たちだけで対処できそうっすか?」


「黄金の鎧を着ている奴は一見強そうだが、

 あいつら全員で囲めば、倒せないことはないだろう。

 勝率7割ってところだな。」


私はその言葉を聞いて少しホッとした。

7割の勝率なら何とかなるかもしれないと

希望を感じたからだ。


「だが、真に厄介なのはクルミが言ってた弓持ちの2体だ。

 あいつら倒さないと速攻で全滅するだろうな」


「えっどういうことっすか?」

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