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「はにゃー、王都郊外の私学校、それも女学校となれば…… あそこか、それともあそこか。まあ、どちらにしても名門だにゃ」
テオがツウのカップに紅茶を継ぎ足す。
「そうなのか。まあ、そのナントカって女学校ではあらかた単位をとり終えたとかでな。わざわざアカデミーまで足を運んでまで勉強しているらしい」
「わざわざアカデミーまでねぇ、学ぶなら他に行くところもあるだろうに」
「そうなんだけどな。ただ、なんか勇者様に興味があるとは言っていた」
「ふむ、であればアカデミーを選ぶのは正解…… かにゃ?」
「それは正解だ、そこに関して疑問をもつなよ」
「冗談にゃ。で、勉強熱心なの? その子は」
「ああ、頭の回転も早いし、なにより前向きだ、もっと他の講義も取りたいでーすって。ただ、それも…… 口だけの気がするがな」
「口だけ? どういう事にゃ?」
「僕に日記を見てもらいたかっただけ、たぶん」
「あー、相談事の類か。この前の王宮での一件以降、一部ではちょっとした有名人だからにゃあ、テオは」
「有名人ねぇ。まぁカッツォ憲兵中尉には負けますがね」
「それはその通りにゃ。で、相談ってのはどんな事だったんにゃ?」
「うん。なんか、ここふた月ほどお兄さんと連絡が取れないらしい」
「ほう」
「で、お兄さんの部屋を訪ねた所、書斎の机の上にそれがあった」
それとテオが指差したのは”日記”だった。
「ふむ、兄の書斎に父の古い日記ねぇ。ありえなくもないとは思うがにゃあ。それに2ヶ月くらいなら、そこそこの商家か貴族の子息であれば忙しくて連絡が取れないなんてことも…… 」
「ままにあることだろう? 僕もそう思ったんだ。だがこの古い日記を記した人の名前を聞いてもしかしてと思った」
「ふむ。だれなんだ?」
「コンダッシェ準男爵」
「はにゃあ。そう来ましたか」
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