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二人は交差点を渡ると橋のたもとに着いた。橋の欄干にもたれ掛けて腕を組んでいた人物が二人を見つけ「おーい」と手を振った。
「待たせたか」とテオが返事をした人物は私服姿のツウだった。
「5分遅刻にゃ」
「5分だけ? ほぼピッタリじゃないか」
「にゃ。5分でも遅刻は遅刻にゃ。私の貴重な休暇をなんだと思っているにゃ」
「すまんすまん。また今度手伝うからさ」
「にゃー! お前さんここ数日でそれ3回目だぞ。一度でも借りを返してから言え」
「すまん、じゃあ今度食事に行こう、奢るよ」
「ふん、約束だぞ」
「ああ」
「で、そちらのご令嬢が……」
「ああ、例のコンダッシェ家の」
「リシリーです。先生、こちらの方は?」
「紹介するよ、憲兵隊所属のカッツォ中尉だ」
「あのウワサの!」驚いた表情でリシリーは言う。
「存じ上げて頂いてましたかにゃ。そう、私が朝刊は第一面の常連ことツウ・カッツォ、憲兵中尉にゃ」
「お会いできて光栄ですわ。中尉さん、もしかして先生の相棒さんって……?」
「そう、僕のあ「相棒!はにゃーテオも出世したもんにゃあね。リシリーさん、こいつは私の助手にゃ」
「助手さん……?」
「まあ」と急に疲れたような顔のテオのくちから言葉がこぼれた。「にゃ」と何かを言いかけたツウを制すと「とりあえず、ほら。行こう」と言い先頭を歩き出した。
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