レベル1で魔王を倒す!縛りプレイ中に異世界に飛ばされたようです

@keybord11003

第1話 異世界へ

 学校から帰り、部屋の電気をつけ、ゲームを起動する。いつもどおりの憂鬱から解放される瞬間が今日も訪れる。


 今やっているこのゲームは「レイデンボート」というゲームで、アクションRPGゲームの金字塔とも言われた神ゲーだ。ストーリーを好きなように進めていくこともできるし、他プレイヤーと協力して攻略したり、敵対したりすることもできる。


 ちなみに俺はこのゲームをとっくにやり尽くしていて、もうすることはないのだが、興味本位でしてみたいことが一つあった。


 1


 レベル1でこのゲームを一周したらきっと面白いだろう、丁度このゲームもマンネリしてきたところだ。俺はもう一度、このゲームをやり込むッ!


 そうとなれば最初のジョブは「持たざる者」で始めて、はじまりのむらで適当に装備買ってから、、、と。あ、一応被弾したときのために回復もたくさん買い込んどくか。


 すると万屋にこんなものが売ってあった。


VR


 俺はそれを見た瞬間、あらゆる可能性を考えた。このゲームは確か、公式ではVR対応していないはず。しかし、ある特定の条件、、、そう、持たざる者で始めるとかすれば、最初の万屋でVRゴーグルを購入できるッ!


 そしてこのゲームのグラフィックのよさと、VRゴーグルが加わることによって、まるでそこにいるかのような体験でゲームをすることができる、、、ふっ。


 そして無料!これは買うしかない!買いだ。


 俺はそのままVRゴーグルを買う、そして押し入れから昔買うだけ買って酔いが酷かったから使わなくなったVRゴーグルを取り出す。さあ、レイデンボート、お前の実力を見せてくれ!


 VRゴーグルをつけ、大きさやヘッドホンなどを調節すると、そこにはなんと、画面越しでしか見られなかった万屋の景色が広がっていた。それだけじゃない、皮膚の感触、建物の古びた木材、すべて現実リアルに見えた。


 「この世界にやってきたのか、、、!」


 俺はすぐさま武器を取り出し、万屋から回復薬だけを買うとすぐさま草原へ駆け出した。


 まるで本物のよう、草原の美しい緑、太陽の光、スライムの跳ねる音、ん?スライムの跳ねる音、、、?


 「ふぅ、、、」


 まあ、疲れはするが所詮スライム、あんな雑魚一瞬で片付くね。そして経験値は敵を倒しても得ない設定にしてある。あらかじめ準備がいいのだ、俺は。


 俺はスライムを片付け、そのまま草原で昼寝をすることにした。昼寝というか現実世界ならまあ就寝だが、というか晩飯食ってねえ、まあいいか。あんなクソ親が作った飯とか不味くて食えないからな。


 そもまま30分ほど寝たところだった、草原の端っこ、視界の端っこから誰かが現れる。金髪の、、、背が高いキャラクターだな。姿が見えるとすぐ走り寄ってきた。


 「お兄さん、もしかしてVR?もしかして初めて?」

 「ああ、初めてだが君は誰だ?敵対者か?それともガイドか?」


 ガイドはいい、VR初めてだが、説明があっては面白くない、それこそ不粋というものだ。


 「説明は結構、俺は俺のペースで旅するからな」

 「じゃなくて、シンプルにVRゴーグル一時間つけっぱなしは危ないんだよ、現実世界に戻れなくなる。本当だって!」


 ああ、VR世界は依存すると現実世界に戻れなくなる的な、大丈夫、俺はそんな心が弱い人間なんかじゃない、少しくらいやり過ぎても大丈夫だろう。


 「まあ、君のように戻れなくなる人間もたくさんいそうだけどな」

 「だから、、、」

 「もういいさ、折角のお昼寝を邪魔されて損した気分だよ。二度と話しかけないでくれ」


 俺は荷物(と言っても木の剣)を持つと、女に背を向けて歩き出す。


 「身体が蝕まれていくよ!その証拠に草むらにダイブしてみてよ!感か、、、」


 余計なことを聞いて時間を取られることはごめんだ。俺は俺のペースでゆっくりレベル1の旅をする、、、待ってろよ魔王。明日学校休みだし今日は徹夜になるかもな、ははっ。


 、、、今思えばあの時話をしっかりと聞いていればこんなことにならずに済んだかもしれない。


 「やめてくれ!右腕だけは!たった一本の残りの腕なんだ!」

 「貧弱剣士、持たざる者、の養分になるために生まれてきたようなものだろう?」


 こうなるとも知らずに。
















 




 

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