第29話 王都陥落

 王都陥落の知らせが届いた。


「おおっ!ついに!私の時代がやってきたのだな!よくやった!」


 ジョナサンが立ち上がって感動している。


「セシルよ!すぐに王都に行くぞ!」


 ジョナサンも僕が重要人物だとわかっているようだ。道中馬車の中でミレーユが話しかけてくる。


「戦争は終わったの?」

「うん、終わったよ」

「良かった」


 ミレーユは嬉しそうだ。


「戦争は終わりましたが、また次の戦争が待っているかもしれません」

「えっ、どういうこと?」


 ナターシャが言う。


「内戦で疲弊したところを漁夫の利で得ようとするところが出てくると思います」

「なるほどね。地理のことはよく知らないからどこが攻めてくるかはわからないけど…」


 何日かして僕たちは王都に着いた。


「アベル!」

「セシル様、お会いしとうございました」

「メロディ!ハンゾウ!ミカエル!」

「セシル様、会いたかったわ」

「殿、少し背がのびたか?」

「セシル様、お久しぶりです」


 アベルたちが出迎えてくれた。


「おお!アベルよ!此度はよくやった!必ず褒美をとらすぞ!」

「いえ、褒美ならセシル様にあげてください」

「なんと、セシルは幸せ者よのう」


 ジョナサンの提案はアベルに断られた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る