第16話 大量購入しちゃいました


「おっ!ルナ。この間の回復ポーション。また作れるか?」


「良いですよ。材料持ち込みなら、手間賃だけで作りますんで。」


「そりゃ助かる。今度、寄らせてもらう。」


大陸商業組合プラントに入ると、顔見知りのライセンス持ちが声を掛けてくる。


錬金スキルが解放される前は声すらかけて貰えなかった。


避けている訳でなく。出来るなら、声を掛けてくれるなオーラが漂っていたんだよね。


「こんにちは。スコットさん。」


受付男性職員のスコットさん。28歳。


多少の事では、営業スマイルを崩さない熟練の受付職員さん。


「クエストかい?納品依頼なら在るよ。」


「見せて貰っても良いですか?」


「はい。これだけ有るよ。」


と言って、5枚のクエスト用紙を手渡してくれる。


回復ポーション30個(品質:中以上)

 報酬:銀貨3枚。期日:7日 


鉄のインゴット13個(品質:中以上)

 報酬:銀貨4枚。期日:出来るだけ早く


クロス18枚(品質:中以上)

 報酬:小銀貨2枚。期日:10日


蜂蜜2キロ

 報酬:小銀貨3枚。期日:14日


関節痛の軟膏3個

 報酬:小銀貨1枚と銅貨5枚。期日:7日


蜂蜜採取と関節の痛軟膏以外は、私関連のクエストばかりだった。


「全部、受けちゃいますね。」


「助かるよ。なんせ、君だけだからね。その依頼を出来そうなのは。」


「明後日には、出来ると思うので。」


「頼むよ。 次の人。ど~ぞ。」


受付場から離れて、大陸商業組合プラントから出て行き。


隣の雑貨屋に入る。


「いらっしゃ~~い。ルナ。」


「こんにちわ。スカーレットさん。」


「何か、面白そうな物って入荷してます?」


「ん~……。そういや……。」


そう言って、奥の部屋に入ってゴソゴソ探し出す。


「あった。あった。」


大きな箱を抱えて、カウンターに置く。


「よっこらっしょっと!」


ドン!


重そうな音と共に箱が置かれる。


中を覗き込むと。鉱石っぽいのがギッシリと詰め込まれていた。


「これは?」


「それはね。火岩石って鉱石。」


「火岩石?」


「そうそう。東の国のセイルーンの火山地帯から取れる鉱石でね。


武器防具を作る時に混ぜ込むと、火属性の効果が付く時がある。」


「確定じゃないんですか?」


「残念ながらね。」


「アイザックさんの所に持って行けば、買ってくれそうだと思うんですけど。」


「私も、そう思って仕入れたんだけどね。」


「そんな運任せの材料なんか大量に買うわきゃねえだろうっ!


って拒否られた。 あははは。」


「で、不良在庫になってしまったと。」


「きっついねぇ~。あはは。 まあ、その通りなんだけど。」


「これ、何箱買ったんですか?」


「あと、14箱ある。」


「1箱いくら?」


「在庫処分で、金貨1枚。」


「15箱の値段ですよね。」


「もちろん。駆け引き無しの儲けゼロ!ってか、赤字だよ!赤字!あははははは!」


ちょっと変なテンションが入ってしまっているスカーレット。


(火岩石。火岩石。火岩石。)


と考えていると。いつも感覚が。


スキルボードを確認する。


「スカーレットさん。 15箱。全部買います。金貨2枚で。」


「えっ!?」


「私だったら、有効活用できそうなので根切は要りません。


代わりに、火岩石を買える時は、上限5箱までは買い取ってください。


無茶苦茶な金額じゃなければ、継続して買い取らせていただきます。


細かい詰めは、また今度、来た時に相談させてもらいます。」


「え?マジ?」


「大真面目です。あっ!だけど、余りにも市場が高くなった時は教えてくださいね。」


「もちろんだよっ!ありがと~~!ルナちゃん!」


「それじゃ、後でアベルに取りに来てもらうので。お願いします。」


そう言って、カウンターに金貨2枚を置く。


「は~い。」


店を出て、急ぎ足で製作場ファクトリーに戻る。

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