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「では、話を戻しまして”8月12日、国王陛下に大いなる勇気を頂いた。しかし、今年もまた参加者が減ったように思う。嘆かわしく思う反面、平和だからこそ参加者が減るのだと思うと安堵も覚えるのだ……” この一文についてもう少し掘り下げましょうか」
「はい、先ほども申し上げましたように父はナッキの出身ではありませんし……」
「他に親類でナッキ出身の方は?」
「いいえ」
「では、陛下から私信を頂いたとかはどうでしょうか」
「陛下からですか? もしそんな事が在ったとすれば家中が大騒ぎだったでしょうし…… 家族にも秘密にする内容だったとして、父はそういったものは捨てずに残す人ですが、遺品にそういったものは見当たらなかったかと」
「そうですか。では勇気を頂いたという文言は置いておきまして。参加者が減ったと書いてありますから、何かしらの会合に参加した? 」
「会合ですか?」
「ええ、今年もまた参加者が減ったように思うとありますから、毎年か、すくなくとも何年かに1回とか定期的に会合に参加していたはずです」
「……そうですね。父の遺品にこの年の同窓会のお知らせについての書簡がありましたが父は参加しなかったようですし、日付も春ごろだったように記憶しております」
「他に思いつくことはありませんか?」
リシリーは手を口元に当てて考えこむ。玄関近くの柱時計がボンボンと4時を告げた。
「では、なにか思いついたら教えてください」
「はい」
「この日の先王陛下の行動について」テオはそう言うとページを掴む「少し読んでおきますので」
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