第4話:檸檬ちゃん、おめでとう・・・君に決定です。

(こんな綺麗な子が俺の募集に応募したってことは彼氏がいないからなんだ

ろうな?・・・それと金欠状態かな?)


って陽介は思った。


もし檸檬に今でもロクデナシ男でも彼氏がいたら当然、陽介の「まともな彼女募集」

にはノらなかっただろうからね。


ロクデナシ男に逃げられてもう彼氏なんかには興味がないはずなんだけど・・・

そこはそれ、やっぱりお金かな?・・・彼氏うんぬんより自分の楽しみを優先

しなきゃいけないしね。


原因は違っても檸檬も人を信じられないという点では陽介と同じような境遇

だったかもしれない。


陽介は檸檬が多少ブスでも性格さえよかったら我慢しようと思っていた。

でも彼女は、思った以上どころじゃないくら性格はともかくとして見た目は

めちゃ可愛い女子高生ときている。


「あ、立ってないでそこにかけて・・・」


陽介は檸檬をソファに座るよう言っておいて台所へ消えていった。

檸檬は高級そうなソファに腰掛けて部屋中を、あちこち見ながら言った。


「あの・・・すごいマンションに住んでらっしゃるんですね?」


「ああ、俺はここに住んでるだけ・・・このマンション自体親父の持ち物だから」


「こんなマンション所有してるお父様って・・・大金持ち?・・・とか?」


「そうだね・・・世間一般には年商数百億円の大金持ち」

「なに?瀬戸田さんはそこに興味があるの?」


「いえ、そういう訳じゃなくて・・・すごいなって思ったから・・・」


「否定しなくてもいいよ・・・お金に興味がない人なんていないんだから」


「どうぞ・・・本物のコーヒーじゃないけど・・・」


「ありがとうございます」


「で、さっそくだけど俺の彼女になってくれるのかな?」


「そのつもりでは来たんですけど・・・」


「《付き合ってくださる方、高額報酬・高額ボーナス》ってのに釣られてきた?」


「あ〜いや、そういうつもりじゃ」


「いいよ・・・正直に言ってもらって・・・」


「ごめんなさい・・・そうです・・・高額報酬に惹かれてきました」

「やっぱりダメですよね、そう言うの・・・」


「正直な人だね、君って・・・あ〜檸檬?・・・檸檬ちゃんって呼んでも?」


「あ、どうぞ」


「私、嘘つくの下手だし誤魔化してもすぐバレますから・・・」


「嘘も誤魔化しも、最初っからモロバレだよ・・・普通さ、私服に着替えるとか

しない?いくら急いでるからってそのまま制服で来るなんて呆れる以前に笑える」


「それに高額に惹かれて来たってことも・・・」


「あ、いいからね、責めてるわけじゃないからね・・・彼女が欲しいがために

姑息にも高額なんて出した僕が悪いんだからそこは気にしなくていいよ・・・」

「でも、そうでも記載しないと誰も興味示してくれないでしょ?」


「それに檸檬ちゃん普通に20歳に見えないよ・・・君を見た瞬間制服のこともあって

未成年だってすぐ分かったもん」

「俺は年下の彼女でも女子高生でもいいって思ってるから・・・とりあえずこれで

面接終了〜」

「檸檬ちゃん、おめでとう・・・君さえよければだけど君に決定です」


「え?そんなに簡単に?・・・私の素性もまだ分からないのに?」

「履歴書とか用意してないですけど、いらないんですか?」

「素行調査とかしないんですか?」


「だって応募してきたの、君しかしないんだから・・・他に候補者がいない

以上選びようがないでしょ?」

「それに檸檬ちゃん・・・男と女って結局付き合ってみないと分かんないでしょ 」


「って言っても君にも彼氏を選ぶ権利あるからね」

「俺のことが気に入らなかったら、そのドアから出てってくれてもいいよ」


実際、陽介は檸檬ちゃんが気に入ってしまった・・・基本、お金目的で近づいて

来る女はうんざりだからお断りなんだけど、どうやら陽介は檸檬ちゃんに一目惚れ

しちゃったみたいだね。


「あのさ、俺が嫌じゃなかったら試しに付き合ってみない?・・・面白いじゃない、気が合わなかったらさよならしたっていいんだから・・・退屈しのぎになるし」


「はあ?退屈?・・・退屈しのぎってなんですか?・・・ただの遊びですか?」

「それってヒドくないですか?」


「え?檸檬ちゃんなにムキになってるの?」


「私、これでも真剣に来てるんですよ」


「え〜さっき高額報酬に惹かれて来たって言ったばかりじゃない?」


「え?・・・そ、それだって真剣です」


「そうだね・・・あはは」

「檸檬ちゃん、君やっぱり面白い人だわ・・・完全に君に決定だね」

「だからこのまま檸檬ちゃんとさよならはしたくないな、俺」


つづく。

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