第27話:バレンタインデーのどうでもいい話。

その日は恋人たちのクリスマス・・・その日ばかりは目をつぶっていても

必ずやってくる。

街では例のクリスマスソングがかかっていた。


ご多聞にもれず陽介は檸檬にイヴの夜のサプライズを考えた。

そして今夜のエッチの演出も・・・。


言葉責め・・・目隠し・・・拘束・・・スパンキング・・・アダルトグッズ

・・・いいなって思ったが、ただ思っただけ。


結局は檸檬は普通がいい子・・・変態ちっくな行為は好まない。

ノーマルな子だから・・・ちょっとアブノーマルな陽介とは違った。

陽介は決して無理強いはしない・・・自分の欲求より檸檬のことを優先

しているからだ。


檸檬は陽介はどこまでエスカレートして行くんだろうって不安に思ったこと

もあった。

でも陽介が普通のセックスに満足してくれてることに少しホッとしていた。

人間って結局、安定安心を求めるのかなって思った・・・。


たとえば車でもバイクでもそうだがカスタムにハマって改造しまくったあげく

最終的に改造することに飽きてノーマルに戻ってくるってパターン。

ノーマルの良さ、安定さを求める・・・陽介の場合もそれと似ているのかも

しれなかった・・・ノーマルが一番、檸檬のパンツも普通のパンツが一番。


要するに、陽介は飽きちゃったって言うか、いろいろ考えるのに疲れちゃった

のかもね。


そして2月14日、 バレンタインデー。


バレンタインとかクリスマスとかって、お菓子屋が儲けるために広めた

イベント?・・・じゃないのかなって陽介は思っていた。

そうかどうかは誰にも分からない。

そうだと断定したら、お菓子屋さんが怒ってきそうだった。


ってことでご多聞にもれず、陽介も檸檬から愛のこもったチョコをもらった。


陽介は子供の頃から無類のチョコ好き。

だからバレンタインデー用に作ったチョコはキラいだった。

高いだけで美味いと思ったことがない・・・見かけだけはオシャレな箱に

入ってて中身がしょぼい。

まあそうじゃない、ちゃんとしたチョコもあるんだけど・・・。


結局、普通のお菓子メーカーが作ってるチョコが一番美味い。

そのことを知ってる檸檬は普通のチョコを買って来た。


「チョコもらうのは嬉しいけど・・・ホワイトデーが怖いな」


「だね・・・楽しみにしてるからね」

「ところでさ・・・聞きたいんだけど・・・陽介、私に隠れてエッチい

動画とか観てるでしょ? 」


「なんで?」


「陽介のPCに略歴残ってるもん。エッチい動画の」


「え?・・・・見たの?俺のパソコン?」


「この間ちょっと借りたから・・・」

「ああ、やっぱりエロっちいの観てんだ〜って思って・・・・」

「それって私のだけじゃ物足りなくて?・・・」


「じゃなくて・・・なんて言うかな・・・現状維持ってやつだよ」

「それに男は視覚的、聴覚的、接触的要素必要だし・・・」


「なに、その現状維持って、視覚的って?・・・」


「男性は視覚や聴覚で興奮するんだよ」

「だから檸檬を見たり触ったりしたらエッチしたくなるの」

「それにモチベーション保つって意味でも動画見るのは必要なことなんだよ」


「そうなの?・・・自分だけの理屈だよね」


「私はまた、私以外の女がよくて動画浮気してるのかと思った」


「なに、その動画浮気って・・・」


「動画でよその女見て興奮してるってこと・・・ほら、SNSで他の女性と

疑似恋愛的な?」


「それはちょっと違うだろ?」


「動画の場合は一方通行じゃん・・・擬似恋愛は相手がいるだろ」

「動画はいいけど擬似恋愛はやってないからね」


「されたら困るし・・・」


「まあ洋食ばかり食べてたら、たまには和食も食べたくなるってこともあるしな」


「なにそれ・・・私はどっち?洋食?・・・で?動画は和食なの?」


「いやいや、だからモチベーション保つためだって 」

「俺がエッチに興味なくなったら檸檬だって欲求不満になっちゃうだろ」

「常に女性に対して奉仕の精神な男には必要なことなの・・・分かった?」

「女には男の性的欲求のことはなかなか理解できないんだよ」


「たしかにね男性の本質は男じゃない私には分かんないかもね」


「俺はまだまだ檸檬とラブラブしてたいし・・・レスになんかなりたく

ないからな」

「そのために努力、奮闘してるんだよ・・・」

「いいだろ?、ぜ〜んぶ、檸檬のためなんだから・・・」


「・・・そう言われちゃうと返す言葉ないけど・・・」

「なんだかな〜いいように誤魔化されてる気がする・・・」


で、まあそんな、どうでもいい話をしてたためか、陽介は檸檬にアホな

質問をした。


「それより檸檬・・・今日、何日だっけ?」


「なに言ってんの・・・今日は2月14日・・・バレンタインデーだよ・・・

チョコあげたでしょ・・・ほら手にチョコ持ってるじゃん」

「早く食べないと手に持ったままだと溶けちゃうよ」


「そういう檸檬も溶かしちゃおっかな〜」


「スケベ〜」


つづく。


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