第5話:最初のデートの約束。
陽介の「まともな彼女募集」に応募した檸檬。
運良く?かどうかは分からないけど、他に誰も応募してこなかったことと
陽介が檸檬を気に入ったこともあって、とりあえず檸檬は年上の陽介と付き合う
ことになった。
陽介から断られなかったし、檸檬もやめますって言う理由もなかった。
お互い歳の差は特に気にはしなかった。
檸檬が今になってひとつ心配したことは陽介の性格と女関係。
だいたいにおいて、お金持ちの御曹司なんて親から甘やかされて、お金で
なんでも解決してきたせいで、虚栄心の塊、プライドが高くて常に上目線。
いくらお金が欲しくても陽介の根性が腐ってたら、この話はないかなって檸檬は
思ってた。
冷静になって考えてみるとだいたい恋人募集って、高額を払ってまで彼女が
欲しいなんて変だよね。
よほど女性に飢えてるとか・・・だけと菊池さんくらいのイケメンで金持ちなら
女性に不自由はしないでしょって檸檬は不思議に思った。
ただ陽介は金に執着しない女性と純粋な恋愛がしたかっただけ。
その条件を陽介は檸檬に言わなかったから檸檬から不思議に思われたのだった。
実のところ陽介が言ったように付き合って見ないと、はじまらないのが男と女。
陽介は陽介で檸檬に一目惚れはしたが最初っから自分の下心を見せたくなくて
冷静さを装っていた。
本当はめちゃ綺麗で可愛い檸檬を見てトキめいたのは事実。
こんな可愛い子が、あんなダメ元な募集に応募してくるなんて、よっぽど金に
困ってるか、他になにか理由でもあるのかと思った。
お互いに愚にもつかない探り合い。
高校生の檸檬はたしかに小遣いには困っていたから高額報酬に惹かれたのも事実。
それと言うのも檸檬には両親とも他界していて、今は施設のお世話になっていたからだった。
で、とりあえず、陽介と檸檬は付き合うことが決まったわけで、だから初デートは
週末に、ということになった。
「それじゃ土曜日、またマンションへお伺いします」
「それもいいけどさ・・・マンションでデートってのより外で会わない? 」
「最初は外で待ち合わせしてデートしようよ・・・恋人どうしみたいに・・・」
「おいしい食事にご招待するから・・・どう?」
「いいですけど・・・」
「土曜日の午前中9時、駅前のパンダの石像の前で待ち合わせね」
ってことで最初のデートの予定が決まった。
お互いの未来はまだトンネルに入る手前、トンネルをくぐり抜けてみないと
その先の光は見えない。
デートまでは檸檬は普通の高校生活に戻る。
例の高額報酬にはまだありついていなかったけど、催促するのもみっともない
と思ったのでクチをつぐんでいた。
まあいい、なんてったって、これから彼になるかもしれない人が大金持ちだから、
うまく行けば玉の輿かもしれないし・・・。
今はまだロクデナシ男のことは陽介には黙ってようと思った。
それにもう関係ないことだし・・・。
そして約束の土曜日、初デートの日がやって来た。
さすがに今日は制服は脱いで私服ででかけることにした。
制服なんか着たまま男性と一緒のところを施設の人にでも見られたらやっかい。
檸檬は支持されたとおり駅前のパンダの前まで行くと、9時までにまだ
15分も早かったのに、陽介は先に来て待っていてくれた。
つづく。
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