第37話 似た者 師弟でした
さて、レイジが侯爵と
「ルナ先生!できました!」
「おおお!やったねタイガ!」
錬金釜で作った、火薬玉をルナに嬉しそうに見せる。
【火薬玉】:投げて目標に当たると爆発する。
「エリス先生!出来ました!」
「良くやったね!セツナ!」
セツナがエリスに見せているのは氷結玉。
【氷結玉】:投げて目標に当たると目標を凍らせる。
その光景を見ているアベルは。
(そんなの作らせて良いのか?)
と思うものの。セツナとタイガの嬉しそうな顔を見ていると何も言えなかった。
ユキナと言えば、セツナとタイガを見てニッコニコ。
「それじゃ。実演と行きましょうか。」
ルナが言う。
「そうね。口でいくら言っても分からないだろうし。
ユキナさん。どこか壊れても大丈夫な場所ってあるかしら?」
壊れる事が大前提である。
「そうね。セーバス。」
「はっ。 多少壊れても良いと言う事でしたら。
修練場などいかがでしょうか。」
「それでは、向かいましょうか。 セーバス。」
「はい。こちらに。」
セーバスに案内されて、裏に在る修練場に。
修練場と呼ぶには余りにも小さな面積。
少し身体を動かすだけ。と言う程度の広さだ
元々は保養地なので、当然と言えば当然の広さだとも言える。
「それじゃ、タイガ。火炎玉に魔力を込めて。遠くの方に投げるのよ。」
「はいっ!」
ルナに言われて、タイガが火炎玉に魔力を込める。
そして、タイガが投球モーションに入ろうとした時だった。
アベルの危機察知能力が発動した。
「周囲に警戒!!」
大声を出して、皆に危険を知らせるアベル。
と、同時に。瞬時にタイガの側に寄るアベル。
周囲を警戒するように見渡すアベル。
だが、特に危ない気配は感じない。
セツナに素早く近寄った、カナンに目配せしても、特に反応なしとハンドサインで返してくる。
アントワネリーも同じく、ルナとエリスの側で異常なしを返す。
アベルの声に反応した、シャノンとシャリアも、ユキナの側で異常なしのサインを出す。
(何に反応した?)
何の危険に対して、危機察知が反応したのか。
自分でも、首を傾げながら。周囲を見る。
(まさかね……。)
と思いながら。
「タイガ様。少し失礼します。」
そう言って、タイガの手の中にある火炎玉を手に取る。
そして、おもむろに何の合図も無く。火炎玉を遠方に投げる。
そして、両耳を両手で塞ぐ。
ドッカーーーーンッ!!
凄まじい轟音と共に、爆炎が上がり周囲を衝撃波が揺るがす。
「やばかった……。こんなの、ちょっと遠くに投げたくらいじゃ怪我を……。」
皆の方に振り返りながら言いかけた言葉を失うアベル。
爆風によって、その場の全員が、髪の毛は勿論。衣服も乱れまくっていた。
ついでに、表情は唖然と放心状態を保っている。
「えっと……。 すいません……。」
タイガの作った【火炎玉】品質:最上級
〈付属効果〉
威力上昇 68%
破壊力増加 48%
範囲拡大 25%
セツナの作った【氷結玉】品質:最上級
〈付属効果〉
威力上昇 72%
範囲縮小 27%
氷結効果上昇 42%
遠慮の無い師が作る物も遠慮は無いが。
遠慮の無い師が教えた弟子の作った物も。やはり遠慮が無かった。
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