闘茶会

闘茶会。

5種類の茶を飲み比べ、それぞれがどの種類かを当てる、平安の遊戯。


私にもついに出番がやってきた。

日が昇っては葉を挽き、茶を立て、香りと味を愉しむ。

そんな趣味のある私に。


舞台には茶葉の作り手たちがいる。

つまり、ただ当てるだけでなく、違いを明確に述べねばならない。


手の震えを抑えて1つ目の茶を口にする。


味が濃い。


すぐに答えと味、香りの特徴を述べる。

まずは正解をひとつ取ったが、問題はここからだ。


先ほどの茶がまだ余韻を残している。


2つ目の茶は、さらに濃かった。

命拾いをし、3つ目、4つ目と濃くなる茶を当てる。


5つ目を口にする。


極端に薄い。


しかしほのかに香る茶葉に確信を持ち答えた。

すると主催者は言い放つ。




それは水だ。と。

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