第14話:現れたロクデナシ男。

陽介のマンションに結衣ゆいがたびたびが遊びに来るようになって

陽介にお邪魔虫扱いされた。

それでも結衣は陽介を無視して檸檬と仲良く女どうしGLみたいに意気投合

していた。

結衣に檸檬を取られた陽介は機嫌が悪かった。


それでも陽介と檸檬が順調よく愛を育んでいたある日、檸檬の通う高校に

ひとりの男がやってきた。

高校の校門の前でたむろして檸檬が校舎から出てくるのを待っていた。

檸檬が他の生徒と一緒に校門まで出てきた時だった。


「久しぶり、檸檬・・・相変わらず可愛いな・・・そそるよな」


「和樹?・・・なにしに来たの?」


それは檸檬の金を踏み倒して他の女とトンズラしたロクデナシ男だった。


「檸檬・・・新しい男できたんだろ?・・・知ってんだぜ?」


「そんなことどこから・・・」


「どこからだって、そう言う情報入ってくるんだぜ・・・蛇の道は蛇ってな」


「あんたには関係ないでしょ」

「それよりなんで来たの・・・今更用はないでしょ」

「帰って!!」


「そんなにつれなくしなくていいだろ?」

「仲良くしようぜ・・・俺たちいい仲だったじゃん」

「俺の中じゃ俺たちまだ終わってないって思ってんだけど・・・」


「なに勝手なこと言ってるの・・・私の貸したお金返しもしないで他の

女と逃げたくせに・・・」

「よくここに来れたもんね」

「私はもう以前の私じゃない・・・あんたといた頃の私はもういないの」


「へ〜そうなんだ・・・俺にはいつもの檸檬にしか見えないけどな」

「制服着たエロい女・・・」

「だからさ、また寄りを戻して仲良くしようよ、いいじゃん」


「よくない!!」


「さっきも言ったけど、おまえ、男ができたんだろ?・・・それも金持ちの

ボンボン 」

「金持ちの彼氏なんて、すごいじゃん檸檬・・・うまくやったよな」


「だから、あんたには関係ないって言ってるでしょ」

「帰って・・・」


「その彼、いい金ズルじゃん」


「なに言ってんの・・・バカ男」

「帰ってって言ってるでしょ・・・」


「俺と寄り戻さないか?」


「まだ言ってる・・・いまさらそんなことできる訳ないでしょ?」

「帰れ」

「帰らないと不法侵入で警察呼ぶよ」


そう言うと檸檬はスマホを出した。


「分かった、分かった・・・帰るよ・・・帰るけどまた来るからな」


「二度と来るな・・・顔も見たくない」


「じゃ〜な、檸檬・・・知ってると思うけど俺ってしつこいから」


ロクデナシ和樹は、いつものようにヘラヘラしながら帰って行った。


思わぬ訪問者に、その日学校から帰ってからも檸檬はテンションだだ下がりだった。

まさか、女と逃げたロクデナシ和樹が戻ってくるなんて思ってもいなかったから。


もちろんいまさら、ロクデナシ和樹を受け入れるつもりはなかったが、

ロクデナシ和樹が自分と陽介の間に邪魔に入って面倒くさいことに

なりはしないかと檸檬は心配した。


その不安は当たらずとも遠からずだった。


つづく。


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