第8話:調子に乗って酔っ払った檸檬。

「・・・中古車だよ・・・僕ってあまり車には興味ないんだけど、今日みたいな

日には必要だからね・・・」


車に興味ないのに車持ってるの?お金持ちは贅沢って檸檬は思った。


陽介は車の助手席に檸檬を乗せて郊外の「レボショワール」 というフランス料理のオーベルジュに昼食を食べに行った。

レボショワールは蔦の絡まった、感じのいいレストランだった。


陽介にエスコートされてレストランのテーブルについた檸檬は、珍しそうに

店内を見渡した。

そんな店に入ることなんか一生ないって思ってた。


「陽介〜・・・なんだか高そうなレストランなんだけど・・・」

「いいのかな?」


「檸檬ちゃん、今日は記念すべき初デートなんだからね、そのお祝い」

「好きなもの注文していいからね」


檸檬はメニューを見た・・・でも全部フランス語で書かれていてチンプンカンプン。


「あの、私、こんな高級レストラン入ったことないからメニュー見ても分かんない

んだけど・・」


「じゃ僕に任せてくれる?」


そうい言って陽介はギャルソンを呼ぶとテキパキ料理とワインを注文した。


「すごいね陽介・・・」


「檸檬ちゃんも来るようになったらすぐに覚えるよ」


しばらくすると檸檬の見たことない料理がテーブルに次々並び始めた。

年代物の美味しいワインも・・・


檸檬はお酒は飲めないから料理に夢中になった。

食べたことない料理にテンション爆あがり、運ばれてくる料理パクパク

だけど喉が渇いた檸檬は飲めもしないのに調子にのってグラスに注がれた赤い

飲み物をグビグビ一飲みほした。


陽介はなにも言わずに笑っていた。


「ごめんなさい・・・私、下品だった?」


「俺はね、ご飯を美味しそう〜に食べる人好きだよ」

「ほんとに檸檬ちゃんは面白い・・・君といると飽きないわ・・・」


「私、なにもしてないけど・・・」


「いいの・・・君はそれで、そのままでいいんだよ」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「あ〜お腹いっぱい・・・美味しかった〜」


檸檬は、デザートも含め出てきた料理を全食平らげた。


「それはよかった・・・じゃ〜もういいね・・・出ようか?」


陽介にそう言われて檸檬は席から立ち上がろうとして、よろめいた。


「檸檬ちゃん、大丈夫?」


「なんか・・・私、酔ってる?・・・グラスに入ってたの一杯飲んだだけ

なのに?・・・」


「そう・・・じゃあ少し休憩して帰ろうか・・・」

「俺、部屋予約してくるから」


「あ、私、大丈夫だから・・・」


檸檬が言い終わらないうちに陽介はフロントに部屋をオーダーを取りに行って

しまった。


「え?・・・休憩って・・・やっぱりホテル?」


しばらくして陽介が檸檬の元に帰ってきた。


「部屋取れたから・・・」


「あの、休憩だけ?もしかしてお泊まりしたりするの?」


「まあ、場合によってはね、檸檬ちゃんの体調次第・・・」


「やっぱりそうなるの?」


もし、万が一なにかあっても檸檬は、かたくなに陽介を拒むするつもり

だったけど陽介が狼に豹変したら抵抗できる自信はなかった。


陽介の彼女にはなったけど、彼に体を許すほど全幅の信頼を置いてるわけ

じゃない。

遊ばれて捨てられちゃったらどうしよう・・・めちゃ不安がよぎった。


つづく。






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