第17話 事故物件もらっちゃいました

製作場ファクトリーに戻って、ドキドキしながら

スキルボードを開く。


(1、2、3、4、……9。)


なんと、一気に9個のスキルが解放されていたのだ。


「く~~~~~っ!」


嬉しさの余りに、唸る声しか出ない。


解放されたスキルは。


【研磨剤】材料:鉱石類・中和剤赤・蒸留水・動物の骨・小麦粉


【デラコットン】材料:布・中和剤黄・皮・シルクスパイダーの糸


【火岩鉱】材料:火岩石・研磨剤・中和剤赤・インゴット


【耐熱布】材料:火岩石・デラコットン・中和剤緑・宝石原石


【火炎剣】材料:長剣・火岩鉱・研磨剤・中和剤赤・インゴット


【耐熱服】材料:服・火岩鉱・研磨剤・デラコットン・中和剤赤


【耐熱の指輪】材料:火岩石・研磨剤・インゴット・宝石原石・中和剤緑


【火炎玉】材料:火岩石・中和剤緑・動物の骨・油・火薬


【拡張収納箱】材料:エルダートレントの枝・中和剤虹・精霊石・妖精の粉


9つのスキルが解放されて。7つは製作可能だけど。


火炎玉の材料の火薬の作り方が分からない。


(火薬。火薬。火薬。)


と、いつもの様に思案に更けても、解放時の感覚は来ない。


火薬は知っているけど、実物を見たことが無いからなぁ~。


あと、拡張収納箱!


これって、マジックポーチの、収納箱版だ! 絶対に作りたい!


精霊石とか、妖精の粉とか、どんなのか知らないけど。


とにかく!クエストの品を作って終わらせたら納品しに行って。


新しいレシピに挑戦だぁ~!



 * * * *



「こんばんわぁ~。」


夕暮れ時。ドアを開けて入ってきたのはアベルだった。


「アベル君。待ってたよぉ~。」


「ども。ルナか言われて、取りに来ました。」


「こっち。こっち。」


そう言って手招きして奥の部屋に通す。


「この14箱と、足元の箱で全部で15箱だよ~。」


「結構重いですね。」


試しに1箱持ってみると。なかなかの重さだった。


たぶん、25キロくらいは在るんじゃないかと。


マジックポーチの口を箱に当てて、次々と箱を取り込んでいく。


「マジックポーチ。便利だよねぇ~。」


「ですね。」


「どこのダンジョン?」


「いえ。拾ったと言うか。事故物件と言うか……。」


このマジックポーチ。実は、前回クエストで行った廃鉱山で見つけた物だ。


入り口と、ミスリルゴーレムに遭遇した中間地点辺りで。


全滅した、パーティーの残骸を見つけた。


恐らく、運悪くミスリルゴーレムと遭遇して戦闘になってしまい。


全滅したのだろう。


なんせ、ミスリルゴーレムは、パッと見ただけだとシルバーゴーレムと似ているから。


シルバーゴーレムと勘違いして戦闘に入ったんだと思う。


そして全滅。


死体はワーム系と昆虫系の魔物モンスターに食い荒らされて、身元を証明できる遺品も無かった。


商業大陸組合プラントライセンスも、こま切れ状態で誰のか分からない状態。


唯一、運良くと言うか。地面の中に半分埋もれていたマジックポーチを発見して掘り出したのが俺。


一応、マジックポーチの中身を確認したが。


入っていたのは、ポーション類と、お金が少し。


んで、こういった状況だと。


身元を証明するものが無ければ、拾った者が持ち帰りしても良いとのこと。


仮に、身元が分かる物が在ったのなら。


大陸商業組合プラントに提出して、血縁者から正当な金額で買い取ってもらうか。


買い取る事が出来ない(要らない)なら、拾った者の物になるとのこと。


流石に、引っ付いて行った(拉致られたとも言う)俺が貰うのも気が引けたので。


アンネさん達に聞いたら。


「いま使ってるのより容量が小さいから要らない。」と言われた。


しかも、全員に。


なので、有難く俺が使わせて貰っている。


持っているマジックポーチの容量は、2メートル×1メートルの容量で、時間遅延の効果も付いていない。


確かに大きいと言うほどではないけど。


俺にとっては有り難いのには変わりない。


なんせ、このサイズでもオークションで出品された場合。軽く大金貨2枚は飛んでいくのだから。


火岩石の入った箱を全て取り込んで。


店から出ようとすると。


「アベルくん。」


「はい?」


「大事にしなよ。」


一瞬何のことか理解が追い付かなかったけど。


「はい。俺の、一番の宝物はルナなんで。」


「うん。分かっているなら良し。 これオマケ。」


そう言って、何かの原石?を手渡された。


「これは?」


「氷岩石。火岩石と反対の特性を持つ鉱石だよぉ~。


奥の方から見つかったのであげる。 それ1個しかないけど。」


「有り難う御座います。喜ぶと思います。 それじゃ。」


軽く礼をして店を出て行く。


「さてっと。 もっと珍しいもの仕入れないとね。ニヒヒ。」


そう言って、店を閉める準備をするスカーレット。

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