第30話 論功行賞

 次の日、論功行賞が始まる。ジョナサンが玉座に座っている。


「アベルよ!お主の働きは見事であった!伯爵と大将軍に任ずる!」

「俺はセシル様に仕える者。褒美はいりません」

「ぐぬぬ、ではメロディよ!子爵と筆頭宮廷魔導士に任ずる!」

「私はセシル様に仕える者。褒美はいりません」

「ではハンゾウよ!男爵に任ずる!」

「俺はセシル様に仕える者。褒美はいらない」

「ではミカエルよ!男爵に任ずる!」

「私はセシル様に仕える者。褒美はいりません」


 全員褒美を拒否した。


「ぐぬぬ…、これではアベルたちを我が国に組み込めぬではないか。そうか!セシルよ!伯爵と大将軍に任ずる!」

「なりませぬ!」


 ジョナサンの横から誰かが反対した。グラハム宰相だ。この宰相どこから湧いてでてきたんだ。今までいなかったよな。


「なりませぬぞ!孤児に爵位を与えるなど、貴族制度を否定するつもりですか!」

「しかし、セシルは功労者だぞ。こうでもしないとアベルたちは言うこときかないだろう」

「セシルは功労者ではありません!ただの孤児です!」

「ふむう、仕方ない。セシル、お前への褒美は無しだ」

「わかりました」


 グラハム宰相はやり切った顔をしている。これからどうしよう。孤児院に帰るか。


「ミレーユ、メアリー、孤児院に帰ろう」

「そうだね!」

「わかったわ」


 デニスに頼んで馬車を出してもらった。アベルたちも一緒だ。

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