第2話 闇の組織、ヴォイドリーパーズ
「隠された戦争だと……?」
レイナの言葉が頭の中で反響する。さっきまでの平和な風景が、一気に違った色合いに見えてきた。確かに、リグレアの街は穏やかで、人々は幸せそうに暮らしているように見える。けれども、その裏には一体何が隠されているのか?
「そうだ、リグレアの裏側にはもう一つの顔がある。」レイナは冷静に続けた。「お前が召喚された理由は、この世界の表と裏、双方に目を向けさせるためだ。」
俺たちは歩き続ける。リグレアの街の中心部に向かう途中、レイナは小声で言葉を紡ぎ出した。
「ヴォイドリーパーズ……その名を聞いたことがあるか?」
「ヴォイドリーパーズ……?」
「この世界を影から操ろうとしている組織だ。かつての大戦が終わった後も、彼らは活動を続けている。彼らの目的は、古代の技術を使って世界を再び支配すること。表向きは平和を装っているが、実際にはヴォイドリーパーズが暗躍し、戦争が再び起こるのを待っている。」
レイナの声には、どこか冷たさと緊張感が感じられた。それがただの作り話ではないことは、彼女の表情が物語っている。
「古代の技術って、一体何のことだ?」
「ヴォイドテクノロジーだ。古代リグレア帝国が築いた、異次元のエネルギーを利用した技術だ。今ではその多くが失われているが、ヴォイドリーパーズはその残骸を集めて再利用しようとしている。」
俺はその言葉に恐怖を感じた。異次元のエネルギー?それが世界を支配するための鍵になるというのか?
「そんな……もしその技術が悪用されたら、この世界はどうなるんだ?」
「リグレア全体が消滅するかもしれない……いや、最悪の場合、ヴォイドの力が暴走すれば、この世界だけでなく他の世界にも影響を与えるだろう。」
他の世界にも……。つまり、俺が元々いた世界も例外じゃないってことか。
「でも、なんで俺なんだ?ただの高校生がこんなところに召喚されて、何ができるっていうんだ?」
レイナは歩みを止め、俺に向き直った。
「お前はただの高校生ではない。お前には『隠されたものを見抜く力』があると言ったはずだ。その力こそ、ヴォイドリーパーズの陰謀を暴き、この世界を救う鍵になる。」
彼女の言葉には重みがあった。自分が何者かもわからないまま、突然異世界に放り込まれ、救いの手を差し伸べるどころか、今度はこの世界を救えと言われる。でも、俺にはその力があるというのなら、やるしかない。
「俺が……リグレアを救う?」
「その通りだ。だが、一人で全てを解決することはできない。まずは、ヴォイドリーパーズが何を企んでいるのかを突き止める必要がある。」
「……分かった。やるよ。何が待っていようと、俺は立ち向かう。」
俺は強く頷き、レイナと共に歩き出した。この異世界に何が隠されているのか、そして自分が何を成し遂げるべきなのか。すべての謎が解けるその日まで、俺は戦い続ける。
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