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「人の日記を勝手に見るのはどうかと思うぞ」


「にゃ、その通りなのだがにゃ」


二人は再び荷造りを行っていた。満載になったトラックを一度見送り、荷台が空になったトラックが再び来るのを本を箱に詰めながら待っていた、その時だった。


「あれはテオの日記じゃあなかったのだからいいじゃにゃいか。にゃあ猫ちゃん」


にゃあとテーブルの上で毛づくろいをしていたネコが鳴いた。


「よくないでしょ、僕のじゃなかったったからと言って人の日記を勝手に読むのは」


「にゃ、弁解をさせてもらうとだにゃあ。手に取った時点でかなり古いノートだという事が解ってだにゃあ。テオの年齢から逆算するとテオが10歳かそこらの時に書いた物だと推測したにゃ」


「孤児院あがりの10歳が書ける字じゃないでしょ」


「まさしく、まさしくその通りにゃ」


二人の間にポツンと置かれたそのノートの表紙、その"日記"という文字は独特の筆跡であったが、誰もが達筆と言うであろう、そういったものだった。


「さらに言えば、おそらく万年筆ではなく、羽ペンで書かれた文字にゃ。手に取ったその一瞬でそこまで読み取ってだにゃあ、これはテオの日記帳ではにゃいと、確信の上でだにゃあ」


「ページを開いたと」


「にゃあ。テオの日記帳だと解ったら開かなかったにゃあ」


「ほんとかなー? まあ、そこはツウの事を信じるとして。僕のじゃないとは言え…… 」


「にゃ、勝手に開いてすまにゃい」


「うむ、謝罪を受け入れよう。ま、引っ越しを手伝ってもらっている以上、こんなこともあるかもって言うのは覚悟してたけどね」


「にゃ」と眉間にしわを寄せたツウがテオを睨む。


「ま、そう怒るなよ。な、そろそろ茶でも入れて休憩しないか?」


「にゃ、そうだな。これだけ詰めれば次の車も荷台が埋るだろう」

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