ガム

ある会社がガムを発売した。

噛んでいる間、空が飛べるようになるという代物だ。

発売した途端このガムは爆発的に売り上げを伸ばし、批判が殺到した。



飛べなかったのだ。



だが売り上げは下がらなかった。

何よりも美味しかったからだ。


その後、その会社はまたガムを発売した。

噛んでいる間、人の心が読めるようになるという代物だ。

発売した途端、売り上げは一時的だが前回を超えた。

今度こそは心が読めると考えた人や、味に期待した人が購入したからだ。



がそのガムはどちらの期待も裏切った。



心が読めるわけでもなく、味も最悪だったため、すぐに販売中止となった。


その後、その会社はまたガムを発売した。

噛んでいる間、早く走れるようになるという代物だ。

売り上げは過去最低を記録し、購入した人はほんのわずかだった。





その日、車よりも早く走る会社員がSNSで話題となった。

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