百面相

どこにでも現れるそいつは、これまで何人も手にかけてきた。


目撃者の話を聞いても全く顔の特徴が異なる。

ある男性俳優に似ているという証言もあれば、あるお笑い芸人に似ているという証言もある。


容疑者の顔すらわからず、完全にお手上げ状態だ。


そんな中、また被害者が出た。

目撃証言の数が100を超えたが、全員が異なる証言をしていた。

メディアにも大きく取り上げられ、


百面相の再来


と大きく話題を呼び、警察は指名手配を行った。

これまでの証言で似ているとされた芸能人を参考に100の似顔絵を発行し、日本全国に拡散した。


そんなある日、青年が出頭してきた。

もう逃げきれないと悟ったらしい。

その青年は自分が百面相だと言った。


だがどの似顔絵にも似ておらず、その青年はイタズラとして処理された。







今も被害者は増え続けている。

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