熱血創作者とは何か? なるにはどうするのか?

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 創作者と言う言葉がある。コトバンクなんかでは著作の創作にまつわる責任を有する者を指す言葉として紹介されているわけだが、著作や責任というと法的な意味である感じがするしそもそも創作という言葉自体あやふやなものだと思っている。

 新しいものなんて存在しない。芸術の発展は美学と言うものが語るように模倣と模造の連綿であり、科学技術などは自然界を理解することとその自然界を模倣して利用することに過ぎない。そして我々の言葉も先人の模倣だ。感性を表す言葉も人に伝わる時点で誰かや何かの模倣である。そしてあらゆる生命も遺伝子による模倣、自然界も結晶化や粒子素粒子による模倣、全ては模倣だ。オリジナルなどはこの世に存在しない。

 

 では、創作とは一体何なのか。それは生きる事だ。

 生きている限り人間は創作をしている。聖書よろしく、はっきりと言おう。日常会話も、落書きも、表情も、動きも、全ては創作である。そんな訳ない、もしくはそんなくだらないものを含めて【わかっている風】を装っているのだろうと邪推する気持ちは分かる。だが、これは紛れもない事実だ。

 例えば、噺家と言う人々がいる。紛れもない芸能の創作者だ。それは誰もが認めるところだろう。彼らは古典落語の場合ある程度決まった型があるが、それも身振り手振りや話し方、テンポ、演じ方、そして何より枕で現代の観客に落語を違和感なく伝達している。確かにそれ等は技術だ、だが技術の根底には日常会話が存在する。技術があるからこそ創作に昇華しているのだというが、それでは口が上手い噺家ではない人間は創作者になれないのだろうか? 体系化されていない野生の弁舌家、ひな壇で輝くタレント、雑談を回すラジオスター、上手い冗談を言えるバーの常連、会話を続け酒を進ませるクラブの人々、彼らが紡ぎあげた『日常会話』や『トーク』や『雑談』とされるものは創作物だ。そして我々が語るどんなにくだらない会話も、事務的な会話も、全て創作物だ。

 事務的であれ、義務的であれ、儀礼的であれ、無意味であれ、全ての会話はその人間が言葉を選びとる行為。そしてそれは身振り手振りにも言えることだ。演技の根幹に身振り手振り表情がある事から、またダンスがその延長にある事からも創作と言える。

 

 人間の生きる中での営為すべてが創作物であるとして、では私が主張する『熱血創作者』と言うのは何なのか。熱血した者すべてだ。

 何かに情熱を燃やし、精力的に生きる者すべては、その行為の倫理的な善悪やら何やらに関わらず熱血創作者だ。生きている中で何かに打ち込む者は皆、熱血創作者なのだ。情熱に呪われた者たちだ。

 己の心が情熱によって駆動し、空転し続ける。とにかく爆発的に表れ続けるイメージやアイディアによるエネルギーが頭を支配して現実を惑わし、書けなければ、行えなければ、作り出せなければ、苦痛に苛まれる。情熱が喪失すればそれを取り戻そうと這いまわり、己の情熱に火を点けようとかつての記憶をなぞり始める。他者の情熱に触れれば、空転が激しく加速し、爆裂してゆく。情熱によって理論も、理性も、理知も、論理も、全て超越し『納得』する。

 これを読んでそんなことに少しでも共感した君は、きっと私たちの同胞だ。心に染み渡った情熱と言う、グラグラと熱く沸き立つ呪いに苛まれている事だろう。あるいはもうすぐ、苛まれる。

 そんな事関係なく生きている君は、努々忘れること勿れ、いずれ君も同胞となるのだ。生きているだけで君は創作者なのだから。後は呪いに苛まれるだけなのだから。

 あらゆる人は創作者となる。そしてやがて、それを自覚し、呪われるのだ。

 私はそんな呪を求め、取り戻すことを夢見ている。

 否。呪いは既に私の心を蝕み、離れられなくなっている。だから私は熱血創作者となることを、情熱を失った後も求めているのだ。

 熱血創作者になるには、情熱を燃やし続け、天井を破壊するのだ。創作を留める己の肉体や精神の天井を。そして情熱のエネルギーに突き動かされ、倒れ、動けないことや限界に対して、己の中の呪いたる情熱へ言い訳や理論を展開して納得させ休む。それが真の熱血創作者。永遠の熱血創作ができる創作者なのだ。

 熱血創作者になるには、情熱を燃やし続け、情熱を納得させ、情熱に突き動かされる。そんな矛盾を吹き飛ばす創作者となる必要があるのだ!

 まだまだ次回も続くぜッ! なぜならオレはまだ吹き飛ばせてないからだッ!


(コトバンク『創作者』リンク: https://kotobank.jp/word/%E5%89%B5%E4%BD%9C%E8%80%85-2237055#goog_rewarded)

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