第6話 猫キャラ疑似配信①
「いらっしゃーい。バイトお疲れ様」
「えー、今日はお酒は飲まないから安心してよ」
「この前は飲みすぎちゃってごめんね。あたしもあんまり記憶なくて。あはは……」
「ほ、本当に記憶ないって。前に話した通りです」
「とにかく! 今日はお試しに配信してみるから手伝ってね」
(部屋の中でバタバタと物と人が動く音)
「うーんこんな感じかな。配信しやすいようにマイクやディスプレイの位置変えてみたけど」
「一回やってみようか」
「隣の部屋に行ってパソコン開いてまっててね。あ、あと部屋の中あまりいじらないでね。いじったら許さないから」
(足音の後に部屋の扉が開閉する音)
「やっほー! 聞こえる?」
「あれ? かすかにあたしの声が聞こえる気がする。もっと奥に行ってみて」
「おーい。あー! あー! 聞こえますかー聞こえますかー」
「よし、あたしの声聞こえなくなった」
「えへへ、まだ簡単な動画通話みたいな感じだけど、なんか新鮮でいいね。たまに動画で話する時はスマホの小さい画面だし。ちょっと大きめな画面とスピーカで聞くとまた違った感じがすするんだね」
「ちょっとキャラクターに変えてみよう。あたしの顔をしばらく見れないからって泣かないでね」
「変わった?」
「にゃー! 猫キャラにしてみましたにゃ。かわいいでしょ。友達が勉強だからってタダで作ってくれたんだよ。なのにこの出来はすごいよね」
「にゃにゃにゃにゃにゃー。天下統一なのにゃー」
「侍猫なの。すべてのマタタビを狩りつくして、あたしが天下をとるのにゃ。そのためにいっぱいいろんなことを教えて欲しいのにゃ」
「そうにゃ! ためしに色々質問をしてみるのにゃ。あたしが何でも答えるにゃ」
「お、早速きたのにゃ。なになに……」
「明日の講義はちゃんと出席しますか? とにゃ」
「に“ヤ! 当然にゃ。この前は寝坊してしまっただけなのにゃ。君が早めに連絡をくれないのがいけないのにゃ。二年連続で単位を落としたらおしまいなのにゃ」
「プ、プライベートな話題はそこそこにして欲しいのにゃ! 次! はやく次の質問をよこすのにゃ」
「はい! また来たのにゃ。ありがとうなのにゃ」
「えー……『あめあさ』さんはリアルで何歳ですか?」
「うーん、実践的な質問どうもなのにゃ。1017歳なのにゃ! 大人な魅力なのにゃ~。はい、次の質問どうぞなのにゃ」
「なになに……『誤魔化さないでください』とにゃ! え、そ……そうにゃね……。内緒! 内緒なのなの! ご想像におまかせなのにゃ。いずわる禁止! 」あたしのリスナーさんはみんないい人でそんな質問はしないの」
「えっと次は……『酒癖悪いですね』にゃね……」
「キャラ作りで話してる時に、リアルで言われて落ち込むことを言うのは本当に反則なのにゃ!! やめるのにゃ!! 泣いてしまうのにゃ!」
「あー! 質問はおしまい! 君いじわるすぎ。でも実践的でよかったのかも。ありがとね。次はキャラの動きをみたいから運動ゲームの配信してみるよ。準備するからちょっとお待ちをするにゃーん」
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