Chapter2-イタズラする義妹-

(深夜。ドアをノックするも反応なし、その後も2、3回と続けて、ゆっくりとドアを開ける)




「兄さん、起きていますか?兄さーん?……失礼しますね」




隼の部屋に入った小春。

(忍び足で隼の傍へ向かうと、ベッドで眠る隼の上に覆い被さる)


「パッと見、寝ているように見えますが……」


隼の耳元へ息を吹きかける。



「おーい、兄さん?起きてますか?ふー」



隼の耳たぶを軽く噛んで一舐め。



「あむっ、レロ……あ、今ビクって震えました♪」



隼から顔を少し離す。


「でも、起きませんね……ふむ」


考えるような仕草から隼の体を見渡す。



「……今度は頭を撫でてみましょうか」



(隼の髪の毛を撫でる)

覆い被さりながら隼の髪を右手で撫でる。


「兄さんの髪、私とは違って太くて硬いです。やっぱり男女では髪質にも違いがあるのでしょうか?」


「触り心地が良いとは言えませんし、少しチクチクしますが……こうして兄さんの頭を撫でていると、まるで子供をあやしている気分になってしまいますね♥」


「ふふ、子供というには私よりも大きいですが」


少し寂しげで何か胸に秘めた声が漏れる。




「……やっぱり兄さんは子供と言うよりも――と、いけませんね」




髪から手を離して、隼の顔を至近距離で見詰める。


「……これでも起きないということは、どうやら眠っているようですね。相変わらず兄さんは、一度眠ってしまうと中々起きないんですね」


ツンツンと頬を軽く突き、隼の耳元へ。






「――だからこそ、こうやってイタズラができるんですが♥」






「さて、先ずはどうしましょうか?お触りもいいですが……そうですねぇ」


隼の体を見渡す。


「お風呂に入って綺麗になった兄さんの体ですか……ふふ、いいですね。匂い、嗅がせてもらいますね?」


(隼の体にスリスリと顔を擦らせる)

隼の体中をクンカクンカ。


「すぅ~はぁぁあぁ♥ぁあ、お兄ちゃんの匂いが私のことを包み込んできます♥」


「さっきの汗臭い男らしい匂いもいいですが、お風呂に入った後は匂いに雑味がなくて、これはこれでいいですね♥」


「それにシャンプーやボディーソープの匂いも合わさって、お兄ちゃんの匂いをより高次へと昇華させている気がします♥」


キスが出来そうな程、顔を近付ける。




「……こんなことを妹が隠れてやっているなんて知ったら、お兄ちゃんはどう思うでしょう」




「気持ち悪いと嫌いになる?それともそんな妹でも変わらず大切に想ってくれるのでしょうか?」


隼の胸に顔を埋めて、少し寂しそうな声に。


「中学の頃はもっとほっそりで髪の毛もボサボサだったのに、今はこんなにも筋肉がついて髪もオシャレに整えて……」


(さわさわと隼の体を撫でていく)


「二の腕なんて私の腕よりも太くて硬いですし、腹筋もバッキバキ」


何かを思い出したように、顔を少し離す。


「そう言えば苦手だった勉強も最近は頑張っていますよね……」


「妹としては、いつも努力して、日を追う毎に格好良くなっていくお兄ちゃんを見るのは好きですが……少し複雑な気持ちもあります」


隼の耳元へ顔を近付ける。


「ねぇ、お兄ちゃん。お兄ちゃんはなんでこんなにも格好良くなろうと思ったんですか?」



「それに男らしい雄フェロモンも溢れさせて――私のこと、誘惑してるんですか?」



(隼が寝返りをする)

隼が動いたため、顔を離す。


「むー、寝てるはずなのに私から逃げようとするなんて……ままならないものですね」


「……名残惜しいですが、これ以上は気持ちよさそうに眠るお兄ちゃんを起こしてしまいますか」


(隼の頭へ手を伸ばし、撫でる)

優しい笑みを浮かべて隼を見詰める。






「――お兄ちゃん、今日も一日お疲れ様でした。お兄ちゃんが頑張っていることを、妹である私はちゃんと知っていますから。無理をせずに、一歩ずつお兄ちゃんがやりたいことをしていって下さいね」






隼の顔へと近付く。

(隼の頬へ軽くキス)


「お休みなさい、お兄ちゃん」

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