第13話:やってきた女。
で、土曜日、朝から檸檬は陽介のマンションに来ていた。
その人物、陽介の部屋のドアホンも鳴らさずずけずけ入ってきた。
マンションのセキュリティーを物ともせず陽介の部屋までやって来れる人物。
陽介はもしかしてと思って、ドアをそっと開けた。
そしたらいきなり
「やっほ〜陽介・・・おっじゃま〜」
「
「会社で陽介に新しい彼女ができたっていう噂を耳にしたから、どんな彼女か、
品定め・・・見に来てやった」
「品定めってなんだよ」
「いるんでしょ、彼女?」
結衣は木之下と同じように自分ちの家みたいに、づけづけ部屋の中に入ってきた。
昼食の支度をしていた檸檬は、誰かが来たと思って台所から顔を出した。
「陽介〜だれか来たの?」
で当然のように檸檬とは結衣は鉢合わせになるわけで
檸檬を見た結衣・・・開口一番。
「負けた・・・」
「陽介の新しい彼女ってどんなブス女か見てやろうと思って来たのに」
「うそでしょ・・・めっちゃイケてるじゃん」
「あの・・・あなたは?」
「あ、私、結衣・・・はじめまして、え〜と・・・」
「瀬戸田 檸檬です、よろしお願いします」
檸檬はペコッと頭を下げた。
「私よりちょっと年下みたいね、檸檬ちゃんどうみても学生さんね?」
「あの、はい、そうですけど・・・」
「合格だね・・・檸檬ちゃん、なんかいい子っぽい」
「私、一目見てその人が、いい人かそうじゃないか分かるの」
「ねえ陽介〜檸檬ちゃんといつから付き合ってるの?」
「ピテカントロプスが地上に現れたころからだよ」
陽介は木之下に言ったことと同じことを言った。
「それいつまで使うつもり?そろそろ変えたら、ウザいから」
「あんたが女作るたびに何度も聞いたわ」
「檸檬ちゃん、陽介って女たらしだから気をつけたほうがいいわよ」
「なにバカなこと言ってんだよ・・・いい加減なこと言うな」
「なんかさ、彼女ちゃんが私より綺麗って許せないわね・・・ふたり
の中、ぶち壊したくなっちゃうのよね 」
「もういいだろ・・・用事がないんなら帰れ」
「檸檬ちゃん、せっかく知り合えたんだから女同士仲良くしようね」
「陽介を返せなんて言わないから・・・くすっ」
「あ・・・はい・・・って?、返せってどういう意味でしょう?」
「ああ、もうそれ以上ややこしくするな・・・とっとと帰れ」
「はいはい・・・帰るから・・・また来るね〜」
「檸檬ちゃんまたね・・・これからちょくちょくお邪魔するから・・・
仲良くしようね・・・」
「陽介、檸檬ちゃん泣かせるようなことしたら承知しないからね」
ドタバタと結衣は捨て台詞を吐いて帰っていた。
部屋の中に静寂が戻ったところで檸檬が言った。
「陽介、今の人、誰?・・・まさか陽介の元カノとか・・・?」
「陽介を返せって言ってたわよ、彼女」
「返せって言ったんじゃんくて、返せなんて言わないからって言ったの」
「そんなのどっちだって一緒だよ、あの子自分が陽介の彼女だって言って
るみたいじゃない」
「私の他に女がいたの?・・・あの結衣さんて人がそうなの?」
「そうなのね、私に隠してたの?・・・」
「あのね檸檬、またはやとちり・・・ボケかまして・・・やっぱり檸檬は面白い」
「退屈しないわ・・・」
「よく聞いてね・・・結衣は俺の妹・・・「
「だって〜陽介を返せって行ったじゃん 」
「返せなんて言わないからって言ったの」
「それだって檸檬は結衣にからかわれただけだよ・・・ 」
「妹だし、家族だからそう言ったんだって」
「ごめんね、そもそも妹がいるなんて言ってなかった俺が悪いんだけど・・・」
「あ〜そうなんだ・・・妹さん?・・・あ、そうなんだ・・・あはは」
「って、なんでもっと早く妹がいるって言ってくれなかったの!!」
「もう、心臓に悪いよ」
「ほんとに檸檬ってって面白い」
「面白くない・・・妹さんだったからよかったけど違う女だったら私・・・」
そもまで言って檸檬はその場にしゃがみこんで泣き出した。
「え?うそ・・・檸檬・・・」
「ごめんよ・・・もっと早く教えとけばよかったよね、まじごめん」
「ほら、泣かないで・・・」
もっと大人の女なら笑い飛ばして終了ってところだったかもしれないけど
そこはまだ17歳の女子高生・・・ちょっとパニクちゃったか。
「ほら泣かないで・・・驚かせた埋め合わせ、ちゃんとするから」
そう言って陽介は檸檬の後ろから彼女をハグした。
「ね、しよ?」
「まだ、朝だよ・・・早いよ」
「いいじゃん朝エッチ・・・」
「ダメですぅ」
まあ、檸檬じゃなくても、ああいう状況じゃ勘違いしてもしょうがないよね。
つづく。
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