第3話:高級高層マンションに住む男。

檸檬が尋ねたマンション・・・見上げるほどの高級高層マンションだった。

バロン・ド・メゾン・50階建・大規模免震タワーマンション。


「わ〜すごお〜〜〜」

「なに?、きくちさんって、こんなすごいマンションに住んでるの?」


檸檬はビビりそうになった。

今まで、こんな豪勢なマンションにお邪魔したことはなかった。


檸檬はマンションの顔認証システムに顔を登録していないためエントランスを

解錠できない。

そこで自動ドアの横の「KIKUCHI YOUSUKE」と書かれたプレートのインターホン

横の呼び出しボタンを押した。


しばらくするとインターホンから陽介であろう男性の声がした。


「せとださん?」


「はい、せとだです」


「解除しますから、待って、ドアが開いたらエレベーターに乗ってください」

「俺の部屋番号ですけど5003号室です」


「はい、分かりました・・・5003、5003・・・」


檸檬は陽介に教えられた部屋番号を反復した。


陽介に言われるまま、ドアが開くと檸檬はエレベーターに乗った。

高速エレベーターはあっと言う間に陽介の部屋の階まで上がっていった。


彼の部屋の番号は「5003号室」


「この部屋ね・・・」


檸檬は、恐る恐るドアホンを鳴らした。

するとドアが開いて陽介が現れた。


よく考えてみたら、陽介も檸檬もお互いの顔をまだ知らない。

モニター越しじゃはっきり分からないからね。


(お、長身・・・それにめちゃイケメン)


檸檬はそう思った。

陽介は身長180センチ、髪は短髪、Tシャツにジーンズ、ラフな格好が好みだった。


檸檬は陽介が多少ぶちゃいく男子でも我慢しようと思っていた。

なにより高額報酬のため。

でも陽介はけっこうなイケメン・・・彼はモテるだろうなって檸檬は思った。

たしかに陽介はモテた、でもその大半は自分の容姿にじゃなく、お金に対して

だと自身は思っていた。


「いらっしゃい・・・どうぞ入って?」


「はい、はじめまして・・・あの瀬戸田 檸檬せとだ れもんです」

檸檬はカバンからメモ用紙を出して自分の名前を漢字で書いて陽介に渡した。


「あ、ご丁寧に」


って言うか、たしかこの子電話では20歳って言ってたけど・・・なんで女子高生

の制服着てるのかな?って陽介は思った。


「はじめまして瀬戸田さん・・・俺「菊池 陽介きくち ようすけ」です」

「でもって・・・え〜とちょっと待って?・・・」


そう言うと陽介は運転免許を檸檬に見せた。


「そう言う字です・・・どうぞよろしく、瀬戸田さん」


檸檬は髪は前髪ありのロングヘア・・・小ぶりな顔に長い黒髪が清楚で

よく似合っていた。

陽介がイケメンなら、彼とバランスが取れるくらい檸檬も美人、可愛かった。

身長は陽介よりは低い・・・160センチくらいか・・・。


で、陽介は自分の疑問を檸檬に確かめてみた。


「あのさ・・・ちょっと聞くけど・・・瀬戸田さん20歳って言ったよね」

「それは許容範囲に入ってるからいいんだけど、なんで制服着てるの?」

「そう言う趣味なの?コスプレ好きとか?」

「それはそれでありだけど、俺もコスプレ女子を見るのは好きだから・・・」


「あ〜・・・あはは・・・ごめんなさい・・・急いで来たから服のことまで

考えてなかったです・・・歳バレますよね」

「実は私、女子高生なんです・・・年も20歳じゃなくて17歳です、正直に言ったら

断られるかと思ってサバ読んじゃった・・・あのダメでしょうね?17歳じゃ?」

「帰ったほうがいいですよね?」


「あはは・・・あはは・・・瀬戸田さん現役女子高生?・・・」


「そうですけど・・・可笑しいですか?」


「やっぱり君、面白いわ瀬戸田さん・・・気に入ったな俺、君のこと」


「え?」


「まあ、未成年で女子高生の彼女って世間的に見てどうなのって思うけど・・・

恋愛は自由だもんね・・・17歳でも俺的には問題ないよ・・・」

「だけど俺と瀬戸田さん18歳も歳は離れてるけど・・・それでもいいの?」


「あの・・・私、歳の差はあまり気にしないタイプですから・・・」

「だけどたぶん菊池さんが、めちゃおじいちゃんだったら、とっくに帰ってると

思います・・・」


「あはは・・・たしかにね、でもおじいちゃんだって女子高生を好きになる権利は

あるでしょ?」

「いくつになっても男は男に違いないからね」


(こんな綺麗な子が俺の募集に応募したってことは彼氏がいないからなんだ

ろうな?・・・それと金欠状態かな?)


って陽介は思った。


もし檸檬に今でもロクデナシ男でも彼氏がいたら当然、陽介の「まともな彼女募集」

にはノらなかっただろうからね。


つづく。



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