願いを叶える

「願いをひとつ叶えてやろう。」


半透明の大男はそう言って現れた。

ある民芸品屋で買った壺から現れた。


「なんでも叶えてくれるのか?」

「ああ。ただし、叶えるのが難しい願いほど、長く時間がかかる。」


「大金持ちになりたい」

「10日だ」

長いと思った男は別の願いを言う。

「大きな家」

「10日だ」

「良い車」

「10日だ」


その後どんな願いを伝えても、変わらず10日かかると言う。

その理由を尋ねると、大男は答えた。


「人はみな可能性を持っている。その可能性は10日で発芽する。」


それを聞いた男は願いを伝えた。

「俺に10日くれ。」


大男は言う。

「今までのご主人様の中で、最も賢い選択をしたよ。」





それから世界は10日間、時を止めた。

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