第6話 シャドウとの対決

目を覚ますと、目の前には広大な空間が広がっていた。天井の見えない暗闇、足元を覆う冷たい石畳、そのすべてが異様な雰囲気を醸し出している。俺が倒れていたのは、まさにヴォイドコアが封印されている場所だった。


「ここが……ヴォイドコアの封印場所か?」


俺はゆっくりと立ち上がり、周囲を見渡す。そこには、闇に包まれた巨大な装置がそびえ立っていた。その装置こそ、ヴォイドコア――異次元のエネルギーを封じ込めた古代の技術だ。


「ようやく目を覚ましたか、羽瀬川健吾。」


不意に聞こえた声に、俺は振り返った。そこに立っていたのは、ヴォイドリーパーズのリーダー、シャドウだった。彼の全身は黒いローブに包まれ、その顔には冷たい微笑が浮かんでいる。


「お前が……シャドウか?」


「そうだ。そしてここで、全てが終わる。」


シャドウは静かに手をかざす。その瞬間、ヴォイドコアが不気味な光を放ち始めた。まるで、目覚めたばかりの巨大な獣が咆哮を上げるかのように、その力は空間全体を揺るがす。


「このヴォイドコアの力を解放すれば、世界は再び我々の手に戻る。お前もそれに加わるつもりはないか、健吾?」


シャドウの言葉に、俺は冷たい汗をかいた。彼の言葉には誘惑が含まれていた。だが、俺はそれに屈するつもりはない。


「そんなことをさせるわけにはいかない!その力が解放されれば、この世界は――」


「滅びるだと?そうかもしれん。しかし、滅びの後には新たな秩序が生まれる。ヴォイドの力は、そのための鍵なのだ。」


シャドウは再び手をかざし、ヴォイドコアの力を引き出そうとした。だが、その時――


「やめろ……!」


俺は叫びながら、シャドウに向かって突進した。だが、彼の動きは速かった。俺の攻撃を軽くかわし、逆に強烈な反撃を受ける。


「甘いな、健吾。お前の力では、私には勝てない。」


シャドウの一撃が俺の胸を捉え、俺は地面に叩きつけられた。激痛が走り、息が詰まる。だが、俺は諦めるわけにはいかない。


「くそっ……」


俺は這い上がろうとするが、シャドウの影が俺を包み込む。彼の力は圧倒的で、まるで悪夢のように俺を飲み込もうとしていた。


「終わりだ、健吾。お前の役目はここで終わる。」


シャドウが手を掲げた瞬間、俺の中で何かが目覚めた。視界が白く染まり、全身に力がみなぎる感覚が広がる。


「これは……?」


俺の中に宿る「隠されたものを見抜く力」が、完全に覚醒したのだ。周囲の光景がクリアに見え、シャドウの動きがまるでスローモーションのように感じられる。


「見える……!」


シャドウの攻撃の隙が、はっきりと見えた。俺はその隙を突いて、全力で反撃に出た。


「これで終わりだ、シャドウ!」


俺の拳が、シャドウの胸に深く突き刺さる。その瞬間、シャドウの影が弾け飛び、彼は驚愕の表情を浮かべた。


「お前が……そんな力を……」


シャドウは膝をつき、そしてゆっくりと倒れ込んだ。ヴォイドコアの光が徐々に弱まり、空間全体に静寂が戻る。


「俺が……勝ったのか……?」


息を切らしながら、俺はシャドウの倒れた姿を見下ろした。だが、その瞬間、再びヴォイドコアが不気味な音を立て始めた。


「まずい……コアが暴走し始めた!」


俺はすぐに駆け寄り、ヴォイドコアを止めようと試みる。しかし、ヴォイドの力はすでに制御不能な状態に陥っていた。


「これを止めなければ……世界が……」


俺は必死にコアに手を伸ばしたが、その瞬間――


「健吾!」


聞き慣れた声が響いた。振り返ると、そこにはレイナが立っていた。彼女は一瞬の隙をついて、コアの封印を再び施し始めた。


「今だ、健吾!ヴォイドコアを封じ込めろ!」


彼女の言葉に、俺は残った力を振り絞り、ヴォイドコアに全力で手をかざした。コアが激しく震え、その光が一瞬にして消え去った。


「……やったか?」


俺は力尽き、その場に倒れ込んだ。レイナが駆け寄り、俺を支えてくれた。


「よくやった、健吾。お前の力で、世界は救われた。」


彼女の言葉に、俺はようやく安堵の息をついた。戦いは終わった。だが、その代償はあまりにも大きかった。


「これで……本当に終わったのか?」


俺の問いに、レイナは微かに笑みを浮かべた。


「これが終わりではない。これからが、本当の始まりだ。」


そう言って、彼女は空を見上げた。空には、再び光が差し込み、暗闇を押し退けていった。


「そうだな……これからが、俺たちの戦いだ。」


俺も空を見上げ、そして新たな決意を胸に刻んだ。リグレアにはまだ、多くの謎が残っている。そして、それを解き明かすために、俺はこれからも戦い続ける。

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