第35話 使徒はゴミ問題に悩む

 実は神殿風倉庫に出していないものがある。

 髭剃り、歯ブラシ、汚いタオルなどの日用品だ。欲しがる人がいるとはとても思えない。かろうじて髭剃りなどの金属は鋳つぶすという方法があるけれど、すべて鉄屑だからむしろ引き取り料の方が高い。火属性が使えない自分が恨めしい。


 倉庫にはノインが連れてきた商人がわらわらと集まって査定している。その横で、ケルンとゴミの処理について話し合っていた。大津波で発生したゴミも大量にある。燃やすにもある程度乾かさないと燃えない。海に捨てることもできない。というか海に流出した流木やゴミが続々と海岸に流れ着いてきて船を安全に出せないのだ。漁村では漁に出られないという致命的な問題が依然継続している。浄化で片付けるには多すぎるし、わざわざわたしが対応する義理もない。各地で回収して穴を掘って埋めるのが現実的だという結論になった。各地の領主様に頑張ってもらおう。


 木はそれでいいとして、金属は分ければなんとか再利用できるんじゃないかと益体もないことを考えている。


「使徒様は火属性が使えないのですか?」

「はい。ゴミが大量に≪収納≫ボックスに残っていますが、処分の方法が思いつかなくて。」

「魔石をお使いになればよいのでは?」

「魔石?これでも良いですか?」


 火属性の魔石を出した。

 ゴブリンメイジの魔石。小指の爪くらいの大きさ。


 スタンピードのときに大量に入手した魔石の一つ。タルタの国に持ち帰ったが小さすぎて使い道が無く再度回収した物だ。これも捨てる場所が無くて困っている。まとめて放置すると瘴気が発生するし、地面に埋めたらそこら一帯で草も生えなくなり、魔獣が生まれてくる。


「うーん。これは小さすぎて使えませんね。」

「何個か集めてくっつける…なんてことはできないでしょうか。」

「まあ、石ですからね。」


 ゴブリンメイジの魔石10個を両手に乗せて閉じ、結界で力を込めて圧縮してみる。神殿風倉庫の柱を作った要領だ。


「ふんっ。ふぬううううううううう。」

「ははっ。さすがに無理で…は?」


 両手を開くと1個の魔石になっていた。≪鑑定≫アプレイザルを行使してみる。


“ゴブリンメイジの魔石”


「これでいかがでしょう?」

「試させていただいて宜しいでしょうか。」


 ケルンは魔石の魔力を引き出して≪種火≫エンバーを行使した。魔石の上に小さい火がともる。


「使えますね。」

「これ、わたしもやってみたいです!」


 魔石の魔力を引き出すには自分の魔力を押し込む。通常は自分の共鳴属性を使用すると効率が良い。込めた魔力の2~5倍程度の魔石の魔力が取り出せるからだ。魔石の魔力を出し切るとしばらく出てこなくなる。基本的にはこれで使用済み扱いだ。使用済みの魔石つまり魔力濃度の低い魔石は放置するとそのまま消滅する。だが、さらに同じ属性を込め続けると、魔力濃度が一定値を超えたあたりから魔石の種類と属性が変わり、込めた属性の魔力が出てくるようになる。


 魔石から出てきた魔力を使って≪種火≫エンバーを行使すると期待通り火が付いた。魔法学校入学当初、ダメ元でマリアンヌ様と一緒に≪種火≫エンバーを勉強していたのが日の目を見た形だ。調子に乗って魔力を力いっぱい押し込んだら、火柱が出て慌てて取り落としてしまった。


「うわっ!」

「魔力を込めすぎです。ああ、かなり濃い無属性の魔石になってしまいましたね。」


“使徒の魔石”


 中の魔力をすべて押し流してしまったようだ。鑑定したらこうなっていた。

 せっかくだから商人に見せて査定してもらう。


「これは!」


 他の商人たちも何だ何だと集まって来た。ざわざわ。


「使徒様、この魔石は何ですか?」

「ゴブリンメイジの魔石を使い切ったらこうなりました。」

「こんな大きなゴブリンの魔石は初めて拝見しました。ゴブリンメイジから進化したゴブリンロードでしょうか?」


 もう一度、今度はゴブリンの小粒魔石を固めて鶏の卵大にしてみせる。


「こちらのゴブリンの魔石は魔力量こそオークのそれと変わりませんが、希少性を考えれば相場の10倍でも売れるでしょう。それよりも、使徒様ご自身の魔力でお作りになった魔石は、はるかに高い価値があるかと存じます。」


 ほほう。おじいちゃんに連絡を入れる。


『おじいちゃん。今大丈夫?』

『なんじゃ?』

『この前、いらないって返された小粒魔石なんだけど、他にはない?』

『こっちの森でも大量にとれるぞ?あまり集めて放置すると瘴気を出すから定期的に浄化しておる。』

『商売のタネになりそうだから今から行く。』


 タルタの国に転移して手伝ってもらう。小粒魔石を属性ごとに分けて固めていくのだ。実際に使ってみると実用性は天然物と特に違いはない。神殿の見習いたちには難易度が高いようだが、時間をかければできなくはない。治癒や浄化以外の新しい収入源になるし、結界の扱いの練習にもなる。

 合成魔石工場の誕生である。


 商人たちは不穏なことを言い出した。魔石を圧縮して一つにできるのならば、ゴブリンを養殖したほうがリザードマン一匹を狩るよりコストが低い。とかなんとか…

 良い素材を安定的に得ようとしたら、魔物の養殖は商人ならばだれもが思いつくアイデアだ。しかしながら収入より支出とリスクの方がはるかに高いと気が付く。では、低リスクで回収でき、いままでゴミとして捨てられていた素材が高収入の素材に化けるなら?


 “使徒の魔石” の市場価値を図るため商人に預けてオークションでお金に換えてもらうことにした。


 ◇


 ゴミの処分方法から思わぬ話に飛び火したが、火属性の魔石を使用することでわたしも習得をあきらめていた魔法を行使できるようになった。もちろん理論上できることは勉強して知ってはいたが、天然物の魔石はコストが高すぎて日常的な利用には現実的ではなかったのだ。

 魔法学校に飛びかえり、すぐに取得しようと思っていた無属性の強化系魔法≪拡声≫ラウドネスを教えてもらうと、その勢いのまま気になっていた≪温熱回復≫ホットヒールと、ゴミ処理用の≪燃焼≫バーンを習得した。


 小さい木くずや綿は再利用が困難なので他のごみと一緒に穴を掘って埋める。

 残るはカミソリ、折れた剣などの金属。≪燃焼≫バーンを使用してある程度の鉄の塊にできれば鉄屑として引き取り料を請求されることもないはず。


「あれ?溶けない…」


 火属性の魔石から魔力を取り出して≪燃焼≫バーンで赤い火を煌々と出してであぶってみるが、カミソリは色が変わるだけで形が変わることもなかった。

 気合を入れて魔力を込め、魔石から一気に火属性の魔力を出す。火は大きくなったが、結果は変わらなかった。


 “使徒の魔石” がまた一つ。


 ここにきて、使用する魔法が違うのではないかと思い至った。≪千里眼≫クレアボヤンスで鍛冶屋を偵察してみる。鍛冶屋に納入される鉄を確認すると、形が整っている鉄塊が見えた。有償で引き取った鉄屑がどこに持って行かれるのか観察する。鍛冶屋の鉄屑は鉄塊購入のついでに製鉄所に持ち込まれていた。製鉄は鍛冶とは別の工程らしい。


 製鉄ではどうやら炉の中で砂鉄と木炭を重ねあわせて火をつけ風を送って溶かしているようだ。火属性の魔法によって高熱を生み出しているわけではない。というか、魔力をほとんど使っていないようだ。炉の中で砂鉄と木炭で風を送って高熱を…ん?


 いままで鍛冶屋に鉄屑を引き取ってもらおうと思っていたけど、製鉄所に引き取ってもらえばいいのでは?転移して現地の人に聞いてみる。


「あのー、これなんですけど。引き取り料ってかかりますか?」


 袋に入れた鉄屑を見せる。


「かなりの量あるから引き取れるよ。重量に応じて買い取ってる。良くいるんだよね。鍛冶屋に持ち込んで引き取り料金取られる人。」


 製鉄所は鍛冶屋と違って街にないしすごく遠い。鍛冶屋もわざわざ教えない。今までの苦労は何だったのか…



 ◆ ジルタニア帝国軍西部方面軍 中佐ドミニク視点



 我が帝国は世界最強、世界最高の国家である。


 本人の出自によらず、能力によってのみ評価される。有能な人物は無制限の栄達を得られ、望めば国家元首である皇帝にすらなれるのだ。逆に無能な人物はたとえ皇帝の子であろうとも奴隷の身に落とされる。常に優秀な人物たちで切磋琢磨しあい高みを目指し、無能であっても無能であることを許されないがゆえに努力する。

 諸外国のように出自が良いだけの無能が優遇されることは無い。


 教育環境も万全だ。生まれた子は一か所に集められ、能力や個性に沿った育成が進められる。親が子の成長に一喜一憂するような時間の無駄は省略されるのだ。親が子の件で悩むのは唯一名前のみ。

 ゆえにわが国には孤児という概念は存在しない。諸外国であるような、親がいないからなどといった些末な理由によるいじめは存在しないのだ。常に有能なものが尊敬され、無能には発言権は無い。有能な人間は基本的に無能に話しかけない。話すとすれば命令だけだ。喧嘩であっても同様だ。有能なものが常に優先されるため無能な人間によってかかずらわされることが許されない。


 帝国は寛容だ、未成年に対しては矯正施設送りと呼ばれる救済措置を与えている。

 いじめなどという時間の無駄を許さない。そのような自分の役割も理解できないような無能な子供は矯正施設送りだ。我慢できないもの、無駄に騒ぐもの、命令に歯向かったもの、その他犯罪を犯した者も矯正施設に送られる。


 適材適所も徹底されている。頭が良ければ学者に、戦闘能力が高ければ軍人に、歌が上手ければ歌手に、絵が上手ければ画家に、誰もが自己の能力を発揮できる環境が与えられる。帝国民は子供から老人まですべての人間がその時点の最高のパフォーマンスを引き出せるように、輝かしい人生を送れるようにしてくれる。

 頭が良くて体が弱い人間が軍隊に入れられるような理不尽は、我が帝国ではおこらない。


 帝国は非常に寛容だ。無能の成人、あるいは、未成年が矯正施設において矯正不能、治療不能とされた者に対しても救済措置が与えらている。魔石工場で働くか、奴隷となって働くか職業選択の自由が与えられるのだ。魔石工場で貢献できれば誰にでも出世の可能性が残されている。


 家庭環境も同様だ。優秀な子を作らせるために最適な配偶者が国家により選定される。本人が優秀、あるいは、優秀な子を輩出した人物には配偶者をより多く割り当てられる。

 皇帝陛下には108人の妻が割り当てられているそうだ。正直言って彼には同情する。

 諸外国からは、貴国は人間で競馬でもやっているのか?などと揶揄されることもあるが、優秀な人材が生まれるのだ。何が悪い。


 かく言う小官にも妻が三人いた、会ったことは無いが子が8人はいるはずだ。

 初めの妻は12歳の時に割り当てられた。相手は28歳。前回の相手と、前々回の相手と、前々々回の相手とは子が生まれなかったため交代させられたそうだ。遺伝学上は最高の組み合わせだそうで、お世辞にも良い見た目とは言えないが、小官との間には子供が生まれた。妻と二人きりの時は師匠・愛弟子と呼びあっている。

 次の妻は小官が少尉として任官された15歳の時、運よく魔獣討伐の任を完遂させたことで割り当てられた。相手は22歳。残念ながらあまり仲は良くなかった。彼女にとって期待外れだったらしい。小官も顔が良いとは絶対に言えない容姿だからな。

 三人目の妻は小官が22歳の時。師匠との子が優秀だったらしい。より多くの子を産ませるために15歳の妻を割り当てられた。彼女とも二人きりの時は師匠・愛弟子と呼び合っている。遺伝学上の組み合わせはかつてないほど良いとのことだ。何が良いかは詳しくはわからないが、師匠との子が優秀だったのだ。愛弟子との子にも期待できる。


 時は過ぎ、西部方面軍中佐として赴任した。異動時に愛弟子がいなくなった。別の男にあてがわれたらしい。彼女とは4人子ができたはずだが、有能な子が生まれなかったようだ。師匠によると自分もそうだったのだという。教育では礼節を重んじるよう指導されるが、別れの挨拶もできないのか。居場所もわからない。

 有能な子が生まれないと割り当てられた妻が外されるのは、何となく理解はしていたが無念である。


 ◇


 ある日、西部方面軍大佐ラムダ指令の立案により、領土拡張作戦が開始された。帝国西部が接するノクトレーン国およびエルネスタ王国との国境線を何年もかけて徐々に動かしていくのだ。領地を守る気のない領主は気づかない。最初に気付くのはその土地の住民だ。住民と仲良くなり、そこの住民だけは国境の自由通行を許可する。帰属意識を元の領地から帝国へ移すのだ。税を元の領地より安いと宣伝し(実際その通り)、努力が報われる国だと印象付け(本当だ)、困ったときはお互い様だと魔獣討伐も請け負う。徐々に領主の存在意義を失わせていき、機が熟したら村の統治を帝国に組み込み国境線を引きなおす。


 ここまでされても無能な領主は気づかない。村が飢饉になっても、村が魔獣に襲われても今まで何もしてこなかった。村人はことあるごとに助けてくれる帝国側に懐いている。領地のうちすでに半分近くを切り取った。

 このころには、納税されていないことにいったいいつ領主が気づくのか賭けが行われていた。もちろん領主が気づいた時の対策もすでに準備万端整っている。村人たちも領主が攻めてきたらこちらに味方するよう約束してきた。小官も賭けに参加していたが、領主の能力を過大評価していたようだ。早々に賭けが外れて大量の酒をふるまうはめになった。

 どうも小官には敵を過大評価するきらいがあるらしい。大佐にも部下にも笑われた。


 ◇


 ノクトレーン国南方121kmの位置にある諸島において原因不明の大爆発が観測された。少なくとも魔力爆発ではないらしい。人為的あるいは魔物の行動による爆発であれば魔力の残滓が爆風に含まれるからだ。のちに火山性の水蒸気爆発であると結論付けられ、現地への渡航制限が公布された。ただし、火山性地震にしては規模が小さすぎること、噴石が軽石でないことから専門家からは疑問の声が挙がっていた。現時点では地下深くの爆発によって地表のみが大きく崩壊したと考えられている。

 だがそれに伴い、大陸南方に大津波が到来した。南方諸島は二万年前の旧火山帯であることから噴火は想定されていなかったこと、また、爆発から1時間程度で津波が到達したことから有効な対策が打てず、帝国でも大きな被害を受けた。

 当初は外国の勢力による攻撃かと帝国軍は浮足立ったが、津波に魔力の残滓が無いこと、人為的に起こせる規模でないと判断されたことから外国からの攻撃ではないと結論付けられた。


 帝国軍西部方面軍は南方に海岸線があるものの特に被害は無かったため、領土拡張作戦を継続しノクトレーン国の侵攻を開始した。名目は現地住民からの救援要請に基づく津波被災後の人道支援である。実際には現地住民からも救援要請はない。なぜなら災害規模が大きすぎて連絡網が寸断され誰も自分たちの置かれた状況が把握できなかったからである。


 ◇


 小官が出撃した当初は、軍のだれもが “これは人道支援で怪我人の救出と津波のごみの片づけ程度だ” と考えていた。労力は大きいが危険は少ない。本国からも奴隷を率いて支援に来るそうだ。新兵の体力訓練に使えそうだ。熟練の兵士は国境の守備に回し、新兵を多く率いて被災地へ向かった。


 そこで想定外の事態が出来しゅったいした。海に流された遺体を狙って魔獣が多く集まっていたのだが、波打ち際にいた魚の魔獣に驚いた新兵が武器を振り回して追い払うという最悪の失態を犯してしまったのだ。

 下士官が新兵を殴りつける。


「こんのバカモンがぁ!」


 思い切り殴りつけられた新兵があっけにとられている。ほかの新兵もなぜ叱られたのかわかっていない。

 撤退せねば。


「撤退!直ちに現場を放棄して撤退せよ!前線基地まで撤退!」

「はっ!前線基地に撤退します!」

「駆けあーし!」

「駆けあーし!」


 いまだに流木がところどころに残る道路で、前線基地まで全員走った。道が悪いため馬に乗っていた兵は下馬して自分の足で走る必要がある。賢い馬は必死についてくるが、駄馬は上の荷物がなくなったことに喜んでどこかへ走り去った。足を取られて転んだ兵をすぐに引き起こして、全力で走らせる。

 前線基地に戻った後、入口にバリケードを築くよう指示し、作戦指令所にも報告する。≪通信≫テレボイスで緊急連絡。


『中佐。状態は?』

『新兵が魔獣を追い払った。前線基地はこれよりスタンピードに備える。』

『了解。支援は必要か?』

『武装がない。』

『了解。直ちに空輸する。』


 その後、作戦指令所から新たな命令が下された。当該のスタンピードを制圧せよ。

 魔法士が三人≪飛翔≫フライで基地まで飛んできて、武器類と食料を≪収納≫ボックスから取り出してその場に置いた。まだまだ足りないが、再度往復してくるそうだ。


 巨大な黒鳥の魔獣『死体運び』が村の遺体を狙って空に集結してきた。


「中佐、住民が保護を求めてきました。入れますか?」

「バリケードを一部解いて、入れたらすぐに閉めろ。入れたら人数を報告。」

「はっ。人数を報告します。」


「死体運びには絶対に手を出さないよう周知しろ。」

「はっ、死体運びに手を出さぬよう周知します。」


 空からの攻撃に備えるため、工兵に指示して地下空間を増築させる。ふむ。新兵にしては仕事が早いな。名前を控えておく。


 『死体運び』は遺体をつかんで基地に向かって飛んできた。緊張しながら見守っているとそのまま基地を飛び越えて山の向こうへ飛び去って行った。

 次々に遺体を運び去っていくのだが、どうやら遺体より鳥のほうが多かったらしい。崩落した家にいた重傷者を見つけ出し、穿ほじくり出して咥えたまま飛んで行った。捕まった村人は悲痛な叫びを上げるが我々にはどうにもできない。

 芋虫を木のうろから穿ほじくり出して咥えて飛んでいく小鳥を連想した。


「中佐、住民が村に取り残された怪我人の保護を求めています。」

「無理だ。遺体の収容はスタンピード後にする。」


 これからスタンピードが起きるのにリスクは冒せない。

 村人がこっちに向かってきた。兵に取り押さえられる。


「ふざけるな!スタンピードを呼び込んだのはお前らだろうが!」

「スタンピードを呼び込んだ兵は、制圧後に処罰する。」

「そいつに救出に行かせろ!」

「無駄死にさせる気はない。」


 まだまだ騒ぐ村人の胸ぐらをつかみ片手でバリケードの外に放り投げた。

 腰から剣を鞘ごと外してそばに投げこむ。


「ならばお前が助けに行け。」


 一緒になって騒いでいた村人たちは静かになった。


「クッソぉーーーーーー!!!」


 そして、放り投げられた村人は、剣を抜いて村まで走っていった。

 しばらくして『死体運び』に生きたまま運ばれていくのが見えた。周囲には悲鳴がこだました。


 -----------------

 続きます。

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