第23話:もうひとつのサプライズ。

これからエッチだよって言う前に陽介は檸檬にヴィトンのバッグをプレゼントした。


「ウソ、まじで?・・・ヴェトンじゃない?高かったでしょ?」

「だけど、私まだ学生だよ・・・OLじゃないんだよ・・・ヴィトンなんて持つのちょっと早くない?」


「いいじゃん・・・いざとなった時には売っちゃえばいいんだから」


「そんなこと・・・でも嬉しい・・・陽介ありがとう」


そう言うと檸檬は陽介に抱きついて顔じゅうキスした。


「ごめんね、気を使わせちゃって・・・」


「今のうちだぞ・・・釣り上げた魚に餌はやらないって言うだろ?」


「釣り上げたあとも餌、要求するから・・・」


「それから、檸檬、檸檬の誕生日にもうひとつプレゼントがあるんだけど」

「高級バッグ買ってもらったのに?・・・まだあるの?」


「はい、沖縄行きのチケット」


「うそ・・・うそ・・・まじで?」


季節外れだったけど陽介は冬になる前に檸檬を沖縄に連れて行こうと

思っていた。


「ほんとに、沖縄に連れてってくれるの?」


「うん、いつか俺に彼女ができたらかならず沖縄へ連れて行こうと思ってたから

どうかな、沖縄?・・・まあ時期外れだけど」


「めっちゃ嬉しい・・・」


ってことで陽介は檸檬を連れて沖縄へ二泊三日の旅に出た。

沖縄便は午後一便だけ。

平日だったこともあって檸檬は学校とバイトを休んだ。

未成年が男とお泊まり旅行なんて学校にばれたら問題なんだけどね。


陽介と檸檬は遅れることなく、沖縄行きの飛行機に乗った。

陽介は飛行機の経験はあるけど檸檬ははじめてだったらしい。


飛行機は離陸して約2時間くらいのフライトで沖縄の上空にいた。

時刻は5時すぎ。

少し日が傾きかけていた。

飛行機が沖縄の上空を旋回してる間、窓から沖縄の島と海が見えた。

上空から見る海は、本当に綺麗だった。


陽介も檸檬もそんな綺麗な海を肉眼で見たことなかったから感動した。

「わ〜〜綺麗」そう言って檸檬は窓から離れなかった。


そして上空を一周旋回した飛行機は那覇空港に到着した。

10月でも沖縄はそこそこ暑かった。

陽介は空港ですぐにレンタカーを借りて約30分ほど走るとふたりが泊まるホテルに

到着した。


どこまでも続くさとうきび畑を抜けるとパッと視界が広がったと思ったら

そこに立派なホテルが建っていた。

旅行の間、陽介と檸檬が泊まるリゾートホテルだ。


「わ〜すごい立派なホテル〜、陽介とここに泊まるの?すごいね〜」


「パンフで見たとおり、立派なホテルだな」


檸檬は白くてお城のようなホテルが気に入ったようだった。


ホテルに到着してから、ふたりはしばらく部屋でくつろいだ。

観光に出るにはもう日が暮れかけていたから夜はホテル内を散策した。


檸檬が部屋の窓から下を覗くと綺麗なプールと海が見えた。

ホテルのプールから海へは続いていて歩いていけるようになっていて

プールの向こうに黄昏に染まった綺麗な砂浜と海が見えた。

見たことのない素敵なビューが広がっていた。


次の日、せかっくだからとレンタカーを走らせて、ふたりは美ら海水族館へ

行ってみることにした。

「チュらうみ」って意味は沖縄の方言で「清〔きよ〕ら(しい)海」というらしい。

パンフレットにそう書いてた。


沖縄特有の魚やでかいジンベエザメなどを見て檸檬は興奮した。

水族館の周辺にある、オキちゃん劇場(イルカショー)とか無料で見学できた。


陽介は個人的にアメリカの進駐軍の払い下げのお店にも行ってみたかったが

きっと檸檬が退屈すると思って行かなかった。

女の子の中にはサバゲーが趣味の子もいるんだろうけど、その手の興味のない

檸檬にはあまり関心のない世界だろうと思った。


二日目からは最終日までずっとホテルから出なかった。

それと言うのもホテルにはゲーセン・卓球・ビリヤード・カラオケ・ボーリング

宿泊客に飽きさせないだけのアミューズメントがあったからだ。

だからほぼ一日そこで遊んでいられた。


遊び疲れたら部屋で気の済むまでエッチして檸檬は水着に着替えてプールに

入ってから海に出て夕日が落ちるまでビーチベッドに寝転がって砂浜でくつろいだ。


檸檬は砂浜に座って指で砂に何か書いていた。


透き通った綺麗な海に白い砂・・・つい感情的になる。


陽介は思った、自分が女性ならこんなところでプロポーズされたら絶対

オッケーしちゃうよなって。

でも、檸檬はまだ現役の高校生、卒業するまではプロポーズなんてまだ早い

って思った。


陽介は心の中でだけ檸檬にプロポーズした。


(檸檬、愛してるよ、一生、俺の天使でいてください、大切にするからね)


って・・・。


檸檬が日菜太の方を見て砂浜に書いた文字を指差した。


「ほら」


檸檬が座ってた砂浜を見ると、

ハートマークの中に相合傘を書いて両サイドに、ひらがなで、ようすけ、れもん

って書いてあった。


つづく。


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