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「お口にあいましたか?」
廊下を先導するリシリーは振り向くとテオにそう言った。
「ええもちろん! 毎週こちらで食事をとりたいくらいですよ」
テオがそう答えながら応接室がある方向へ廊下を移動する最中、玄関ホールを横切る。
「あ、そういえばリシリーさん」
「なんでしょう?」
「この写真の」と写真がかけられた壁の方向に歩みをかえる「ええっと…… この写真だ」
と、テオが指さしたのは3歳ほどと思しきリシリーがベビーベッドを覗く写真だった。
「この横顔の女の子はリシリーさん?」
「はい」
「となると、どちらかが弟さんかな?」
「はい、二人の内の右側の、半分目を開けている子が弟ですね」
「左の子は?」
「ええっとこの子は。ああ、先ほど日記にもありましたブティック・黒の長男くんです。同じ日に、同じ産院で生まれましたの」
「なるほど、じゃあ弟君の幼馴染だ」
「はい」ニコリと笑って返事をしたかと思えば急に顔が曇った。
「先生」
「はい?」
「私、先に応接室に戻りますね」
そう言ったリシリーは踵を返すとそそくさと応接室に入った。
数歩遅れてテオもあとを追った。
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