第12話:檸檬のバイト。
陽介が次の日、会社に出勤すると案の定、木之下君が拡声器を持って社内中、
回ったんだろう。
檸檬のことが社内中に知れ渡っていて陽介がJKと付き合ってるって。
陽介はついに成人女性に飽きたらず女子高生にまで手を出したのかと・・・。
まあ檸檬が現れるまでは陽介の周りには金に目が眩んだ女がタムロしていた
時もあったから彼女ができたって言っても珍しいわけじゃなかった。
と言っても陽介は檸檬と言う彼女ができて以来、女遊びは一切していない。
人は、目的と希望と愛が生まれると変わるのものなのだ。
人の噂も75日とはよく言ったモノ。
75日も経つと、その頃には陽介と檸檬の噂は徐々に消えていた。
新しい情報がどんどん入れ替わり立ち替わり、人の脳に入ってくるからね。
それから数日後。
土曜日の昼下がり、大あくびをしながら退屈そうにしている陽介に檸檬が言った。
「陽介、私、またバイトはじめようかと思って・・・」
「え、そうなの?でもさ無理にバイトなんかしなくていいんじゃない?」
「働かないと洋服も買えないし・・・」
「そんなの俺が買ってあげるよ・・・何着でも」
「陽介を頼りたくないし・・・」
「恋人同士なのに?」
「そう言うとこ、ケジメつけときたいの」
「まあ、いいけど・・・ってかさ・・・このさい施設出てここへ来ないか?」
「え?・・・まじで言ってる?」
「言ってる、言ってる・・・親元で暮らしてるならそうもいかないかも
しれないけど、施設からなら出られるだろ?」
「そんな勝手はできないよ・・・私、まだ親の承諾がないと自由きかないんだよ」
「だから施設長さんの許可がないとダメだよ」
「ああ・・・なるほどね、じゃ〜檸檬が18歳になったら、ここで一緒に暮らさ
ないか?」
「それならいいだろ?」
「ああ、そうね・・・じゃ〜考えとく」
「それにさ、無理にバイトしなくても檸檬ひとりくらいなら養っていけるし・・・」
「ダメだよ、結婚もしてないのに養ってもらうなんて、それはダメ 」
「私、公私混同したくないし・・・ 」
「そうか・・・檸檬がそうしたいなら、まあ好きにすればいいよ」
「怒った?」
「怒ったりしないよ、むしろ俺の金に頼ろうとしない檸檬に好感」
「まじで?、怒ってない?」
「まじで、怒ってない・・・檸檬のいいようにして、応援するから」
そして数日後、檸檬から新しいバイトが決まったって陽介に連絡があった。
新しいバイト先はお好み焼屋さんだった。
店名は 「お好み焼き・鉄ちゃん」
そのお好み焼屋さん、ダルマみたいな主人と奥さんふたりでがんばってたん
だけど、今現在奥さんが病院に入院してるとかで、手が足りないということで、
パート・アルバイト募集の求人広告をだした。
でその求人広告を見た檸檬が「鉄ちゃん」の主人に連絡して、面接して、めでたく
働くことになったらしい。
勤務時間は平日夕方から夜の9時まで、施設の門限は10時だから9時まで。
陽介と過ごしたかった檸檬は土・日だけは休ませてもらえるよう交渉したみたいだ。
土・日の夜なんて店は書き入れ時なのにね。
だけど土日の夜なんて一番ラブラブな時間でもあるからね。
つづく。
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