二人の貧乏人

ある王国に莫大な財産と権力を持つ若き王がいた。

全ての遊びに飽きた彼は、国内で1番目と2番目に貧しい者を呼んだ。

「これから毎日、銅貨を5枚渡す。1ヶ月で大きな幸せを掴んでみよ。」


1ヶ月後

1人は娘を連れ、もう1人はたくさんの野菜を持って王の前に現れた。

王はどんな幸せを掴んだのか、2人に尋ねた。


1人は毎日の夜ご飯を大盛りにして、娘と分け合って食べたこと、

もう1人は野菜の種を譲り受け、国中に植えてまわったことを話した。

しかし、王は「それの何が幸せなのだ?」と尋ねた。


すると2人は声を合わせてこう言った。

「10年後にわかりましょう」


10年後

娘はこの世で一番好きなことは、父とお腹いっぱい食べることだと言い、

もう1人は野菜を分け与えることが幸せだと言った。

続けて彼らは王のもとで働くことを願った。

2人を気に入った王だったが、「2人を雇って何の得がある」と言い放った。


すると2人は声を合わせてこう言った。

「20年後にわかりましょう」


20年後

国に貧しい者は1人もいなくなった。

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